人権問題!
京都新聞(2006年11月23日朝刊)
注射して連行、違法 賠償命令
京都地裁 精神病院入院
医師に無理やり精神安定剤を注射され、強制的に精神病院に連れて行かれたのは違法だとして、旧八木町(現京都府南丹市)に住んでいた女性(61)が医師や南丹市に1100万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が22日、京都地裁であった。田中義則裁判長は、町職員が女性を押さえて医師が注射したと認め「社会通念上、行動を制限する措置として相当とは認められない」として、医師と市に110万円の支払いを命じた。
判決によると、女性の夫から相談を受け、医師と町職員3人が1998年2月に女性宅を訪れた。受診を説得中に女性が暴れ出したため、夫と町職員が押さえつけ、医師が精神安定剤を注射した。女性は町の車で病院に連れて行かれ、心因反応と診断されて医療保護入院することになった。
医師らは「話ができる状態ではなく、正当な医療行為」と主張したが、田中裁判長は「問診を尽くしたとは言えず、緊急入院の必要も認められない」と判断した。女性の代理人は「医療保護入院のための搬送は原則、本人の同意が必要という判断は画期的」と話している。佐々木稔納・南丹市長は「判決文を見ておらず事実関係が不明だ。弁護士と相談して対応を考えたい」とコメントしている。