それはある朝のことじゃった。
おかあさんはこんと散歩。
お父さんはおトイレ。
どうも玄関でがさがさ音がする。
どうした?
誰かいるのか?
不審に思ったおとうさん、トイレを出て確かめた。
こたつの前に、大きな背を向けてたたずむオレコ。
玄関は閉まっていて、もちろん、誰もいなかった。
なーんだ。
気のせいか。
安心しておトイレに戻り、
用を済ませて出てきた。
あれ?オレコがいない
・・・あ!
こたつにドーナツ。
出かけるときのために紙袋に入れて、
玄関においてあったはずのドーナツ。
明日あさ会社で食べる予定のドーナッツ。
それがいったいなぜここに?
(♪~BGM『グリーク|朝』~♪)
オレコはいない。
おとうさん探しに行く。
いた。
ベッドにオレコ。
近づくと『ばんざーい』
「おなか・・・みる?」
おとうさん大爆笑。
おかあさん帰ってきた。
こんちゃんと帰ってきた。
「ねえオレコ見てやってみてやって」
「はー?どうしたの~?」
あんよあらいのため、
お風呂場に向かおうとしたおかあさんとこんちゃん、
なんだなんだと、ベットの部屋に行く。
おかあさんは見た。
ばんざーいオレコ。
「なしたー?」
ここでお父さんが顛末を説明。
ひとしきり笑う。
「・・・おなか見る?」
で切り抜けるオレコ。
「そうよ」
そうだったね、そうだった。
おなかを見せることで数々の修羅場をくぐりぬけてきたオレコ。
今後もきっと、そうだろう。
こんちゃんは不思議顔。
「なにしとるのじゃ~もう~はよう~わしのごはん!ごはん!」
はいはーい、ただいま。
こうして一日は始まる。
犬がいるとおかしなことばかり。
まあ、猫もですけどね。