二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

不思議な老紅木?

2018-01-23 12:33:05 | ■工房便り 総合 
先日、金沢に行ってきました。

ニコミュージックラボ(NML)の孟さんのところへです。

調整会だったのですが、ほとんど、NML以外の生徒さんたち、

富山、福井など近県の生徒さんたちでしたし、

同じ金沢でも、他の教室の人たちでした。

「孟さんこれならもう私たちが来る必要はないね、孟さんたちがしっかり教室の生徒さんたちの楽器は調整できているから」

実際NMLにおいてある販売用の楽器は、全てのようにきっちりと調整できています。

これ、当たり前なのですが、

他の店ではここまで、問題ない楽器に仕立て上げられたものというのは、

まあ、なかんかにお目にかかれませんね。

そんななことはないと、思う方もいらっしゃるかもしれませんが、

楽器を販売するでもなく、調整と修理だけで、光舜堂はこの8年やってきています。

次週はもう予約でいっぱいで、大変申し訳ないのですが、調整等のご相談、翌週以後にお願いしています。

それほど、きちんと調整ができていない楽器が売られているという事なのではないですか?

そうでなければ、家なんかとっくにつぶれています。

とまあ、話が飛んでしまっていますね失礼。

NMLさんでも、手に負えないような場合は私が少しはお手伝いはしていたとしても、

孟さんとも話したのですが、ちゃんと調整されていれば、どんな二胡でも、良い音になる。

「弾き込みです」と、孟さん

NMLの楽器を色々見せていただいて、なんでこんなに安いの??

「これ普通の金額ですよ、特別に安くしているわけではない」とのこと、

他の楽器屋さんの宣伝しても仕方がないとは思うのですが、安い!

その上きっちりと調整されているのですから、、、

「孟さん、どの二胡が良いのですか」

持ってきてくれたのは、老紅木、(オバンコール)

最近、作られている老紅木はもう、ほとんど、このオバンコールのようですね。
しかし、ここがすごいところで、私の見たことの無い木もあります、はじめてお目に掛って、この木なんというのかわかりませんというのもあります。
ただ言えるのは導管がとても多い木が多いです。ホントまれにですがインドローズもありましたしね。コマにしたらとても良く響く材料になるのはそのせいでしょう。

昔のは東南アジアのパドウクが主体で、次いでアフリカのパドウク

中にはマダガスカルローズ(本紫檀と呼ぶところもあるみたいですが)

不思議なのは、単に紅木の楽器というとかなり安い物のイメージなのですが、

そこに,老、が付くだけで金額も評価も跳ね上がります。

4,5万円で販売されているものもある紅木なのに、

老が付くだけで中には、50万を超えるものもあるのですね。

もちろん材料そのものが別の木ではあるのですが、

しかし、老紅木と名前の付けられたものは、本当に良く鳴るものが多いです。

最近、この10年くらいは中国の楽器の品評会でも、紫檀の楽器が評価されることが多いですが、

それ以前はプロの持っている楽器というと、半分くらいは老紅木という感じでした。

まず、黒檀を弾いている演奏家というのはほとんどお目に掛ったことがないですね。

現在の楽器のように、直径90ミリを超えるような楽器ではなくとも、老紅木は良く鳴ります。

胴の中で音が膨らんで、それが思わず外にまで響き渡る感じが、老紅木でしょう。

それに比べると、紫檀は外に広がるより音色に置き換えられて、という感じですかね。

黒檀は、大変失礼かもしれませんが、滅多に良く響くという楽器にはあまりお目に掛ったことがないです。

黒檀の中でも、カリマンタン江ボニーは、紫檀ぐらいにはなりますね。

でも真黒といわれる、インドの黒檀やスリランカの黒檀は鳴る!!という感じは少ないです。

しかし、胴の厚みが、あるいは楽器の大きさが皮の厚みとバランスが取れると、

インドの真黒も大変良く鳴りますし、むしろ、金管楽器のようななりに聞こえるのです。

たぶん、たぶんですよ、最初の二胡現在の二胡を作り出したときに、定番だったのが、老紅木だったのではないでしょうか。
(あるいは花梨)

その時の型がいまだに使われています。

導管のとても多い、パドウクあるいは、オバンコールにはとても適した、型と厚みだったのでしょうね。

ところが、黒檀のように繊維も弱く導管もほとんど見えなくなっている楽器は、

もっと胴の木を薄く作るきり、鳴るという、感じには、振動しないのですね。

ちなみにこれは、紫檀とパドウクの比較


これは黒檀とパドウクの比較


導管が多いと中に空気の含みが大きくなるのです、行ってみれば小さな太鼓がたくさん含まれている感じではないでしょうか。

通常、二胡の胴の木の厚みは、6mm前後です。(メーカーによって、違いは少しはあるようです)

これをこのまま、黒檀にするのと老紅木にするのでは響き方が違います。

そこで、紫檀を造るときには、胴を少し大きくして(比較として、木は薄くなります)、、板が鳴るようにし、

皮も薄くして、良く振動するようになってきたのだと思いますが、

まあ、量産である以上、その一台一台が鳴るように作るというのは、かなり無理があるとは思います。

皆さんのお持ちの老紅木、良く鳴りませんか?

むしろ抑え気味にしてやらないと、音が割れてしまうのもあるかもしれません。






Comment    この記事についてブログを書く
« 1月14日(日) トンネル地... | TOP | 楽器の調整とは、簡単に言う... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ■工房便り 総合