二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の棹に一番合うのは、黒檀(真黒黒檀)

2022-03-24 10:22:52 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
棹が振動すると楽器全体が鳴りますね。
その鳴るということでは、ブラジリアンローズ、そして紅木(コウキ)いわゆる小葉紫檀ですね。
しかし小葉紫檀を棹にするのが難しいのは、曲がりやすいということです。
このことは、演奏上の問題で様々問題が出てきます。
そして、ブラジリアンローズも良くは鳴るのですが、重低音が出てきにくいと、私には感じられます。
その点、真黒はどんな音域の楽器でも良く振動させるようです。
ですからでしょう、ヴァイオリンの指板はそのほとんどが真黒黒檀を使っています。顎当ても、テールピースもヴァイオリンのほぼ90%くらいが真黒黒檀を使います。
ただ一つ問題は、その良く振動するという理由のマイクロクラックほんとに細かな罅が入りやすいのです。

これは、今金沢のNMLさんで販売している西野二胡の小葉紫檀です、棹は真黒です。

これ実はあるお客さんが欲しいというので一度お送りしたのです。ところがお客様のところに着いてみると、棹の頭にひび割れがあったとのこと。
真黒は何時ひび割れが現れるのかわからないのです。

気候と運送などで環境が変わって現れたのでしょうが、これは修理をしてNMLさんで販売してもらうことにしました。ひび割れは様々な形で現れます。
一度ひび割れが現れると、あとはほとんど問題なくいくというのもわかっていますので、最近では真黒黒檀は棹に作って2、3年工房で保存してあるのです。まあこれもご縁でしょうね、というよりご縁がなかったのでしょう。
しかし、この楽器私の作った中でも最高に良い楽器ではないかと思っています。
中には、そんなひび割れを起こすような物使っているのかと、怒る方もいらっしゃるかもしれません。
しかし木でできた楽器は、ひび割れだけではなく常に補修が必要なのだと常々私は言ってきたつもりなのですが、ヴァイオリンなどは演奏中に表板が剥がれたり、指板が剥がれたりすることもあります。
二胡も同じですね。ですから胴割れの修理だけでも、私は年間10台くらいやっています。中には皮が剥がれたりもします。
木は動きます。動くからこそ生きているともいえるのです。
最近、二胡のあるメーカーが木が動くことを嫌って、とんでもなく強い人工乾燥をかけているところもあります。絶乾と言って、含水率を10%以下に下げると、木は動きにくくなる、というか、ほぼ死んだ状態ですね。
楽器をそうやって作ると、音色も落ち響きも少なくなり、折角の二胡がつまらない響きになります。それをたくさん買っているひともいまして。そういう楽器が、「なんだか二胡の良い響きがしないのですが!!」と光舜堂に持ってこられる方もいます。
これはもうどうしようもないのです。
ですから、洋楽器は絶対に人工乾燥などはしないようです。唯一量産の10万円以下のヴァイオリンなどは。表板も裏板も蒸気で蒸して曲げていますから、その時にかなり木が傷みます。まあ安いだけはあるという感じの音ですね。
真黒黒檀はもしかしたらひびが入るかもしれませんが、それは直りますし、曲がったりも割れたりもしません。
皆さんも、もし、真黒の黒檀をお持ちでしたら、ひび割れが入っても驚かず光舜堂にお知らせください。綺麗に直します。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ

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