鳥の一生
寒さに震えたすずめが一羽道端に倒れ凍え死にそうになっていた。冬なので食べるものもないところに、寒さのため、すずめは死ぬのを待っている状況だった。
ある日そんなすずめに牛1匹がウンチを一山して立ち去った。牛がウンチをしたのがよりによって倒れていたすずめの体の上だったのだ。
ほとんど瀕死状態で倒れていたすずめは急に自分の体に暖かいものを感じた。牛のウンチの温かみですずめの凍えていた体がだんだん融けていった。
元気になったすずめは”すずめも死ねという法はない“と思って神に感謝する気持ちで一生懸命歌を歌った。
しかし、歌一曲皆歌い終わる前に、農夫がシャベルで牛のウンチをすくって癒えに持っていった。普段、曲がった釘ひとつも捨てることのないほどに抜け目のない農夫は後で燃料に使おうと日のよく当たる南向きの敷石の上に牛のウンチを置いておいた。
牛のウンチは一日中、日を浴びることになった。すずめは全身が温かいのが並みの心地よさではなかった。もう、寒さの苦痛から完全に抜け出すことができたと思ってもう一度神に感謝する気持ちになった。
しかし、すずめのそんな気持ちは長くは続かなかった。すずめは体が日に日に締め付けられるのを感じるようになった。日がたつほどに牛のウンチの水分が蒸発して息をするのも苦しいだけでなく足を動かそうと力を入れた。結局すずめはからりと乾いた牛のウンチの中に閉じ込められてビクともできない状況になってしまった。
すずめの体と心はだんだん弱っていった。日当たりのいい敷石の上には農夫が集めてきた牛のウンチを積み重ねていった。
ある寒い日、農夫はこの間集めて乾かした牛のウンチをみなかまどに入れて火をつけた。