こっちゃんと映画をみまちょ♪

レビューと呼ぶほど中身なし。しかし中身が無いのも中身のウチよのぅ。・・・なんちって。

ALWAYS 三丁目の夕日 (2005)

2005年11月08日 | めっちゃ好きMovie
こっちゃんポイント ★★★★★
             (金犬賞受賞)
鑑賞環境  映画館
上映時間 133分
製作国 日本
公開情報 劇場公開 (東宝)
初公開年月 2005/11/05
ジャンル ドラマ/ファミリー/コメディ

昭和33年の東京。短気だが情の厚い則文(堤真一)が営む鈴木オートに、集団就職で六子(堀北真希)がやってきた。小さな町工場にがっかりした六子を、一家のやんちゃ坊主・一平(小清水一揮)は、「もうすぐテレビがくる」と慰める。鈴木オートの向かいで駄菓子屋をする茶川(吉岡秀隆)は、芥川賞の選考に残った経験がありながら、今は少年誌に冒険小説を投稿する日々。ある日茶川は、淡い思いを抱く飲み屋のおかみ、ヒロミ(小雪)に頼まれ、身寄りのない少年、淳之介(須賀健太)を預かることに。 (goo映画より抜粋)

 

思わずポロリときました。なんともハートウォーミングなお話です。

ビデオもケータイもプレステも無かったこの時代に、今、モノに何一つ不自由しない我々が一番欲しかった物がいっぱいあったのですね。
何十本となく映画を観ているとたまに予告編で泣きそうになる映画があります。

この作品もそう。

映画の中でどうしても聞きたかった台詞がありました。
それが吉岡秀隆クンの「バカヤロー!心配かけんなよ!お前とはアカの他人なんだからな!」という言葉。
初めて耳にした時に、「これはなんて深くて暖かい言葉なんだろう」と感動してしまったのです。

飲み屋のおかみヒロミに乗せられて、どこの誰の子かも分からない全く他人の子淳之介を預かってしまった売れない小説家の茶川竜之介。

引き受けてはしまったモノの初めはヤッカミがっていた茶川ではありましたが、やがてこの二人は茶川が書いた「少年向け小説」を通して心を通わせて行きます。その内に、実の母の存在を知り、「会いたい」と高円寺まで冒険をし、帰りが遅くなった淳之介をしかりつけた茶川が言った言葉がこの台詞でした。

映画は、そんな茶川が小説書きの傍らで営む駄菓子屋と、その向かいにある自動車整備工場の鈴木オートでの出来事を中心に繰り広げられます。

青森から就職活動の末やってきた六子【むつこ】は、その名前から「ロクちゃん」と呼ばれ、この鈴木オートで住み込みの従業員となります。短気な社長と、優しくもたくましい奥さん、そしてその息子の一平に囲まれて、この東京で社会人としてのスタートを切るのでした。

この物語は、てっきり「大会社の社長秘書になれる」ものだと期待に胸を膨らませ、上京した彼女が着いた途端ガッカリする所から始まったりもしますが、実は話としては、この茶川と淳之介の関係も同じくらい、もしくはそれ以上のウエイトで描かれて行きます

映画の中のあちこちで目にする心温まる人と人のつながり。

日本が戦後復興を遂げた背景で裏を支えていたのは、こうした人たちの暖かいドラマだったのでしょうね。あたかも自分がタイムスリップしてしまったかのような気にもさせるほど完璧に見える昭和33年の東京の街並みを舞台に、この頃の生活が再現されていくのです。

この頃、東京タワーはまだ未完成。ちょうど半分出来たかどうかの状態でした。各家庭にまだテレビなど普及してはいない頃でした。テレビ、冷蔵庫、洗濯機。これが「三種の神器」と言われ、そんな物に人々が憧れていた時代です。

この映画でも、鈴木オートにテレビがやって来た日の模様を観ることができますが、なんとまぁ驚くほどの盛り上がりよう。隣近所ではスッカリ話題の中心になり、お酒を持って「お祝い」に来る人までいるホドです。当の鈴木オートも、大勢の来客にスイカを振る舞い、上を下への大騒ぎ。そしてさぁ、テレビをつけましょう!というその前に、まず社長のごあいさつ。「え~わたくしは戦後・・・」からはじまり、まるで除幕式さながらなんですね(笑)

そして、いざスイッチおんっ!ゆっくりと立ち上がる画面に現れたのは、紛れも無いこの頃のプロレス・ヒーロー『力道山』でした。お茶の間に湧き上がる歓声!必死に空手チョップのマネをするタバコ屋のおかみ。こんな雰囲気が楽しすぎます!

こっちゃんも実家にいた頃、初めてカラーテレビが来た時を思い出しました。新しいテレビのスイッチを入れると、そこには無敵のヒーロー『レインボーマン』が。「わぁ!虹が七色に見えるよ!おとーさんっ!」そんな思いではしゃいだ頃が頭の中に浮かび上がったりして、この映画の人たちと一緒に興奮してしまいました。

それにしても、こんなに面白い話だと思いませんでした。

期待を裏切らない映画です。

シリーズ総発行部数1400万部を誇るという人気の原作だけあり、個々のキャラクターの設定や性格付けがシッカリしていますね。しかもその誰もが優しく、暖かいんです。

そして、そんなキャラクターを演じる豪華な俳優たち。堤真一、薬師丸ひろ子、吉岡秀隆、三浦友和、小雪などの第一線に加え、堀北真希、須賀健太、小清水一揮らの子役も実に素晴らしい。漫画らしいオーバーな振り付けもちゃんと”味”になってました。

まるで夕日に包まれるかのような暖かい音楽に乗せられて、心地良くこの年代の世界に入って行けます。

エンドクレジットでもいくつかのスナップ写真が流れますが、そこにはイメージとしてこの時代に生きたそれぞれの人たちの”一番幸せな笑顔”がありました。

物質的に豊かではなくとも、そんなことに負けたりしない。
心は間違いなく今の我々よりも豊かな時代だったのです。

熱くなるけど人情に溢れ、突き放すけども追いかける。
そうして人々は、互いに体を寄せ手を取りながら、完成した東京タワーの向こうに美しい夕日を見るのでした。

何度でも観たくなる、本当に良い作品です。
この時代を知らない人が観ても感じることができる”何か”がここにはあります。

《2006.08.01記事一部改訂》

 

【作品】ALWAYS 三丁目の夕日

 

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