こっちゃんと映画をみまちょ♪

レビューと呼ぶほど中身なし。しかし中身が無いのも中身のウチよのぅ。・・・なんちって。

同じ月を見ている (2005)

2005年11月16日 | ふつーMovie
こっちゃんポイント ★★★
鑑賞環境  試写会(映画館) 
上映時間 106分
製作国 日本
公開情報 劇場公開 (東映)
初公開年月 2005/11/19
ジャンル ドラマ/青春

幼なじみのエミ(黒木メイサ)の心臓病を治したい一心で、医者の道を歩む鉄矢(窪塚洋介)。恋人同士の二人のもとに、ある知らせが届く。もう一人の幼なじみのドン(エディソン・チャン)が、刑務所を脱走したというのだ。人の心を絵に描き出し、その人を癒してしまう不思議な力を持つドン。誰よりも純粋な心を持つドンに、大切なエミを取られてしまうのではないか・・・。そんな不安と暗い思い出を抱える鉄矢、そして二人の間で心が揺らぐエミの前に、ドンが7年ぶりに現れる。 (goo映画より抜粋)

 

エディソン・チャン、日本映画に出演してくれてありがとー!ずーっとアナタばかり観てました!(笑)

お騒がせの一件からようやく復帰を遂げた窪塚洋介の第一弾がこの映画です。数あるシナリオ候補から窪塚自身が選び抜いたというだけあり、まさにこれは窪塚のための映画とも言える内容でした。つまり良くも悪くも「彼」のカラーが色濃くスクリーンに飛び散る作品だったという印象です。

こっちゃんが何故かしら苦手意識を持つ俳優に、この窪塚クンがいたりします。演技に何処かしら「ヤンチャ」なイメージがあって、時としてそんな部分に不快感を感じたりすることがあったからかもしれません。ただ、そんな彼のテイストが上手に生かされたなぁと感じる作品も全く無いわけではなく、「GO」なんかは正にそんな感じで楽しめました。

さて今回の窪塚クンは、恋人の心臓病を治そうと信念を持つ研修医の青年の役。しかしその裏には友に対する屈折した心理があったりします。原作が熱い漫画家、土田世紀の作品ということもあり、実に激しい気性が見え隠れする人物です。そして、その幼なじみであり心優しい青年の役に、香港スターのエディソン・チャンがキャスティングされるという、なんとも大胆で嬉しいサービスありの映画でした。さらに、生まれつき心臓を患うヒロインには沖縄でスカウトされ芸能界に入ったという黒木メイサがあてがわれています。「JJ」のモデルとしても活躍しているというだけあって、きっちり華を添えてくれましたネ。

こんな3人の関係、友情や愛情、そして苦悩や葛藤を中心にドラマが展開して行きますが。これはかなりの「大味」感覚。観ていると「え?ここで?」とか「おいおい、そこ順番がちがうだろ!」「今そんなコトしてていいのか?」などと口を出したくなる衝動に襲われてしまいます。例えば・・・(ネタ完全にバレてますので興味のあるかただけ反転ドラッグでご覧下さい。まだこの映画をご覧になっていない方は読まないことをオススメします→)

火事で燃え盛る火薬倉庫。中には少年が!早く助けなきゃいけない状況そっちのけで三人は火事場の前で再会。そこで感傷に浸ってしまいます。チョット待って!中では少年が苦しんでます!

「もしかして見捨てるの?」と思いきや、その後でゆっくりと火に飛び込んで行くドン。そしてそれを追う鉄矢。もっと早く行かなきゃダメでしょッ!

そして中で倒れた少年を見つけ、その場で心臓マッサージ開始・・・・て。え?ちょっと待って!早く出ないと火薬で吹っ飛んじゃいます!既にあちこちでドッカン!ドッカン!言ってますから!これはほんの一部ですが、こんなテイストがあちらこちらに満載。

そういえば、幼い頃から日本で暮らしていたドンが大人になってもカタコトの日本語だったのも気になります。(←ここまで内緒モード)
言うなれば、題材はメチャメチャ面白いけど作りが荒いカンジが出てしまったようにも感じました。

それも窪塚クンが好きならまぁ許せるという感も、無きにしもあらずなんですが、そうではないこっちゃんは、ちょっとだけ置いてけぼり。まるで『復帰第一弾テレビドラマ』を映画館で観てしまったような感じです。そういう意味では「新作映画を劇場で観る」という満足感からは少し遠い気持ちになってしまいました。

音楽なども「冬ソナ」の担当をされたという方らしく、いかにもそれに準じた作りで、若干大袈裟な演出が残念。

ただ、「そんなの気にならないよ」という人なら、この映画には十分のめり込んで行けると思います。こっちゃんも、何だかんだ良いながらも楽しみました。とっても張りのある作品ですね。チラシにあるような「号泣のラストシーン」はオーバーかもしれませんが、泣いている方も確かに数名いらっしゃいました。(こっちゃんは泣けませんでしたけど)

この映画での何よりの収穫は、日本映画で、エディソン・チャンを観れたことです。彼の俳優としての資質は素晴らしいですね。窪塚クンの半分も台詞が無かったのに、この存在感!眼を見ているだけで引き込まれるようなオーラをこの映画でも放っていました。ただ、華流スターをこんなこ汚い使い方をして良いの?とコチラが心配になるほどの役どころ。幼い頃に父母を亡くした不幸な境遇の青年とは言え、ほとんどがボロボロの服での登場です。アジア外交の不安な要素になるのでは?と、いらぬ心配までしてしまいましたが、そんな役を進んで買って出たエディソン・チャンに拍手を贈りたい気持ちで一杯です。

あと俳優では、目つきの悪さが板についてきたヤクザ役の山本太郎と、いつも妙な面白さを醸し出す美容クリニックの先生役の松尾スズキも良かったですね。この二人は結構お気に入りのキャラになりました。

さて、この映画にはドンの持つ「念力」というキーワードが登場します。そして彼の描く「絵」が至る所で登場します。この不思議な能力と絵が物語のスパイスともなり、またラストに繋がっても行くのです。ここら辺はちょっとしたファンタジーですね。この感じは嫌いじゃないですヨ。

そんなこんなで、とっても良かった部分と、ガクッときちゃった部分の混在する映画でもありました。モヤモヤしたモノも残りましたが、トータルでは「好き」と言ったとこです。

それぞれ別なところにいても、見上げるのは同じ月。

でも、互いの心に映る形まで同じだったのでしょうか?

和室にこもり、全身全霊を自らの絵にぶつけるエディソン・チャンの激しい演技に鳥肌が立ちました。

《2006.08.03記事一部改訂》

 

【作品】同じ月を見ている

 

同じ月を見ている 1 (1)

小学館

原作

GO

東映

窪塚クンの秀作

インファナル・アフェア II 無間序曲

ポニーキャニオン

エディソン・チャン主演