福井県立大学水産経営学研究室のブログ(教員)

福井県立大学の水産経営学研究室(小浜キャンパス)のブログです。

食品の放射能汚染 ~新基準値の影響~

2012-04-16 21:35:42 | Weblog

4月から食品のセシウム汚染の基準値が厳しくなりました。

その結果、新基準値をこえる食品が増加していると報道されています。

4月1日から14日の半月に、自治体によって検査された約5千件の食品のうち、

新基準値1kgあたり100ベクレルをこえたものが3%あったそうです。

 

福島県だけではなく、東北や関東の各県の食品から検出され、

椎茸やスズキなど多様な品目に広がっています。

予想外にも土の中から掘り出されたタケノコまでも基準値こえたらしい。

政府はあらたに出荷停止する品目を発表しています。

 

旧基準で出荷できたものが、新基準では出荷できなくなったわけですね。

福島県産水産物は、旧基準のもとでも漁獲できなかったわけだから、

1年を経ても、なお出荷できないものが多数あるわけです。

あらためて、問題の深刻さを認識せざるをえません。

ただし、何回か食べたとしても健康に被害がでるわけではないので、

一般の消費者は、パニックになる必要はないようです。(T・K)


大飯原発再稼働の是非

2012-04-07 18:06:51 | Weblog

来週は、国の枝野担当大臣が福井県を訪問し、

大飯(おおい)原子力発電所の再稼働を要請すると報道されています。

しかし、

今後も原子力が必要であり、電力会社によって安全対策がとられたとしても、

現状では再稼働に賛成できません。

現状で再稼働に賛成できない三つの理由を以下にあげたいと思います。

 

第一は、完了まで3年くらいかかると予想される発電所自体の安全対策が

現状では道半ばであり、応急対策しか完了していないことです。

ストレステストが完了しても安全だとい言い切れません。

震災以後、原子力の安全神話は崩壊したのですから、

リスクがある原子力を再稼働させるにあたって、

立地周辺地域の自治体や住民の了解は当然必要です。

まして、地元の同意なしで再稼働できるなどということは論外です。

 

第二に、立地県と立地市町村だけを地元として同意を得ればよかったという

従来の考え方に変わる新しい地元の範囲が示されていないことです。

少なくても地元として30Km圏の周辺市町村を加えることが必要です。

たとえ立地県以外であっても近接する市町村は含めるべきでしょう。

福島のような重大事故の影響の広さをみれば、

従来の地元の範囲がせますぎて不合理であること、

このままでは周辺市町村の安全対策や避難対策は、なきに等しいままです。

立地市町村から賛成意見がでてくるのは、地域経済を人質にとられているからにすぎません。

多くの周辺市町村は反対または慎重意見です。

 

第三に、国の原子力行政が信頼をとりもどせていないことです。

保安院や安全委員会という既存組織は信頼を失いました。

あたらしく規制庁をつくることになっていますが、

あたらしい組織のもとで原子力行政が信頼をとりもどすことなくして

地元に再稼働を求めるべきではないと思います。

 

とはいえ、大飯原発がとくに危険だと認識しているわけではありません。

危険性の高い原発は、もっと他にあると思っていますが、

福島の事故を教訓としないまま、なしくずしに再稼働すべきではありません。(T・K)

 


ヘタクソなウグイス

2012-04-01 10:26:10 | Weblog

もうすぐ入学式なのに、

今年は、まだまだ寒い日が多いですね。

冬には雪も多くて、休校になった日もあったし。

 

でも、今日は6時にウグイスの声で目がさめました。

ホーホケ・ホケ・ホケ・ケキョ ???だと。

まだまだヘタクソだなあ・・・

と笑っていたら目がさえて、早起きができました。

ウグイスもまだ寒くて調子がでないようです。(T・K)

 


卒業

2012-03-24 12:20:44 | Weblog

昨日23日は卒業式でした。

りっぱに育ってくれて、感謝です。

今年の研究室の卒業生は6人。

これから、たくましく生きていってくれることを願うばかりです。

 

10年前の卒業生の西田一吉くんの消息がありました。

彼は、卒業後、広島の水産会社に就職しましたが、

退職したあと、音信がありませんでした。

今は、東京の水産会社で貿易にかかわっているそうです。(T.K)

 

 

 


東日本大震災から1年

2012-03-11 18:21:01 | Weblog

東日本大震災から、ちょうど1年になりました。

今回の災害は、被害額も甚大ながら、

地震以上に津波と原子力による災害であり、

過去のどのような災害よりも、復興までに長い時間がかかりそうです。

被災者の方々のご健勝と復興の進展を祈ります。(T・K)


「下関ふく」と「若狭ふぐ」

2012-03-05 19:08:39 | Weblog

「下関ふく」で知られる下関市へ行ってきました。

フグ産業のシンポジウムへの参加と、

フグブランドについての出版の会議に出席するためです。

シンポジウムでは、下関への出荷をやめて地産地消へ転換したという

三重県の天然フグの小規模産地(安乗地区)の報告がありました。

 

下関のフグブランドは、産地としての地域ブランドではなく、

集散基地または加工地としての地域ブランドであり、

九州の産地や中国から集めたフグを加工して販売しているのです。

最上級の天然トラフグから、主力商品である九州産養殖トラフグ、

安価な中国産とらふぐ、フグ類の多種多様な加工品などを生産し、

関西や東京へ出荷して、全国ブランドとなっているのです。

しかし今、その全国ブランドがデフレや低価格化の影響でゆらいでいます。

 

「下関ふく」に比較すると、福井県産「若狭フグ」は小さな産地ブランドです。

出荷量や出荷先の広さ、商品の種類の多さからみて比較になりません。

しかしながら、同種類の商品の価格についてはあまり違いがありませんから、

産地として小さくても若狭ふぐにもブランド力があると言えると思います。

大産地と同じ都会の大市場で競争するのではなく、

商品の品質を向上させ、トラフグ旅館のような地産地消型の産地としての強みを生かすことが、

小規模産地としての魅力になると思います。(T・K)

 


卒業まじかの研究室近況 

2012-02-27 17:23:30 | Weblog

2月になって昨年の卒業生が、相次いで研究室を訪問してくれました。

出身地のJAに就職し、地域活動に熱心な福田くんと、

出身地に近い愛知県の食品卸会社に就職した新井くんです。

苦労ばなしも聞きましたが、たくましくなった様子で、なによりです。

 

2月15日は卒業論文発表会。16日に打ち上げをしました。

今年は6人が発表し、なかなかのできばえだったと思います。

打ち上げも楽しいものでした。

来年の学生も、このくらい熱心に取り組んでくれたら、すばらしいのですが?

 

22日は修士論文発表会、そのあと予餞会、さらに研究室で続きを実行しました。

あとは3月1日の卒業論文最終提出、2日の卒業判定の日。

4年生のみなさんは、引越をして23日の卒業式をまつばかりですね。(T.K)

 


アリとキリギリス その4

2012-02-18 17:09:15 | Weblog

今週は、国家公務員給与の削減が決定されました。

人事院勧告でも民間給与を考慮したマイナス勧告がでているのですが、

その枠外の7%強の大幅な減給です。

 

制度を無視して減給する根拠はあるのでしょうか。

一つの説明は東日本大震災があったから、復興費用を負担すべしというもの。

もう一つの説明は、国が消費税を増税しなければならない時だから、

公務員給与を削減しなければならないというもの。

状況はわかりますが、制度からみて合理的とは思えません。

 

アリとキリギリスに例えれば、

キリギリス国の金庫がカラなので、アリに増税しなければならないけれど、

増税案にも、キリギリス自身の給与削減にも、賛成してもらえないので、

とりあえず使用人である公務員の給与をカットしたというところでしょうか。(T・K)

 

 


歴史的円高 為替介入は悪いのか?

2012-02-11 15:16:17 | Weblog

1ドル70円台後半の円高になって、膠着状態で半年ほど経過している。

昨年11月に75円台で政府が為替介入したときについて、担当の安住財務大臣が、

「75.63円で介入し、78.2円でやめた」と国会で説明したことについて批判をあびているという。

それは「欧米の当局者が単独介入に批判的だから、介入水準を明らかにすると国益に反する」とか

「単独介入による為替介入に効果はない」とか、「円高にはプラス効果もある」などという批判であるらしい。

 

しかし、過去の為替介入の水準は相場を調べれば明らかなことだし、

覆面介入したことも当初は暗黙の事実であったが、その後公表済みだから、

今更、財務大臣が説明しても、国益に反することはない。

また今後の介入水準を明らかにするものでもない。

むしろ、それを欧米の圧力で公表できないなら、それこそ国益に反するものである。

 

リーマンショック以後、欧米は、金融緩和を続けて自国の通貨の切り下げを続けてきた。

日本の通貨が買われて円高になる理由は、国内には見あたらないのである。

欧米の通貨安政策が、相対的に円の価値を高めて、円高になっているだけだ。

とすれば、欧米が、円高阻止にうごく日本の政策を批判する理由はない。

日本の経済的な苦境は、今、不合理な円高によってもたらされている。

自国の通貨安政策をとる欧米が、日本の円高阻止に協調するはずはないのである。

むしろ、日本政府は国益を重視した強い為替政策をとるべきではないか。

超円高の今、一時的な為替介入に終始していることのほうが問題であると思う。(T.K)

 

追記) その後の2月13日から14日に、

日銀が10兆円の追加金融緩和(資産買い取り)を決定したので、

外国為替は円安にふれ、日本の株価は底値から1割上昇しました。

財政出動ができず、すでに低金利政策も効果がない現状では

金利政策以外の金融緩和を進めることが重要であることを示しています。

もっとも今後日銀が、どこまで本格的な金融緩和を実施するかはわかりません。

 


福島と福井:原子力発電をみつめる視点

2012-02-05 10:43:47 | Weblog

先月の1月26日に福井県立大学が開催したシンポジウム。

報告者の一橋大学教授の橘川先生のタイトルが、これだ。

講演内容の中で共感できる部分が多かったので紹介したい。

「エネルギ-のベストミックスを追求してきた点に日本人の知恵がある」

「原発推進派はリアリティが欠如しており、反対派は対案が欠如している」

「2030年にむけて、原子力20、再生可能30、火力40、節電10の

脱原発依存(減原発・再生エネルギ-拡大)シナリオが現実的にベスト」

「安全基準をめぐって福井県と国との間に相違があり、

福井(嶺南)の立場を全国に発信してゆくことが重要」

「立地県・立地市町村が原発がなくなっては困るということを主張しても

全国の人は共感しないだろう」

さて、福井県からどんな内容を発信すべきなのだろうか?(T.K)