犬がおるので。

老犬から子犬まで。犬の面倒をみる暮らし。

怒りの舞踏「それでも俺はやってない」

2015年01月23日 | おせわがかり日誌


はじめに断っておくが、普段のわたくしは、

「和をもってなんとかを成す」精神のにんげんだ。

ナッツリターン姫みたいな王族でもしないようないちゃもんつけや、

「それしきのことで・・・」とカスタマーがため息をつくような案件で、

ハードクレームをけしかけ、企業や世間様を悩ませたことは(おそらくこのかた)一度もない。

それどころか、面倒見て頂くお医者さん、バスの運転手さん、

飲食店の店員さんから、宿泊先の仲居さん、通りすがりの知らん人まで、

関わるひとすべてが「気分を損ねないよう」気を使うような、

そんな(小さな)にんげんだ。

であるからして、もちろん、自分の行いが、

人に迷惑をかけるようなことがあったならば、

それこそ夜も(たとえ相手がすっかり忘れて寝ていても)眠れなくなるほど(ちねちねと)悩み、

嗚呼わたしはなんてことをしてしまったのか、などと嘆き続けて寝落ち、そして次の日は忘れる。

まあ、そんなこんなで、ある日の昼下がり。





いつもの道で、オレコがUNCing。

ちょびっとだったけれども、いつものように回収。

前日の散歩でリードすっぽ抜け事件(*)が発生した道だったので、

細心の注意を払いつつ、行き過ぎようとしていたもので、

UNCの回収袋は袋のくちを綴じずにそのまま、

散歩バックに入れて、オレコのリードひきに集中していた。

いやいやえんはあったものの、なんとか、苦手ゾーンを抜けて、

道端のおてがみをふむふむしだしたのを見て、やれやれ、と、

回収袋を取り出そうとした瞬間のことだった。


(*その日のインスタグラムから)
オレコはこのあと、散歩で大変な目に遭います。
こどもたちに囲まれてパニックになり、暴れてハーネスが外れて、全速力で逃亡。
焦って追いかけ、名前を呼んだら、困った顔をしてたけど、戻ってきてくれました。
これで2回目。最初はまだ8か月の頃、向こうから大型犬3頭やってきてパニックになり、するん、と抜けました。
その時も、オレコ!と叫んだら、くるりと振り向いて、戻ってきてくれました。
もう二度とそんなこと起きないように注意していたのに。
でも戻ってきてくれて本当によかった。
そのころは細かったからあれだけど、こんなにむっちりしていても、抜けるときは抜けるもんだな。
もっともっと気を付けなくては。オレコは不測の動きをするからなあ~






「あんたの犬の、それ、とりなさいよ」



背後から声をかけられ、振り向くと、めがね顔の初老婦人。

上半身は主婦風で、下半身はウィンドブレーカーの下姿。

表情は怒り新党。


(え?なにこの人へんな人?)


だが回りを見渡すと私とオレコのほかに誰もいない。

ちなみにわたしはUNC袋をぶらさげた直後だった。

勇気を出して聞き返す。


わたくし「あの、なんのことでしょう」

初老婦人「あんたの犬、いま、したじゃない。わたし見たのよ」

わたくし「は?」

初老婦人「ちゃんととりなさいよ」

わたくし「あの、えっと」



そこで買い物帰りの隣の奥さんが自転車で帰宅。



隣の奥さん「どうしたの」

初老婦人「犬の糞とらないのよ」

隣の奥さん「え~?」


ここにきてやっと状況を飲み込む、わたくし。


わたくし「いえ、あの、うちの子はさっき、そこの道でしてきて、これがそれですけど」


UNC袋をじぶんの顔の前にぶらさげてみせた。



初老婦人「ウソっ!(綾小路きみまろ風)声大」

わたくし「は?いえ、嘘では・・・」

初老婦人「だって、わたし見たわよ!あんたの犬、糞のところでうろうろいたじゃないの!(ご近所に轟く声)」

わたくし「そ、それは、ただ、においをかいだだけで・・・」

隣の奥さん「多いのよね~。なってないわよ」

わたくし「ちがいます、ほら(袋をほどいて回収した実物を見せる)、これ、いまして、とったばかりです(猛烈な糞臭があたりに漂う)」

初老婦人「・・・う、だってみたもの!あんたの犬よ!(臭波が届いたもよう)」

わたくし「ちがいます!そんな!(怒!)」

隣の奥さん「困るのよね~(厭な言い方ながらも関わりたくないわ的にそそくさーと玄関に吸い込まれフェイドアウト)」

初老婦人「(一緒に攻めるはずの味方が突然消えてやや弱気)いいから、とりなさいよ!あんたの犬がしたのよ!だって朝みたときはなかったんだから!」



なに?朝?朝って何時間前だ。



わたくし「え?朝?もうお昼ですけど?(なにいってんだバーロー)」



つーか、したところを見たわけでもないのに決めてかかってるわけね(ってしてないから見たも糞もないけどさ)



初老夫人「(たじろぐ)朝はなかったもの!」

わたくし「(野UNCに近づく)・・・こんなまっくろで、カラッカラじゃないですか、相当時間たってますよ、これ(怒りの炎メラメラメラメラ)」

初老夫人「(弱気モードのスイッチが入る)・・・仮によ、あんたの犬のじゃないにしても、お仲間ってことで、あんたがとってよ」

わたくし「なんでですか?(激怒<おこ>モード*ただし他人には伝わらない微弱な周波数)」

初老夫人「だってお仲間がしたことじゃないの。あんたの犬がやってなくても、お仲間さんの不始末なんだから、あんたがおとりなさいよ」



(心の叫び:な・ん・の・な・か・ま・だ・よーーーーーーーーー!!!!!!!!!)



もうなにがなんだかわからない。



わたくし「はあ?」

初老婦人「(やばいこれは本当にしてないのかも的な激怒感情の引き潮だが認めるわけにはいかん)あんたもさあ、お仲間さんに、ちゃんと言っといてよ」

わたくし「何をです?」

初老婦人「今回はあんたじゃないにしても、こんな風にされるとほんと困るのよ、お仲間さんにいっといてよ」

わたくし「(ボ!何かに着火)そんな、すべての責任を負うなんて、無理ですよ」


とらない人間をどうやって見分けろというのだ。24時間警備してろとでもいうのか。



初老婦人「(たじろぎ柔和な表情を作るも強張る)でも、お仲間なんだからさ!頼むわよ、宜しく!」


はいみなさん、リピートアフタミー。



(心の叫び:な・ん・の・な・か・ま・だ・よーーーーーーーーー!!!!!!!!!)





ありがとうございます。ありがとうございます。

そのあと初老婦人とどんな風に別れて、どんな風に散歩を続けたのか、忘れてしまった。

忘れようとして、仕事と犬のお世話に没頭したものだが、ふとした瞬間に、ほら、なにかが発酵するみたいに、

ふつふつ、ふつふつ、と、怒りがよみがえってくる。

「なんでそんなことをしなくちゃいけないんですか、厭です」

と言い返せなかった後悔。そして言われるがまま「お仲間の不始末」の処理をした行動をどう考えたらよいかわからない自分。

悔しかった。あの初老婦人は間違ってる。そんなこといったら不始末をしでかした「お仲間」も間違ってる。

でも。でもなあ。でもだよ。あのとき自分や怒りを貫いて「ノーだね」と突っぱねていたら、結局犬飼いびと全体が嫌われる。

市民団体とかなんとかと寄ってたかって「犬の散歩はんたーい」「UNCもお疾呼もしちゃいけなーい」なんてことになったら。

なんでもかんでも主張すれば通ると思ってる(それは一時的なもので結局その人は大きなものを失うだろうけどな)人ばかりの世の中だ。

そんな人とは友達になりたくないけど。ていうかそんな友達はいないけど。(できるだけ近づかない呼ばれても行かない)




それよりなにより、オレコがさ。

何にも悪くないオレコが、悪く思われる。憎まれる。

それは親としては無理だ。無理だよなあ。

だからできんかったことも、不本意ながらしてしまったことも、結果的には、よかったことなのだ。

オレコのことだけを思ったら。



あらぬ疑いをかけられて、でもって、受け入れがたい要望を受け入れて、

まったく関連のない、本来わたしがする必要のない処理をさせられて、そりゃもう、怒り新党ですよ。

でも、まあ、(一万五百歩譲って)裏を返せば老婦人も、まいにちまいにち、

家の前のとおりに黒いころころしたものを置いておかれて我慢の限界に達して噴火したところ、犯人を間違った、というケースなのだろうからなあ。

(次からは証拠確実な現行犯逮捕をお願いしたい)



しばらくたってからインスタグラムにとどのつまりをてれっと書き、それから夫に話してみた。



「まあ、それが丸く収めるには無難な対応だろうと思うよ。よかったんじゃない。

だってオレコが悪く思われるのはいやじゃない?(と言われて初めて自分がそのために行動したんだと気付いたんだけど)」



ひとしきり笑う。あなたならどうする?と聞いてみた。まあ聞いても参考にはならない(性格が違いすぎる)のだが。



「俺?無視。完全無視。で、ババ(ピー)がこづいてきたり、接触したら即警察呼ぶ」



ね。参考にならないでしょ。接触がない場合は?



「やったとこ見たんだな?よしじゃあ警察でもなんでもよんで、うちの子のしたのと、これと、

遺伝子でもなんでも調べさせるからな。違ったら費用から何からぜんぶお宅に責任とってもらう。うちは絶対やってないから構わない」



あーなんていう回転の速さ。いや対応力。(これねえこの男は本当にやるんですよ)私はだめなんだよなあ、思いつかない。頭がまっ白になっちゃって。

今になって話を聞いて「そうしてやりたかった」と思うけれども、現場ではそういう血の巡りにはならないんだよなあ。

なんでそういう考えが出来事に出くわすと即座にぽんぽん出るのか、と聞いてみたら、にこ~「ははは」と笑った後で、



「○○と違ってさあ、俺、基本的にモメごと好きじゃない?(そのとおり本人大爆笑)」



ああそうだったね。そういえば。喧嘩ばっかりしていたもんね。私は口げんかでは誰にも負けない(超絶勘違い)とうぬぼれていたけども理屈では絶対かなわないもの。



「だから平気なんだよねえ、むしろ、進んで参加するから(また大爆笑)」



好きこそものの、て、やつですか。そうですか。楽しんでるのね。あたしはだめ。斬鉄剣対応の前に「動揺⇒混乱⇒言葉が出ない」だわ。



「でもさあ、お仲間がしたんらからとれっていうんだったらさ、そいつの前でやって見せて、ほらお前とれ、仲間なんだからっていって、とらせるね~」



ゲラゲラ笑う。腹が立つほど見事。あれ?でもこれ誰かが言ってたな。





@nyauko2

あらぬ疑いをかけられ
よそんちの犬がしたものを
片付けさせられた
すっかり忘れてたのに
あり得ないでっち上げからの濡れ衣
くそ~~~~~~
思い出したら腹が立ってきた
いつか面白おかしく書いてやる
ここで言っても仕方ないけど
つまりそんなやつぁ
犬だらけなインスタなんか
見ないだろうから
飼い主のみなさんよ
犬が出したらちゃんと 拾って持って帰ってくれ
俺が言いたいのはそれだけだ
このくやしさはいつか
別の形で消化する
つまりblogネタだね
タイトルはもちろん

それでも俺はやってない



@ume.kh

仲間の不始末…。では私が今ここでひり出して逃げるので、おなじ人間仲間として拾ってネ♡って言いたい!:(´◦ω◦`):💩



ああ、梅ちゃんのママだ。なんか馬が合うなと思ったら。

遠くにいて、見たことも、会ったこともないのに、何か「通ずるもの」があったんだ。そっかー。

ちょっとうれしくなる。




やってもないちかんと、やってもないうん子とでは、うんでいの差だけども、冤罪はやはり、厭なものだった。腹立たしいものだった。

弱気になったわけではないけども、それからその道は、散歩していない。その間に初老婦人がほんとの犯人に出会って注意して、再犯がなくなり、


「あの人、ちがったんだ」


と、しっかり反省してほしいからである。