二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

上 蘇州、下 北京タイプ 

2010-04-22 20:33:11 | ■工房便り 総合 
唐突に、二胡の胴の断面図書いてみた。

共通点が、3つある。

まず、① 左側の皮を張る部分が、薄くなっている。

   ② 右から、40ミリあたりが一番厚い。

   ③ 右側一番後ろの部分が、薄くなっている。

基本的に、皮を張る部分を薄くし、皮の微細な振動を木の振動に変えて、

内部に響かせることによって、音を大きくしている。

皮を受ける部分が薄ければ薄いほど、大きく振動して、大きな音がでる。

問題は、薄すぎると、全体が鳴ってしまい、音がハレーションを起こし、

雑音の塊になってしまう。

この、二つを比べると、口のあたりがより薄いのは、北京系。

当然音は大きくなる。

北京系の作られた当初は、かなり硬い、紫檀や(インドローズ)縞黒檀が使われていたはず。

だからこの形でも、雑音が比較的でないで、良い音がする。

ところが、今や、材料に関係なく、柔らかな、烏木、やパーローズをこの形にしている。

その為に、振動しすぎ、北京系は、比較的に雑音がでやすいとされてしまった。

内部に、竹の筒が入っているものが、北京系に多い。

実験してみると解るが、あの竹を抜いたとたん、雑音だらけになってしまうし、音量も落ちてしまう。

あの筒は、清流作用が有ると考えられる。

ちなみに、もしかなり雑音酷いな、と、思う二胡を持っている人がいたら、

トイレットペーパーの芯を入れてみるといい、かなり雑音が、緩和されるはず。

でも、形がへんかも。

それから、この竹筒、真芯に入れないと、役割を果たさない。

一度自分のをみてください、真ん中に入っているかどうか。

話が先に進みすぎた。

本来なら、黒檀等の硬い材料を使って、出来上がったはずの、北京二胡。

材料が、音を作りだす。

トイレットペーパーの芯であろうと、竹筒であろうと、音をきれいに出しているのだから、構わないが、

本来の木と構造組み合わせたら、どんなに良い響きがするのだろうか。

そういう意味でも、材料には、こだわりたい。

また、いつかは起きる事態だろうが、いずれ、良く乾いた、紫檀黒檀など、枯渇してくる。

その時には、より柔らかい材料を使わざるを得ない。

その時には、形そのものを考えるべきだろう。(例えば、皮張の部分もう少し厚くするとか)

今、中国で作られている二胡は、ごく一部の制作者を除いて、伝統的な型で削り上げている。

紫檀であろうが、バリサンダーであろうが、花梨であろうが、その硬さや、比重に関係なく同じ型で削るし、同じ厚みにする。

これは、楽器としての性能を引き出す為には、有効ではない。

極端な例だが、紙の板を叩いて音を出すとする。

鉄の板で鳴らしたと、同じ大きさ、響きにするためには、紙の板は、鉄より厚くしなければならないし
大きくしなければならない。

だいたい、同じには鳴らない。

木が音を作りだし、音が形を作りだす。

それは、胴だけではない。

続く。
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