特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

相対論 四方山話

2023-03-07 03:35:41 | 日記

四方山話ですから、話はどんどんとあらぬ方向にジャンプします。

1、という訳で、まずは「私の相対論 -5-(ポアンカレ群)」: https://archive.ph/LdOK6 :から。

この記事の前半~中盤、一体何を言っているのか、まるで呪文の様な文章が続きます。これだから素粒子論をやっている人は恐ろしいのです。

さてまあそれはさておき、後半部分でこの著者はこう言います。

『特殊相対論に限って言うと、アインシュタインがどのように相対論を構成したのか私は知らないのですが、ミンコフスキーはアインシュタインの相対論を知って、それは時空の等長変換の理論であることを見抜きました。

そしてウィグナーによってその等長変換すなわちポアンカレ変換の成す群が詳細に計算され、相対論的量子力学に応用されることになりました。

これが、相対論に対する私の認識です。つまり、(特殊)相対論とはポアンカレ群の理論なのです。(「ポアンカレ群」と言うことは、ミンコフスキーよりもポアンカレの方が先に時空とその変換群を考えたということなのでしょうか?)・・・』

場の量子論をやっている方から見ると特殊相対論はこう見える、と言うのです。

それで「アインシュタインがどのように相対論を構成したのか私は知らないのですが・・・」、つまり「特殊相対論の成立してきた状況、理論的な背景には興味がないのですが、特殊相対論の結果についてはガチのユーザーです」と言われます。



まあそれはそれとして、「ミンコフスキーは特殊相対論は時空の等長変換の理論であることを見抜いた」と言います。

それでここでいう「時空の等長変換」とはローレンツ変換の事で、確かにローレンツ変換は世界間隔(world interval)を不変に保ちます。(注1)

そうして世界間隔はミンコフスキーによって導入されたのですが、そのもとになったローレンツ不変量については実はポアンカレが最初に指摘していた模様です。(注2)

そのことから分かる事は、アインシュタインはローレンツ変換そのものを調べる、という発想はなかった。

これはアインシュタインが物理学者であり、数学者ではなかった、という事の当然の帰結であります。

他方でポアンカレは数学者の目でローレンツが提唱したローレンツ変換をとらえて、ポアンカレ群を提示した。

そうして、それを引き継ぐ形で数学者のミンコフスキーがまとめ上げた、と見る事ができます。



2、場の量子論をやっている人にとって「時間の遅れはお互い様」論争は意味を持つか?

素粒子の振る舞いを観測し、計算する人にとって静止系とはまさに自分達がいる場所(=実験室系)であり、運動しているのは間違いなく素粒子の方でありましょう。

そうであれば「時間が遅れるのは素粒子の方だ」として扱って実際上は何の支障もない事になります。

つまりは「時間の遅れがお互い様という主張が合っていようが間違っていようがどちらでも構わない」と言う様に特殊相対論のヘビーユーザーはとらえている、という事になります。



3、宇宙の始まりを考えている宇宙論をやっている人たち、あるいは時空の基本的な性質を調べている人たちにとってはどうか?(注3)

それらの方々にとっては「時間の遅れはお互い様」が合っているのか、間違っているのかは大問題でありましょう。

それは時空の基本的な成り立ちにかかわる事でありますから。

しかしながら「時間の遅れはお互い様」を「あたりまえの事だ」として疑問に思う事がないのであれば、そこには何の問題も存在しません。

とはいえそれでは「目の前にある望遠鏡は単なる筒とレンズで出来た飾り物でしかない」という事になり、ガリレオにしてみれば「残念な事である」となります。



注1:世界間隔: https://archive.ph/KI4WV :ローレンツ変換の前後で世界間隔の大きさは変わらない=等長である、と言う事になります。

注2:1906年、ポアンカレ 『6月の論文(いわゆる「パレルモ論文」、7月23日受領、12月14日印刷、1906年1月発行)の大幅な拡張作業を終了しました。

彼は文字通り「相対性理論の仮定」について話しました。彼は、変換が最小作用の原理の結果であることを示し、ポアンカレ応力の特性を開発しました。彼は、ローレンツ群と呼ばれる変換のグループ特性をより詳細に示し、その組み合わせを示しました。x ^ 2 + y ^ 2 + z ^ 2-c ^ 2*t ^ 2は不変です。(注:ローレンツ変換での不変量についてはポアンカレが最初に指摘した模様)』:ういき「特殊相対論の歴史」: https://archive.ph/xhfqD :から引用

ちなみにポアンカレ群についてはこちらを参照願います。:ポアンカレ群: https://archive.ph/fY9OD : 

追記:ポアンカレの相対論関連資料について

「ポアンカレと相対性」: http://perihelie.main.jp/contents/0409_tenkai.pdf :

「ローレンツ変換に付いて」の中の『ポアンカレの相対性の理論』: http://perihelie.main.jp/contents/0510_tenkai.pdf :

注3:ブラックホールのホーキング放射のメカニズムを考察している方々にとっても「時間の遅れはお互い様か?」という命題は皆さん気が付いておられませんが、実は致命的に重要な内容を含んでいます。


追記
以下の資料にファインマンの特殊相対論についての認識が書かれていました。

「電子光学入門」: http://www.sasj.jp/JSA/CONTENTS/vol.11_2/Vol.11%20No.2/Vol.11%20No.2%2091-116.pdf :
4ページ目:2.2.2.相対論的運動方程式

『・・・相対論的に正しく運動を記述できればそれでよい、と言う人にとっては相対論とは(1)の左辺を(4)の左辺に置き換えるだけのものです。(とファインマンの教科書[1]にも書いてあります。)』

ファインマンの教科書[1]=「ファインマン物理学Ⅰ力学」岩波書店 1967

さて、上記もまた一つの特殊相対論のヘビーユーザーの認識でありましょうか。


PS:相対論の事など 記事一覧


https://archive.md/Qj7Bh