2024年(令和6年)1月1日16時10分に、石川県能登半島地下16 kmでマグニチュード7.6の巨大地震が発生した。能登半島地震である。発災後、4か月が経過した今日(2024年4月28日)ても、いまだ水道の復旧のめどはたっていない。それどころか、現地では水の供給すら不足しているという。
ところで、平成30(2018)年12月6日、衆院本会議において改正水道法が成立した。この改正で、水道施設に関する公共施設等運営権を民間事業者に設定、つまり、運営権を長期間にわたり民間に売却することができることになった。同法案を改正する理由が次の四つであった[i]。
『……
現状と課題
我が国の水道は、98.0%の普及率を達成し、これまでの水道の拡張整備を前提とした時代から固たるものとしていくことが求められる時代に変化。しかし、以下の課題に直面している。
1、老朽化の進行に直面している。既存の水道の基盤を確固たるものとしていくことが求められる時代に変化
• 高度経済成長期に整備された施設が老朽化。年間2万件を超える漏水・破損事故が発生。
• 耐用年数を超えた水道管路の割合が年々上昇中(H28年度14.8%)。
2、耐震化の遅れ
• 水道管路の耐震適合率は4割に満たず、耐震化が進んでいない(年1%の上昇率)。
• 大規模災害時には断水が長期化するリスク。
3、多くの水道事業者が小規模で経営基盤が脆弱
• 水道事業は主に市町村単位で経営されており、多くの事業が小規模で経営基盤が脆弱。
• 小規模な水道事業は職員数も少なく、適切な資産管理や危機管理対応に支障。
• 人口減少社会を迎え、経営状況が悪化する中で、水道サービスを継続できないおそれ。
4、計画的な更新のための備えが不足
• 約3分の1の水道事業者において、給水原価が供給単価を上回っている(原価割れ)。
• 計画的な更新のために必要な資金を十分確保できていない事業者も多い。これらの課題を解決し、将来にわたり、安全な水の安定供給を維持していく
……』
この改正理由を見てわかることは、公共インフラである水道事業は「時代が変化」したので民間企業に運営を委ねてよいというのである。
そして、この厚生労働省「水道法改正の概要」の「現状と課題」で列挙した問題点全てが能登半島地震で被災した多くの市町村の現状と合致することなのである。そして被災地の復興に政府は資金を投じないで放置しているのは「水道事業を民間に売却しなかった自治体が悪い」という同様な問題を抱える市町村に対する恫喝であり、見せしめなのだ。
むごい話である。
したがって現日本政府は、能登半島地震の被災市町村が水道事業を民間に売却することに同意しない限り、日本政府は「びた一文」資金を出すことはない。加えて石川県知事は「揺れを共有していない知事」や「馳せ参じない馳」と揶揄される知事なのである。しかも、同県知事の親分が、自民党裏金問題やオリンピック汚職の中心人物「森元首相」なのである。したがって同県知事が「馳せ参じる」のは公共インフラを平気で売飛ばす悪辣な集団と連携することになる。ここに至って、保守王国と自他ともに認める石川県民は、県民が守り育てた政治家が売国奴であったことを否応なく認識することになった。
そもそも、国民の資産である公共インフラは、収支を問題にすべきものではない。収支を問題にすべきではない公共インフラを、売却や株式化するということは、国民の資産を政治家が自身の私利私欲を満たすためだけに行うのであって国民の福利とは相反するものである。それは憲法前文に「……そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。……」とあることからも明らかである。
ただし、困るのは、国民が選んだ代表者が売国奴であるときである。もしも、このことを認識したならば、有無を言わさず選挙により排除する以外に方法はない。
したがって売国奴として、「国家主権」を売飛ばした自由民主党、大阪を売飛ばした日本維新の会は国政選挙で排除してゆくしかない。
今回の投稿の最後に公共インフラを民間企業に売却した場合の好例を挙げる。
それは東京都である。
東京都が水道事業を民営化したのはPFI(Private Finance Initiative)つまり、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用するという名目で、よく言えば委託、悪く言えば、売却することにした。そして作られたのが東京水道株式会社であった。同社は東京都水道局の株を80.4%保持しているとされている。ただし、現時点ではという但し書きが付く。したがって、小池百合子東京都知事は、民営化を促進するという理由で、最終的に株式を完全売却する心算である。そのために、本来は東京都が行っていた水道事業を、合理化などと屁理屈をつけて、本来の水道事業とは何の関係もない「東京水道株式会社」を設立し、それまで水道コストの上に「東京水道株式会社」の管理費を上乗せするだけの巨大利権組織を作って毎月莫大な利益を上げるだけではなく、「東京水道株式会社」を上場させて株式利益を得、さらには「東京水道株式会社」株式を売却して莫大な利益を取ろうという壮大かつ悪辣な「国民の資産」を簒奪する方法なのである。
そして「国民の資産」である水道事業が売飛ばされても、本来の持ち主である国民もしくは都民は、何らそのおこぼれにあずかることもなく、高い水道料を払わされるだけなのである。
それを、にこやかな笑顔で「女性が活躍できる社会」などと真顔で行っているのが小池百合子東京都知事なのである。
悪事を行う女性を魔女という。
ならば小池百合子東京都知事は▲▲ということになるのでは????
桑原桑原。
以上(寄稿:近藤雄三)
[i] 厚生労働省「水道法改正の概要について」https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000565559.pdf