二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

胴の割れで気を付けなければいけない事。

2023-11-27 10:07:51 | 二胡の救急箱に書かなかったこと

見事に割れていますね!
これは多分経年変化で膠の力が落ちて割れたのか、あるいは経年変化で木が動いたのか?でしょう。
木は動きます。
何より乾燥の十分でないものは動きます。
例えば、伐採したばかりの針葉樹は例えば厚み1センチくらいにしておいたとしたら、一年後には5%は縮みます。10センチの幅だとしたら5ミリくらい縮ます。
これが5センチくらいの厚みだとすると1年経って2ミリくらいの縮みです。
丸太のままだとすると1年くらいではほぼ縮みません。
では、十分な乾燥というのは?
それは木の種類によって違います。
そして製材してあった木の厚みによっても十分な乾燥というのになりにくいのです。
このように胴の割れを起こす場合割と厚みのある材を製材してすぐ胴に作ったりすると後々木が動いてこのように胴割れを起こすことが多いです。
小葉紫檀は比較的動かない木です。ですので比較的小葉紫檀の木の童話割れるという事が少ないようです。
最近ではこの10年くらいアフリカ紫檀は割れることが多かったです。と言いますのは、アフリカ紫檀が二胡の材料として使われるようになったのはまだこの15年くらい前のようですから、木自体の乾燥が十分でなかったとも言えます。また老紅木としてパドウクの代わりに使われ始めたオバンコールも良く割れました。やはり二胡材として新しく使われた木だったからでしょう。
最近購入されたというオバンコールの老紅木は色も濃くなり割れたというのもあまり聞かなくなりました。
この画像の木はカリマンタンエボニー、いわゆる烏木(黒檀)と言われて販売されているものです。これは昔から使われてきていて良い黒檀の二胡としてみなさんにも愛用されているものです。これ少し気になるところがあり、軽く叩いてみたら、
見事にあと3カ所割れました。
この場合は多分、最初の膠の劣化が早かったのでしょうね。
このように見えているところは2カ所でも調べてみるともっと多く割れていることが多いです。
膠は接着するときの温度や周りの湿度に微妙に反応して良くついたりつかなかったりというのがあってとても現在のボンドなどに比べると難しいです。
また水性ですから木の持っている油分との相性がとても悪いです。
最近では中国でもタイトボンドが使われていることも多くなったと聞きます。
さてこれだけたくさん割れると直すのが大変そうですね。
でもネオちゃんには二胡の修理の良い勉強になるでしょう。
頑張ります。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ。

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