二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

棹の重要性!

2021-04-27 10:45:07 | ■工房便り 総合 
二胡の弦は、木軸と台によって、ピンと張られています。

弦そのものが、この木軸と台の間の長さによって、設計されて作られているはずです。

良く振動する長さと太さの組み合わせでしょう。

二胡の場合DとAに調弦されたときに、良く振動するように設定された、鋼の硬さと、長さと太さなのだと思います。

その設定が働くためには、棹は弦をしっかりと支えなくてはいけません。

その、棹が柔らかく、弦の強さによって曲がっていくとしたら、弦の良い振動が支えられませんね。

曲がってしまえば,発条の様に働きますから調弦も安定しません。

そんなに微妙なのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

柔らかい木ですと、約80センチの棹の長さで、その木の柔らかさにもよりますが、1ミリ近く短くなることもあるのです。



二胡の場合、指板がなく、木軸が38ミリほどは前に出っ張っていますから、棹は常に曲がろうという荷重を受けています。

調弦したまま、おいておけば、18キロぐらいの力が常にかかっているのです。

常に曲がろうという方向です。

この絵は極端ですが、このように曲がってしまえば、弦は常に不安定になります。

いくら硬いと言われている黒檀でも、多少はこのような形になる方向で、常に弦で引っ張られているのです。

確かに柔らかい木だと、良く振動する木もあります。

また音色としても良いものもありますが、このように曲がってきてしまえば、弦の働きが悪くなります。

調弦も狂いますし、設定された振動が出てこなくなるでしょう。

昔の二胡の棹は、16ミリの丸でした、それが現在の涙滴型になって来たのは、このように曲がりにくくするためと言われています。

確かに、曲がりにくくはなったのですが、棹が太くなった分、音の切れが無くなったともいわれます。

昔の丸の棹の方が、繊細に弦の響きを、伝えたのではないでしょうか。

ただ、時代とともに、二胡も音のパワーを求められるようになってきたのもあり、弦も絹弦から、スティールに変わり、それを支えるためにも、棹は太くなったのかもしれません。

このところ、あるご注文があり棹の太さとその木の質の事を考えています。

これからいくつか実験をしようかと考えています。

柔らかい良く振動するが、曲がりにくい棹。

これはやってみないと分かりません、楽しみです。

工房光舜堂西野和宏&ほぉ






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