特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

マイケルソン・モーレーの楕円(MMの楕円)

2022-11-14 01:48:53 | 日記

さてここまで議論してきた事を一枚の絵に描きますと、驚く事にそこには一つの楕円が現れます。(注1)

そうしてローレンツ変換と言うのはこの楕円を円に写像する変換である事が分かるのです。


まずは楕円のお勉強を少々。

楕円には2つの焦点があり一方の焦点からでた光はもう一つの焦点に集まる、と。

左側の焦点をAとして右側をBとすれば、Aを中心として同心円状に出た光はBに集まる事になります。

その状況は 日本大百科全書(ニッポニカ)「楕円」の解説 : https://archive.ph/fT1HG :の 図A : https://archive.ph/ISkKJ :をクリックしていただけると分かります。

光源Aから出た光は楕円の円周に到達し、その場所の接線におかれた鏡で反射され、もう一つの焦点Bに到達します。

そうしてここで「鏡」とはもちろんMM干渉計の二つの腕の先に付けられた鏡の事になります。

それでこの事が今回の話のポイントになります。


楕円のもう一つの性質は焦点AとBを糸でむすんで糸がたるまないようにして鉛筆で引っ張りながら2つの焦点のまわりを回すと相応する楕円が描ける、と言うものになります。

その状況は ういき 楕円 : https://archive.ph/ZJBf0 :の 作図法 にアニメーションがありますので、それを参照願います。


さてこの事は焦点Aから出た光が楕円の内面で反射され焦点Bまで到達するのに必要な時間は全て同じ、という事を表しています。

なぜならば「どの光も走る光路長が同じであるから」ですね。

その結果、焦点Aから同心円状に出た光は同タイムで焦点Bに集まるのです。


さてそれで、基準座標系にXY座標を置きます。

MM干渉計の原点が光を出す時にいた場所をX軸上の点Aとします。

それでMM干渉計が点Aを左から右へ速度Vで横切る時にMM干渉計の原点から光を出します。

そうするとこの光は点Aを中心として球面波として等方的に広がっていきます。

基準慣性系に立つ観測者はそのようにこれを観測します。


他方で速度Vで移動するMM干渉計の原点に立つ観測者もまた自分のまわりに球状に広がる光を観測する、というのがローレンツ変換の結果です。

その状況を指して「ローレンツ変換は、マクスウェル方程式を不変な形で変換する。」と言うのでした。(「その5・ 光速がいつもCとして観測されるカラクリ・相対論」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28232 :参照)


さて次の事は自明であります。

MM干渉計が基準慣性系に対して静止している時は、MM干渉計の原点に立つ観測者も、基準慣性系に立つ観測者も「MM干渉計の原点から出た光がその周りに球状に広がる事」を観測します。

この時にMM干渉計の原点を中心として半径Rの円を考えます。

原点から出た光は時間T1=R/C秒後にその円の円周に到達します。

円の内面が鏡面であったとすると、光はそこで反射されT1秒後に再び原点に戻ってきます。


さて今度はMM干渉計が速度Vで点Aを左から右へプラスX方向に横切る場合を考えます。

この時にも光は点Aのまわりに球状に広がっていきます。

但し今度はMM干渉計の原点を中心とした半径Rの円がMM干渉計と一緒に速度Vで移動していく事にします。

そうしますと点Aから球状に出た光のうち、X軸上を左側に出た光が最初に右側に移動する円の内面にぶつかり、そこで反射されます。(注2)

次に反射される光はX軸からY方向に少し上と下にずれた場所に飛んだ光で、この光もまたその場所に到達した円の内面で反射されます。

それで最後にこの円に反射される光はプラスX方向に出た光となります。

この光も円の内面で反射され左側に戻っていきます。

こうして光は順次、移動する円の内面で反射されながら速度Vで移動するMM干渉計の原点を目指す事になります。


そうやって反射された光はふたたびMM干渉計の原点に集まってくるのですが、その光は全て同じタイミングで集まる必要があります。

何となれば、速度Vで移動するMM干渉計の原点に立つ観測者からは「全ての光はT1秒でMM干渉計の原点を中心とした半径Rの円に到達し、そこで反射され、またT1秒後に全て原点に戻ってきた」と報告されるからです。

そうしてこのMM干渉計の原点に立つ観測者による光速の測定結果からは「MM干渉計が基準慣性系に対して運動しているのか、静止しているのか判別できない」という事は前のページで示しました。

そうであればMM干渉計の原点に立つ観測者はどのような速度でMM干渉計が移動しようとも、「常に光はT1秒で円の内面に到達し、またT1秒で原点に戻って来る」と報告する事になります。


この状況を今度は基準慣性系から見ますと「MM干渉計の原点が点Aの位置にある時に光を球面波として出した、そうして光はMM干渉計に同期して動く円の内面で反射され、再びMM干渉計の原点に戻った」と見ます。

それでその時に光が走った基準慣性系に残された光のパスの長さを考えますと、その長さは全て同じであった、という事になります。

なんとなれば「全ての光は同時にMM干渉計の原点に戻ってきたから」であります。


それでMM干渉計の原点に再び光が全て戻ってきた時のMM干渉計の原点のX軸上の位置を点Bとします。

そうしますとすべての光は点Aから出て点Bまで届いた、その時に光が走った距離は全て同じであった、という事になります。

さてこれは「MM干渉計と同期して移動する半径Rの円周上で光が反射されたその点(の基準慣性系で)の座標を結ぶとそこには楕円が現れる」という事を示しています。

何故ならばこの状況は楕円の定義そのものであり、「点Aと点Bを結んで一定の長さの糸をたるまないようにして点Aと点Bのまわりを一周させると、そこに現れるのは楕円であるから」です。

そうであれば点Aと点Bはこの楕円の焦点Aと焦点Bである、という事が出来ます。


加えてMM干渉計の原点が焦点Aにある時にそこに立つ観測者にとっては「原点から出た光がT1秒後に到達する位置はこの楕円の円周上であると認識する」という事を表しています。

つまり「速度Vで右方向に移動する観測者が焦点Aを通過するときには、この楕円が円に見える」という事になります。

そうしてそれを実現しているカラクリがローレンツ変換である、と言えます。(Q.E.D. )


注1:この楕円の事を「マイケルソン・モーレーの楕円(MMの楕円)」と言います。

えっ、聞いたことがない?

まあ仕方ありませんね。今命名したばかりですから、、、。

注2:MM干渉計が動いていない時は確かに半径Rの円として基準慣性系に立つ観測者はこれを見ます。

しかしMM干渉計が速度Vで動き出しますとこの円は進行方向にローレンツ短縮を起こし楕円になる様に基準慣性系の観測者には見えます。

加えて、驚くべきことにこの楕円がMMの楕円と相似形になるのでした。

以上の事についての詳細は次のページで述べます。


追伸:半径Rの円とは腕の長さがRのMM干渉計の事になります。

MM干渉計はいろいろな方向に回転させることが出来ますので、そうやって回転させながら原点から出た光を腕の先に付けられた鏡で反射させ観測する。

その状況と言うのはまさに「半径Rの円で光を反射させて観測する」という事と同じであります。

追伸の2
こうしてMM干渉計の原点からでた光はその位置を中心として基準慣性系の中を球面波として伝わっていきます。

そうであれば基準慣性系に立つ観測者がそれを見て「球面波だ」と言うのは自明でありましょう。

他方で速度Vで移動するMM干渉計の原点に立つ観測者もまたその光を「MM干渉計の原点から広がる球面波だ」と観測します。

そうして「その様な、常識的に考えるとありえない事を成し遂げているトリックがMMの楕円である」という事になります。


ちなみに、上記の説明では2次元空間で行っていますが、現実は3次元ですから、「MMの楕円」は現実にはX軸周りに360度回転させた形状となります。

したがってそれは「MMの回転楕円体=楕円球」という事になります。


そうであればローレンツ変換とはこの回転楕円体を球体に変換する写像である、と言えます。

そうして球体の原点から出た光が球体の内面で反射され再び原点に戻る様に、回転楕円体の焦点Aから等方的に出た光は回転楕円体の内面で反射され焦点Bに戻るのでした。

基準慣性系に立つ観測者は回転楕円体と光の反射状況をそのように認識します。

 

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/H6hvj