こっちゃんポイント ★★★★
鑑賞環境 こっちゃんシアター 上映時間 119分 製作国 韓国 公開情報 劇場公開 (シネカノン) 初公開年月 2005/05/14 ジャンル ミステリー/サスペンス/ロマンス 映倫 R-15
刑事のギフン(ハン・ソッキュ)は、妊娠中の妻スヒョンを愛しながら、美しい愛人カヒ(イ・ウンジュ)との情事を楽しむ日々を送っている。ある日、写真館の主人が殺害される事件が起こり、第一発見者の妻、ギョンヒを取り調べたギフンは、彼女に言い知れない魅力を感じていく。捜査が難航するなか、ギフンはカヒに妊娠を告げられた。冷たい言葉を浴びせながらも、カヒから離れられないギフン。やがて、完璧だったギフンの生活は均衡を失い始める…。(goo映画より抜粋)
イ・ウンジュさんの遺作です。
この映画には、将来を有望されながら映画女優として最後の演技をする彼女の姿が焼き付けられていました。あらためてご冥福をお祈りいたします。そしてこの映画を観た後、インターネットで白血病で闘病をしていた本田美奈子さんの訃報を目にしました。芸能人の死はあらためて多くの人々に衝撃を与えるものなのだと感じました。ここで合わせてご冥福をお祈りさせて頂きます。
「スカーレット・レター」と言えば、洋画の方を思い浮かべる人の方が多いかもしれませんが、これは韓国映画。2004年の作品です。
映画はイ・ウンジュさんへの追悼のテロップで幕を開けます。
笑えないお話ですね。
けれど、『アダムとイヴ』の一説とハン・ソッキュの魅力的な声による語りに始まり、悲惨な結末を暗示するかのようなクラッシク音楽と、街を歩く血まみれの女・・・。そんな風に幕を開けるこの映画につい見入ってしまいました。
ハン・ソッキュ演じる刑事ギフンは、この映画の中での一つの殺人事件の捜査を始めます。鈍器のようなもので頭を割られ殺された写真館の主人。「彼は何故殺されたのか?そして一体誰に殺されたのか・・・?」当然ながら疑惑のかかる第一発見者の写真屋婦人と、それを取り調べる刑事のギフン。
「主人の他にオトコがいたのでは?」と訪ねる彼ですが、そんな彼の方こそ妊娠中の妻スヒョンを愛しながらも、ナイトクラブの歌手カヒ(イ・ウンジュ)と情事を重ねていたのでした。
『八月のクリスマス』では、静かな余韻の残る演技で観客を魅了してくれたハン・ソッキュですが、ここではそんなイメージが吹き飛んでしまうほどの汚れっぷり。人間味という点ではコチラの方が自然な感じがしないでもないけども、今まで抱いてきた彼のイメージからはあまりに遠くて、チョット引いていまいます。
ゆっくりとジワジワ進む殺人事件の捜査。被害者の妻の周辺をひたすら洗うギフン。事実が少しずつ分かるとともに、別なところで彼の身の回りがあからさまになって行く展開が興味深いですね。
写真屋の婦人の嘘。そして自分の嘘・・・・。
ギフンは、自分の妻の友人でもあるカヒと不倫を続けながらも、あくまで妻の前ではシラを切り体裁を取り繕うとします。「愛人は必要だが、生活は捨てない。」そんな生き方。
カヒからの電話を同僚の刑事からの連絡のように誤魔化すギフン。しかし、当の妻には全てが知れている。そしてカヒは彼の子を身ごもってしまう。
この愛の先に未来はないのだと感じつつも、愛に生きるカヒは、皮肉を込めて、こんなセリフを言います。「気が向いたら寄って、帰りたければ帰る。私はドライブインじゃないのよ。」
こんな二人を待ち受けていた運命はちょっと意外な感じがしました。
しかし、この愛の結末は悲惨で壮絶です。
そして、ラスト近くで明らかになる真実に愕然!なんと意外な!物語の鍵を、この人物が握っていたとは。結婚。中絶。合鍵・・・。それらの理由が懺悔のシーンで明らかになります。
血まみれのカヒ。半狂乱のギフン。そんな二人の姿を目の当たりにしてしまったスヒョン。この映画では誰もが「秘密」を抱えていた。これが禁断の果実を食べてしまった3人を待ち受けていた結末。
「愛していたら許されるの?」
写真屋婦人が言ったこのセリフが、この映画のテーマなのだと感じました。
(2006.08.01記事一部改訂)
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