第3章 サラリーマンのサバイバル
上司には礼儀を持って反論しなさい
「人間のすべての行為は偉大になろうとする欲望から始まる。」
かつて、フロイトは人間の成就欲求に対する研究を通してこのような結論を出した。
成就欲求が強い人は他人に認められようとする四級も同じぐらい強いものだ。だから、彼はその二つの欲求を充足させるために他人よりも一生懸命努力する。その結果ある程度の地位まで上がると自負心と充足感に包まれる。自分の経験とか知識に対する優越感が彼を頑固な性格に変えさせるかと思うと、反面では自分でも知らずに不安感が不意に襲ってくるのを感じる。日々あふれ出てくる新しい知識とその無限な情報、賢く利口な若い後輩たち、、、
今まで積み上げた知識とか過去の経験では受け止めることのできない歳月の変化の前で彼はだんだん無力感を感じる。
「こうしていたら自分が淘汰されるのではないか。」
会得しなければならない情報量はだんだん多くなってそれを消化する能力がこれ以上ないと感じる時、彼は自分の年齢を振り返るしかなくなる。
学ぶことができることよりもすでに悟ったことを活用して長柄、生きていかなければならない年齢、遺憾だが時代はだんだん過去の知識とか経験を古いものとして押しやる雰囲気だ。それに、終わりなく打ってでてくる若い部下の存在は新鮮な衝撃であり同時に深刻な脅威になることもある。時々自分の決定に反発する部下を見て、傷つくこともし、憂鬱な感傷に陥ったりもする。
新しく独創的なアイデア、無謀でありながらも猪突的な活気、旺盛な実験精神、、、、彼らは彼が少しずつ失っているもので武装した存在だ。彼は生硬な若者がうらやましくも思う。しかし彼は悲しい、、、
もしかしたら、これが今日の組織社会の頂点に立っている、私たち年をとった人々の姿かもしれない。
だから、上司に対する反論における慎みはどんなに強調してもしすぎることはない。どうせどの社会でも意見の対立は避けることのできない現実だが、反論のやり方で本意でなく無礼を犯すことがないように格別に留意しなければならない。
反論を繰り広げる方法には肯定的な表現法と否定的な表現法がある。
肯定的な表現法は相手の体面を保ちながら反論を提起する方法だ。否定的な話法の反論は大概相手に対する配慮が不足するから反論が暴言や非難として伝わりやすい。配慮が不足した反論はあまりにも簡単に人間関係を壊すことができる。特に多くの人の前で反論を提起するときには格別に注意しなければならない。いずれにしても彼はあなたの上司であるのだ。
「君、今私を何だと思ってそのようなことを言うのだ。」
反論を提起した時に上司からこのような反応が出てこないように注意しなさい。彼は今非常に自尊心が傷ついているかも知れない。
あなたがもしや、多くの人の前で上司に顔向けできない無礼を犯したのではなかったか。
上司を尊重してやる心を失わず、根気強く反論を提起したならば相手が傷つくことはほとんどないはずだ。よしんば自尊心が強い上司の立場を考えて、会議中とか多くの人の前で反論を提起することはできるだけ避けて、適当な時に、別に面談を要請することもよい方法になる。
人間はいろいろな意味で露骨なほどに自己中心的な傾向が強い。町を闊歩する女性を注意して見てみなさい。大部分の女性は道を歩きながらもショーウインドウに映る自分の顔を横目でチラッと見る。時々、自分の姿に満足げににっこり笑ったりしながら。このような行動はすべての人間の心の中に内在されているナルシス的な傾向が作り出すものだ。
男の場合も同じだ。理髪店で髪を切った後、金を支払ってすぐに店を出てくる人はほとんどいないはずだ。彼らはほんの何秒かでも自分のさっぱりした姿を鏡の中に映してみる。そして、「俺の顔も悪くはないな。」と思うような表情で、満足しているのを見ることができる。
このように自己愛が強い人間だから誰かが自尊心を害する言葉をすると本能的に敵意を感じるしかない。
本当に必要な場合だとしても上司の前で反論を提起することが難しい理由が正にここにある。間違うと上司と部下としての関係も壊れてしまう危険を甘んじて受けなければならないのだ。
次に若い部下職員が年をとった上司の前で反論を提起する時のスタイルを例に挙げる。
「今の話は普段の理事らしくないところがあるように思います。」
「どうして。」
「僭越ではございますが、無理がある決定のように思えます。」
「そうか。なら、君の考えはどのようなのか、言ってみたまえ。」
対話をこのように解いていくと反論だといっても互いに自然に意見を交換できるようになるのではないか。
上司とうまくいく方法
1. 上司の性格とか仕事をするスタイルを把握して積極的に協力すること。
2. 前もって上司の意向を把握して、間違いとか修正することがないようにすること。
3. 仕事を安心して任せられるように、普段から業務に対する実力を積むこと。
4. 与えられた役割、しなければならないことは、言い訳を探さず
遅れることなくするようにすること。
5. 指示されたことだといって指示されたとおりにだけするのでなく、
良いアイデアを添加するように努力すること。
6. 細かく神経を使って、仕事を前もって探すくせをつけること。
7. 怒ったり、反発することよりは
ユーモア感覚でいい雰囲気を創成すること。
8. 節度があり、礼儀正しいマナーを守って、職場生活の基本を失わないこと。
9. 上司との接触の機会を多くして親密感を積むこと。
10. 打算よりは奉仕の精神を持って、
職場全体のために仕事をする姿勢を持つこと。