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二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

言い得て妙!! 少し私なりに追加。

2023-05-02 09:56:14 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
二胡でもそうですが、中胡と普通二胡では弓の太さも違いますし、毛の量も質も違います。
それはそうですね、弦の太さが違います。
ヴァイオリン系の4つの楽器、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。
これらの弦の太さも違います。
そしてそれらを弾くために、毛の量が相当違うのです。
楽器を作る側から言いますと。
もしかしたら!少し音程の低いヴィオラを作った時に、それを弾くために毛の量を増やしたのかもしれません。
更にチェロでも増やし、コントラバスでも増やしたのでしょう。
そして現在では毛の種類も変えていっています。
なぜこのように増やしたのか考えると、すべて同じ松脂を使っていたからではないか??と考えるのです。
試しに、やってみました。コントラバスは持っていませんが、チェロはあります。
ヴァイオリンの弓でチェロを弾くと、特にCの一番低い弦は相当圧力をかけないとなりません。
ところが、そのヴァイオリンの弓にチェロ用とうたわれている、比較的柔らかくねばねばしている松脂をぬると、結構音が出ます。
しかし、引っ掛かりを良くしたために、反対に音の切れが悪くなります。速い曲を引いたりすると、メロディー全体が汚れた感じ??人の歌声のようには聞こえて来ません。
それを止めるにはかなりのテクニックが必要な気がします。
そこで、チェロ用の弓で光舜松脂の0で弾いてみると。十分引っかかるし切れも良いのです。
流石に、ヴァイオリン用のゆみだといくら光舜松脂でも、チェロの一番太い弦は鳴らしきれません。
多分、楽器の進化と共に、弓の形状も毛の量もそれぞれの楽器に合わせていたのだと思うのです。
昔は、使う松脂が同じですので、毛の量で調節したのではないでしょうか??
ところがいつのころからか、たぶん7,80年くらい前からその同じ松脂(天然熟成された松脂)というのが、手に入りにくくなって、松脂の樹脂を固めたものに色々添加物を混ぜって作るようになったのではないかと感じるのです。
もう一つは、天然熟成された松脂は品質のばらつきがあります。
私自身そのバラツキというのを、Hタイプ Pタイプ、Kタイプと幾つか作り出しました。それらは見た目では違いが分かりません。弾いて確かめるきりないのです。
天然では、それらがバラバラに混ざってしまっています。
今回、K20を作る時にも、0と上手く混ざらないのに大変苦労しました。
重さが違うのです。
ですから普通に混ぜても、重いものが下に行って固まってしまいます。(ネオちゃんが大活躍でK20を上手く作っています)
多分天然の松脂を採取してきて単に熱して固めても同じことになったりしたのでしょう。
それらのばらつきのために、工業製品として販売はできにくくなったように思います。
工業製品は目的をもってその品質を一定に保たないと評価されませんし、販売できないでしょう。天然熟成の松脂を採取してきても、それをきれいに分類して使えないのです。
多分、この7,80年前の世界大戦から増え続けた人口、そしてヨーロッパ文化の世界への広がりとともに、ヴァイオリンを弾く人も相当増えてきているのです。
擦弦楽器の最初の音は松脂が作り出します。
松脂が無いと擦弦楽器は音が出ません。
だとしたらそれを天然熟成の、それもばらつきのあるものに頼ってはヴァイオリンの商品としての広がりには、対応できず、敢えて工業的に作り始めたのではないでしょうか。(二胡もヴァイオリンもどんどん、量産化が進んできています)
そして、同じ一つの松脂では、4つの楽器全てを鳴らすことができないために、それぞれの楽器に合わせた、というより単に、太い弦に対する引っ掛かりを強くしていっただけなのではないかなと、考えます。
二胡でも、不思議なことに、いつの間にか二胡に大変合う無脱色の馬毛や音の出やすい黒毛などの弓も消えていってしまっています。
黒毛や無脱色は張りにくいのです、何しろ馬の油がたくさん残っていますから量産には向きません。
毛の質も、かなり脱色されて傷んだ状態の馬毛が普通に使われているのも不思議です。毛の質が落ちた分毛の量が多い方が良いという話が広がってきてしまっています。(本末転倒)
その増えた分扱いにくく雑音も増えるにもかかわらずです。
ヴァイオリンの弓毛の重さというのは、おおよそ5グラムくらいです。
二胡の現状販売されている弓毛はおよそ9グラムから10グラム前後在ります。
その馬毛をヴァイオリンの人たちが使っているくらいな、軽い脱色した馬毛にすると、8グラムあれば十分、良い音が引き出されますし、イタリア産やカナダ産の黒毛ですと、6,5グラムくらいで十分二胡は鳴ります。
昔の中国曲を弾く人達は、弓毛を緩く張って、弦に巻き付くように弾いていました。少ない毛ですとその方が良く鳴ったのだと思います。
ところが、この30年くらい、とても速いクラシックの難曲と言われるような曲が増えてくると、そのような弾き方ではスピードについていけませんね。
そこで、弓毛をぴんと張り手のひらで握らず、指先で弓を持つようにも演奏方法が改良されてきています。
にもかかわらず、弓と、弓毛は変わってきていません。というか、まだ定番というのが確立されていないと思うのです。
また、音を出すための松脂も二胡の世界ではかえって確立されていないようです。
そこで提案は、昔の天然松脂に戻ったほうが、多少ばらつきのある沢山のメーカーの弓でも、十分に皆さんの楽器を鳴らせるのではないかと考えています。
長々と、作る側としての感想です。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ

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