こっちゃんと映画をみまちょ♪

レビューと呼ぶほど中身なし。しかし中身が無いのも中身のウチよのぅ。・・・なんちって。

親切なクムジャさん (2005)

2005年11月18日 | いかすMovie

こっちゃんポイント ★★★★

鑑賞環境 

映画館 
上映時間 114分
製作国 韓国
公開情報 劇場公開 (東芝エンタテインメント)
初公開年月 2005/11/12
ジャンル サスペンス/ドラマ
映倫 R-15

天使のような美貌と残忍な手口で世間を騒然とさせた幼児誘拐事件の犯人クムジャ(イ・ヨンエ)は、服役中、誰に対しても優しい微笑を絶やさなかったことから「親切なクムジャさん」と呼ばれるようになる。13年間の服役を終えて出所した彼女は、自分を陥れたペク先生(チェ・ミンシク)に復讐するため、かつての囚人仲間に協力を依頼する。ペク先生により引き離された娘と再会を果たし、ついに彼を手中にいれた彼女だったが、本当の復讐はそこからが始まりだった……。 (goo映画より)

 

人の恨みとは、これほどまでに大きく、また持続できるものなのでしょうか?

この映画を観て、全身に悪寒が走ってしまいました。大好きなイ・ヨンエと、こんな映画で再会することになるとは、正直ビックリなのでございます。あの「ラスト・プレゼント」で最後まで愛する夫の心配をする優しい彼女は一体どこへ行ってしまったのでしょうか?

R-15の意味が良く分かりました。これは実に怖い。13年間もの間、刑務所の中で一日たりとも復讐心を忘れなかった女の物語です。自分を陥れた男を絶対に許さなかったイ・クムジャ。しかし、その表情は穏やかで、周囲の囚人たちからは「親切なクムジャさん」と呼ばれるほど。服役中の人々に数々の親切を振舞ってきたのです。

しかし、全ては「復讐」のため。出所後、再会した刑務所仲間から「作戦開始?」と聞かれるが、クムジャの中で「作戦は13年前から始まっていた」のです。彼女にとっては全てがそのための道具。数々の「親切」も計画のうちだったというから驚きです。そんな女の復讐劇が、彼女の出所直後から描かれて行くのでした。言うなれば、これは韓国版「キル・ビルとも言える様な映画です!もっとも「標的はただ一人」ですが。

復讐のヒロインを演じるのはイ・ヨンエ。しかし、その変貌振りにはビックリ仰天!ずーっと清純派韓国女優として応援してきたファンにとっては、これはかなりのショッキング映像です。この映画の中の彼女から飛び出すのは「早く死んでね」などという、あってはならないセリフ。彼女が一生口にしてはイケないお言葉です。しかも、あのソフトな声で優しく言われると逆に怖いデスからっ!

これはもう、過去のイメージ脱却と言うよりは「悪霊が憑依したのですか?」訪ねたくなる変身振り。こっちゃんはこれだけで失神しそうになりました。「ファン限定でR-15なのか?」と思ったほどです。

さて内容に戻りますが、この映画の主人公:イ・クムジャは、目には真っ赤なアイシャドウを塗りたくり、黒いイコートに身をつつんで赤いヒールで街を歩く。会う人会う人に「ずいぶん変ったな」と言われるほど。「標的」の男にまで「クムジャ。そのアイシャドウは何なんだ?」と言われてしまいます。水玉のワンピースを着るような逮捕前の彼女とはまるで外観が違っているのでした。まさに、これが彼女の復讐スタイル。実にインパクト強烈です。彼女が手に持つ「なんじゃこれ?」の形の銃が妙にサマになります。

しかし驚くべきは、この話の展開。こういう形で話が流れ、こんな形で復讐がなされるとは思いもしませんでした。これはちょっと、今まで観た映画の中では記憶にない持って行きようですね。ハッキリ言ってこのシチュエーションは怖すぎます!これなら体が半部腐ったゾンビなんかがウジャウジャ出てきて、人間の頭をカプッと食べちゃうようなホラーの方がよっぽど笑って観れるというものです。

「復讐」なんていうものはそもそもマニュアルなどのない世界。でも、これは正しい「復讐」の形なのでしょうか?もっとも罰を下される男は、復讐を受けても当然のコトをしては来ました。同情の余地などありませんが・・・・。この映画は、良い悪いではなく、生身の人間の心の奥から湧き上がる「恨み」「憎しみ」という感情の恐ろしさを描いた映画でもあったのだと思います。

韓国では、刑務所から出所すると、まず豆腐を食べる慣わしがあるそうです。真っ白な豆腐を食べて身を清めるというものらしいですね。別な韓国映画「オアシス」でもそうでした。出所したソル・ギョングが手づかみで一丁平らげる印象的なシーンがありました。しかし、クムジャは顔見知りの伝道師から手渡された豆腐を食べずに払いよけます。

「わたしは、あと一人殺すつもりよ・・・」

「恨みを晴らすまでは改心など出来はしない」という彼女の心境によるものです。

映画「親切なクムジャさん」は、残酷なシーンの直接的な視覚映像を最小限に留めてはいるものの、感覚では十分痛みを味わえる映画です。あらゆる意味で見どころは満載なのですが、これまたオススメしにくい作品でもあります。正直、R-18でも良いくらいに思えました。

こんな映画ですが、マジメに観ようとする傍らで脇をくすぐられるように、所々に降り掛けられたコミカルなティストが飛び出して来てはクスッとさせられ、余計に困惑してしまいます。そして残酷なストーリーも決して手を抜かず、独特な映像感覚で進んで行くのです。ゆっくりジワジワと。まるで「ご馳走を最後まで取っておいて楽しむ」かのごとく・・・・です。ああ、コワ!

余談ですが、この映画には、韓国スター二人がこれまた実に意外な登場をします。一人が「大統領の理髪師」のソン・ガンホ。イ・ヨンエとは「JSA」でも一緒でしたが、信じられないほどのチョイ役です!そしてもう一人が、「春の日は過ぎ行く」のユ・ジテ。彼も、イ・ヨンエとはこの作品で再度共演ということなのでしょうが、これまた「共演」と呼べるかどうか迷うほどのチョ・チョイ役。(大事な役どころではあるんですけどネ・・・) もし、これからこの映画を観ちゃう韓国映画好きさんがいましたら、この二人がどこで出るかというのも楽しみの一つかもしれません。

こっちゃんは、「この映画が好きか?」と聞かれると、実はちょっと返事に困ってしまいます。何よりイ・ヨンエにはこんな役をやって欲しくはなかったというのが正直なところです。でも、そんな風に世間が思う彼女だからこそ、この映画の「天使の美貌を持つ悪魔」の役にピッタリだったのかもしれません。

逮捕され、マスコミの前に身をさらしたマスク姿の彼女に、「大韓航空機 爆破事件」の金賢姫(キム・ヒョンヒ)の姿を見た思いがしました。

これはこれで映画として楽しめるのですが、イ・ヨンエには次作からきっちり清純派に戻って欲しいですね。

復讐を果たし全てが終わった後、豆腐のように真っ白いケーキにかぶりつくクムジャさんが印象的で、帰りにコンビニでケーキを買って帰りました

《2006.08.03記事一部改訂》

 

【作品】親切なクムジャさん

親切なクムジャさん SYMPATHY FOR LADY VENGEANCE

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