流れ星
瞻星台に今のように囲いが無くそのすぐ前に野菜畑があった頃、瞻星台があるインワドンの町内に住む子供たちは退屈になると瞻星台に上って遊んだりした。
遠くから見るとよくわからないが近くによって見ると瞻星台は足をかけて上っていけるように石が少しずつ内側に入っている。その石を踏んで気をつけて窓のあるところまで上って頭を入れると、瞻星台はその中ががらんと空いているのではなく窓のふちまで土がいっぱいに埋められていてまるで巣のように居心地がいい。風の吹く冬にも風が入ってこない。だから町内の子供たちは瞻星台の中に入って時には花札をしたり、若いカップルはこっそりと愛を交わしたりした。
だが、盗みをしたら瞻星台の中に入って必ずウンチをする泥棒がいた。泥棒が盗みをした家にウンチをして行くと捕まらないという昔の話があるが、その泥棒は必ず瞻星台の中に入ってウンチをして出てきた。一度は他人の家の塀を飛び越えて盗みをしてからすぐに瞻星台の中にウンチをするのを忘れたら後で捕まって苦い目にあってからはより徹底して瞻星台の中にウンチをするのを忘れなかった。
瞻星台は泥棒がウンチをするたびにけしからんと思った。秋に収穫を終えて時々子供たちが上がってきて花札をしたり欲情に満ちた男女が上がってきて愛を交わしていくことぐらいはかわいいと思っていたが、泥棒がウンチをしていくことは許せなかった。
だから、瞻星台は泥棒が這い上がってくる時に何回か体を揺らして彼を落とそうとした。だが、泥棒は盗みをする度にいつも中に入って来て一山のウンチをして行った。
瞻星台は怒りに堪えることができなかった。だが、これ以上どうすることもできなかった。誰かが片付けるまでただ泥棒がして行ったウンチの匂いを嗅いでいるしかなかった。
そんなある日、瞻星台の中に入ってきた泥棒がまたウンチをしたら、不吉なことが起こって村全体がざわついた。久しぶりに瞻星台に落ちた流れ星が泥棒の頭に当たってそのまま息もできずに死んでしまったのだ。