恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

Je te veux (おまえが欲しい)~その1

2014-11-23 09:35:18 | ハル君ルートで茶倉譲二

ハルルートの譲二さんの話の続編
『それぞれの道』で譲二さんがヒロインと別れて、七年が経ち、ヒロインはハルくんと結婚した。
☆☆☆☆☆


「Je te veux」


作曲 Eric Alfred Leslie Satie  1866-1925  
作詞:Henry Pacory

おまえが欲しい(男声版)

黄金の天使 心酔わせる果実
魅力的な眼差し
それらをおくれ おまえがほしい
僕の恋人になってほしい
僕の苦しみを鎮めるために 来ておくれ
おお 美しいひと
僕は強く憧れる
僕たちが幸福になれるひとときを
おまえが欲しい

おまえの美しい髪の毛が
おまえを後光で飾る
優雅なブロンドの髪は 理想の人の髪
僕の心はおまえのもの
おまえの唇は僕のもの
おまえの身体(からだ)は僕のもの
僕の身体はおまえのもの

そう 僕はおまえの眼のなかに
確かな約束を見ている
恋するおまえの心が
僕の愛撫の不安を消してくれる
永遠に抱き合い 同じ炎を燃え上がらせ
愛の夢のなかで 僕ら二人の魂を交わし合おう




☆☆☆☆☆

『祝婚の続き


Je te veux (おまえが欲しい)~その1

〈譲二〉
 
 午後、客足の途絶えた時間に美緒がやってきた。

 半月ぶりかな。

 美緒が結婚してからは2回目だ。

 美緒に会えるのは嬉しいけど…、少し複雑だ。

 美緒とハルの結婚を機に美緒のことはもう諦めようと決心していたからだ。

 前回来たときは、コーヒーを出して近況(ハルとののろけ話が多かった)を話した。

 あの時は二組くらいお客が入っていたので、そこまでじっくり話せたわけではない。

 今日は美緒と2人きり…。

 少し緊張している俺がいる。

 カウンターの美緒にコーヒーを出し、俺も隣に座った。

譲二「あれから元気にしてた?」

美緒「はい。譲二さんは?」

譲二「俺? 俺は相変わらずだよ。うだつの上がらないまんま」

美緒「みんなは来てるのかな?」

譲二「一護やタケたちのこと? そうだなあ、時々は来てくれているよ。
全員一緒じゃなく、バラバラに来ることが多いけど…。
集まれば賑やかだ」

美緒「ハル君は…来てないよね…」

譲二「うん。うちでそんな話はでないの?」

美緒「一護君たちの話題はでるけど…クロフネの話題はでないかな…」

譲二「そっかぁ…。やっぱり、ハルにはわだかまりがあるのかな…」

 俺は少し寂しくなった。

 恋敵とは言え、ハルのことは純粋に好きだったからだ。

 ふと、美緒を見ると静かに涙を流している。

 俺は慌てた。

譲二「ちょっ…美緒ちゃん。どうしたの?」

 美緒を元気づけようと手を握った。

 しかし、美緒は泣くのをやめない。

 戸惑った俺は美緒を抱き寄せて、背中を優しく叩いた。

譲二「美緒ちゃん…。どうしたの?
何か悩みがあるなら俺に話してみて…。
解決はできないかもしれないけど、気持ちは楽になるよ」

美緒「譲二さん…」

 美緒はそのまま泣き続けた。

 美緒の柔らかい体を抱きしめていると…俺の中の眠っていたものに火がついた。

譲二「…美緒…」

 俺は美緒の顎を持って上向かせるとその瞳を見つめた。

 美緒の瞳は俺の顔を写してゆれている。

 俺はどうしても自分を抑えられなくなって、美緒にキスをした。

 優しく…そっと。

 でも、一度キスするともうダメだった。

 貪るように何度も美緒の唇を奪ってしまう。

 真っ昼間から…誰が来るか分からないクロフネの店内で…。

 美緒を抱きしめて囁いた。

譲二「美緒…君が欲しい……。
…ごめん、変なことを言って」

 非常識なことを口にしてしまい、後悔する。

Je te veux (おまえが欲しい)~その2へつづく


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