特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その4・ランダウ、リフシッツ パラドックス

2023-02-26 03:08:34 | 日記

さて、前回までの検討結果に基づいて数値計算をしてみましょう。

それで舞台設定はこうします。

慣性系αが左から右に速度V1で慣性系βに向かって動きます。

と同時に慣性系βが右から左に慣性系αに向かって速度V2で動きます。

この時に速度V1と速度V2を合成した相対速度Vは0.8Cとします。

それから

慣性系αでは時計Bを先頭にして時計Cが距離0.8C離れて続きます。

慣性系βでは時計Aを先頭にして時計Dが距離1.6C離れて続きます。

そうしてもちろん時計Aと時計Dは同期していて、時計Bと時計Cは同期しています。

そうして観測者は今回は4名登場させ、4つの時計のところにそれぞれ

慣性系αでは観測者①Bと観測者①C

慣性系βでは観測者②Aと観測者②D

を立てます。

次に観測者①B@慣性系αは「動いている時計」として時計Aを選択します。

同様にして観測者②A@慣性系βは「動いている時計」として時計Bを選択します。



さて観測者①Bの視点では

まずは時計Aが時計Bとすれ違います。

この時には時計Aと時計Bは同じ時刻を示していました。

その事実は観測者②Aによっても同時に確認されます。

次に時計Aは時計Cとすれ違います。

この時に観測者①Cの視点では「時計Aが時計Bとすれ違ってからここまで来るのに1秒かかった」と言う事を時計Aが時計Bとすれ違った時の時刻を基準として時計Cの時刻から計算します。

それは又観測者①Cにとって時計Aは相対速度0.8Cで距離0.8C(=時計Bと時計Cとの間の間隔)を走ったのだから1秒かかって当然、という事でもあります。

そうしてこの時に観測者②Aも同じ事実を確認します。

つまり時計Cは1秒経過を示していた、と言う事を認めます。

さてこの時、観測者①Cは時計Aの時刻を確認すると時計Aが時計Bとすれ違った時を基準として0.6秒経過したという時刻を指していました。

この事もまた観測者①Cにとっては当然の結果であります。

sqrt(1-0.8^2)=0.6 でありますから、「0.8Cで動いている慣性系βの時間(=時計Aの時間経過)が慣性系αの時間経過の60%でしか進まない。したがってこちらが1秒経過を確認したのであれば慣性系βでは0.6秒経過となる。」という特殊相対論の予測計算結果でしたから。

そうしてまたこの時に観測者②Aも同じ事実を確認します。

つまり「自分の手元にある時計Aの経過時間は0.6秒である」と言う事を観測者②Aは目視確認します。

さて以上より

ΔT(A)=0.6秒

ΔT(C-B)=1秒

従って

ΔT(A)<ΔT(C-B)

であると観測者①Cおよび観測者①Bと観測者②Aは結論を出します。



さて今度は観測者②Aの視点です。

観測者②Aの視点では時計Bが左から0.8Cでこちらに向かってきます。

それでまずは時計Bと時計Aがすれ違います。

この時には時計Aと時計Bは同じ時刻を示していました。

その事実は観測者①Bによっても同時に確認されます。

(この時の状況は観測者①Bの視点で考察した上記の場合と全く同じ事を言っています。)



それで次に時計Bは時計Dとすれ違います。

時計Aと時計Dとの間の距離は1.6Cでした。

その距離を時計Bは0.8Cで走りますから2秒かかります。

そうであれば観測者②Dは時計Dの時刻を確認すると時計Bが時計Aとすれ違った時を基準としてここまで来るのに2秒経過したという事を確認します。

そうしてまたその事実は観測者①Bによっても同時に確認されます。

つまり ΔT(D-A)=2秒 と言う事を観測者②Dと観測者①Bは確認するのです。



さてそれで問題なのはこの時に観測者①Bが自分の時計を見た時に時計Aとすれ違った時からどれほど時間が経過していたか、と言う事になります。

つまり ΔT(B) はいくつであったのか、と言う事になります。



ランダウとリフシッツの主張する所によれば「動いているのは時計B(=慣性系α)と観測者②A@慣性系βによって指定されましたから時間の進み方が60%に減速するのは時計Bである」となります。

従って「時計Dでは2秒経過でしたから時計Bでは1.2秒経過となる」がランダウとリフシッツの結論です。

つまり

ΔT(B)=1.2秒

従って

ΔT(B)<ΔT(D-A)

がランダウとリフシッツの結論となります。



さて、しかしながらこの結論を出す前に観測者①B(=観測者①C)は時計D(=時計A)が時計B(=時計C)より遅れている、という事実に同意しています。

従って時計Bが1.2秒経過でしたら時計Dは1.2秒未満を指していないといけない事になります。

逆に時計Dが2秒経過を認めるならば(=観測者②Dと観測者①Bは認めています)、時計Bは2秒をこえる秒数を指していなくてはいけないのです。

そうでなくては自分(達)が前に認めた事実を今度は否定する事になるからであります。

そうして自分が前に認めた事実を後になって否定する、と言う事は人間としてはどうかな、と思われる行為であります。



そう言う訳で当方の見る所、時計Bは 2秒÷0.6=3.3333・・・秒をさす、と言う事になります。

つまり

ΔT(B)=3.3333・・・秒

従って

ΔT(B)>ΔT(D-A)

が成立している、と言う事になります。

こうであれば観測者①Bと観測者①Cは「前に事実だ、として認めた事を今度は否定した」と観測者②Aと観測者②Dからそしられる事もありません。

万事が丸く収まり、まことにめでたい事であります。

そうして又「4人の観測者は同じ観測データを共有できた」=「客観的な事実がそこに存在した」という事になります。(注1)



さてそれで以上が「時間遅れはお互い様ではない」と言う事の証明でもあります。



注1:4人の観測者が観測し入手したデータはローレンツ不変となります。

つまり「どの慣性系からみてもその様に見るしかないもの」となります。


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.md/MmvMk