退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

울지 말고 꽃을 보라

2014-08-21 07:04:12 | 韓で遊ぶ

新芽
暗かった。監獄の小さい窓から朝日がのぞいても殺人罪を犯した彼は少しも明るさを感じることはできなかった。目に見えることはすべて暗いだけだった。彼に残っている望みがあるとしたら一日も早く刑が執行されあの世に行くことだけだった。
ある日、そんな彼に刑曹から人が来た。彼はもしや今日、刑が執行されるのではないかと思ってすごく緊張したが刑曹から来た人の言葉は意外だった。
「お前は生きたくはないか。」
「人を殺した私が、どうして生きることを望むことができますか。」
彼は肩をすくめた。
「生きる方法がある。私が今日、その方法を教えてやろうとお前に会いに来た。」
刑曹から来た人が六面棒で彼の肩をトントン叩いた。
「首切り人になりなさい。今回の殺人の囚人たちの中から、首切りを何人か選ぶことになったのだが、お前、どうだ。首切りになれば今すぐ釈放させてやる。今回、キリスト教徒がたくさん捕まったのだが、やつらの首を切る首切りが必要なんだ。どうだ。この機会に首切りの仕事をしてみないか。死刑囚から抜け出せる絶好の機会だ。」
彼は少しもためらわなかった。生きることができるならばどんなことでもできないことがないと思った。
「助けてくれるならばどんなことでもします。私にも年老いた母に孝行できる機会をください。」
彼は首切りになってたくさんのキリスト教徒を殺した。彼は首切りの中でも一振りで首を切り落とす首切りとして有名だった。
彼はキリスト教徒を殺す時、丸太の切れ端を利用した。丸太の切れ端に罪人の首をのせてから、先に剣の踊りを踊った。ある時は剣の踊りを踊る前に、罪人の顔に水を吹きかけて石灰をまいたりもし、耳に矢をさしてあちこち見物の人の間を引っ張ったりした。

そんなある年の冬だった。彼は燃料を準備していて、桐の木を切って死刑執行場で使う丸太の切れ端をひとつ準備しておいた。
桐の木の切れ端は庭に捨てられたまま、冬の間雪に覆われ雨に当たって春を迎えた。
春になるとまた、キリスト教徒を捕まえて殺す仕事が大々的に行われた。彼は新しく準備した桐の木の切れ端を持って漢川の死刑場に向った。そこにはキリスト教徒の死を見物しようとする人々もたくさん集まった。
日差しがまぶしかった。彼は一人のキリスト教徒の首を丸太の切れ端の上にのせた。か弱い少女の首だった。少女は少しも恐れる気配はなかった。目を上げて天を眺めて口元にはかすかに微笑を浮かべていた。
彼は少女の微笑がまるで自分をあざける笑いに思え、すばやく剣に水を噴きかけ首切りの踊りを踊った。徐々に剣を振り回して、かわるがわる足を上げたりおろしたりしてくるくる円を描いた。そして、踊りを終えて少女の首を切るところだった。
だが、剣に力をこめて少女の首を切ろうとした瞬間だった。彼の目に丸太の切れ端の角に何か緑のものが見えた。彼は剣を振り下ろさないですぐにそれが何か、調べた。
あ、それはとてもやわらかい新芽だった。冬の間に庭に捨てられあちこち転がっていた桐の木の切れ端に青い芽が出たのだった。
コメント
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