FPの胃袋 ~FP・社労士 川部紀子のブログ~

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 川部紀子の腹の内。

FP・社労士事務所 川部商店

所ジョージさんの年金がマイナス4000円の謎

2019-04-13 | ブログ
あるテレビ番組で、所さんが公的年金について次のようにぼやいたそう…。

・稼ぎがいい人の年金は4万7000円しかもらえない
・デビューしたとき、給料が10万円でも年金を納めてきたのに
・介護保険料として5万1000円支払っているので4000円赤字になる


タレントとして所さんは好きだし、
この国の年金はたっぷりザックザク、とは言わないけれど、、、
この情報だけで、公的年金は最悪だと視聴者が思ってしまうのは良くないと思います。

このテレビでの発言だけでは本当にわからないことの方が多いのですが、年金の基本事項から推測できることを書いてみたいと思います。

昭和16年4月1日以前生まれの男性
昭和21年4月1日以前生まれの女性は、
60歳からフル(4色)の年金を受け取ることができました。


でも、以降生まれの人は年金がちょいちょい後ろ倒しになっていきます。

所さんは、昭和30年1月生まれの64歳なので、この図が当てはまります。


つまり、61歳から部分年金をもらえるグループです。

ただし、これは厚生年金を払っていた期間があることがポイント。
国民年金だけの場合は濃い水色部分のみを受け取ることになります。


タレントさんは国民年金のみのケースが多いです。
でも、所さんの以下の発言から、
・年金をもらっている
・稼ぎがあると年金が減る


「あれ?会社員の期間もあったのか。」ということになります。

稼ぎによって削られるのは年金の図の上の部分、つまり厚生年金に関連する部分だからです。

そうなると、そもそも今の年齢だと部分年金のみなので、フル年金をもらう年齢に達成していません。

そりゃ、少なくても仕方ないよね。
と思ってしまうわけです。

そして、そもそも年金は自分名義の積み立てではなくて支え合う制度。
稼げる人、つまり元気で生きていくお金のある人は削られる性質も持っています。
(ココは「こんな年金、嫌だ!」という気持ちはもちろん分かりますよ!)

そして、年金額4万7000円というのは月額なのか?という疑問も…。
なぜなら、年金は2ヵ月ごとの受け取りだからです。

さらに、介護保険料が不自然な金額です。
所さんの公的医療保険が、国民健康保険だったとしても、健康保険だったとしてもこの月額はちょっと考えづらいです。

どんなに高所得でもどんなに資産を持っていても、介護保険料には上限があるからです。

というわけで、本当に所さんの年金が酷いのかは、現段階では判定できないです。

65歳から本格的なフル年金を受け取って、それなりの年齢まで生きれば、
払った年金保険料よりも多くもらうことが十分可能な世代です。

こういう情報で公的年金の悪い噂だけが広まってしまうのは残念な気がします。

私たちは、正しい情報、そして、悪い噂が本当ならば、その対策も合わせて伝えていかなければならないと思いました。

ちなみに、、、
昭和36年4月2日以降生まれの男性
昭和45年4月2日以降生まれの女性は、
繰上げ請求をしなければ60歳まで年金を受け取れない世代です。


さらに受け取れる年齢が後ろ倒しになることも大いに考えられます。

この世代はぼやいている場合じゃないですね。

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