二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

難問よ来たれ!

2023-09-18 16:25:28 | ■工房便り 総合 
楽器の修理というのは、確定した答えがありません。
しかし大まかにはあるようです。
例えば、胴のこの辺りを削ると音は大きくなる、この部分が薄いとウルフ音が出やすい。
花窓を付けるこの部分は厚みが重要など、など、
しかし、今回のように内弦は十分鳴るのに、外弦の開放弦はまったく音にもならない。
そうなのです、音にもならない。
そこで、色々胴の厚みを計測すると、ある部分だけが薄すぎ、そこでその部分に木をはぎ合わせて足してみると、何とか音は鳴る、しかしまだ十分ではない。
これは皮剥がしてみないと、という事で、皮を剥がしてみるとなんとそのあたりはさらにひどく木の厚みはバラバラ。
では、ここにも木を足して、やっては見ても、それで音が分かるわけではありません。
やはり皮を張って弾いてみないと結果が分からないのです。
まさか、最高級の皮張って、試してみたら、まだ駄目だったというのは辛いです。
そこで一工夫。
以前、見たことのある白蛇の皮の二胡。(画像だけですが)
この皮、張り込んでそのまま端を切らないで再度また張れるようにしてあったのです。
珍しい白蛇だから、無駄にしたくないと良い木の胴に出会うまで、何回か胴を変えて張り替えるのだそうです。
そこで試してみました。
結局は良い皮に張り替えたとはいえ、この方法で何回か張り方を変えて、一度張った皮を試すだけなら再度使えるのですね。
再度使うにも一番大切なのは、ボンド。
というより、ボンドでは無理ですね。
膠です。
ヴァイオリンなどがこれだけボンドが発達したにもかかわらず、何しろ鉄と鉄を付けられるくらいですし、飛行機などは溶接などは使わずそのほとんどがボンド付けという場所もあるくらいです。
ヴァイオリンは木そのものを振動させますからその振動や経年変化で木が動きます、収縮していきますし硬化しても行きます。
サイドの板が外れたり表板がが割れたり、指板などは弦の力で削れて行きます。そうすると指板の黒檀の板を外したり、あるいは表板だけ外したりするために膠を使います。
膠は少し水分を加えたりすると、あるいは60度くらいの温度でも半溶けになって板が剥がしやすくなるのです。
そこで、今回は膠を塗って一度張り込んでみて、鳴らして確かめるというのを繰り返したのです。
良い勉強になりました。
こんなこともあるのだというのが、よくわかりましたしその直す方法も見つけたと考えます。
こうやって皆さんに難問を突き付けられるたびに、そして答えを見つける度に光舜堂の二胡知識は増えて、ネオちゃんにまで伝えやすくなりますね。
そうでないと単なる私の感だけでの仕事になりかねませんね。
何とか二胡の修理という技術を確立しておきたいのです。
まだまだ、このような修理技術は必要とされる日本の二胡業界でしょうから。
実験は終わり、最終的には新規の天然皮を張って、あとは祈るのです!
明日には音出しができるでしょうね。楽しみです。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ。ネオ





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