特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

「時間の遅れはお互い様」を主張するネット記事一覧

2023-02-13 18:15:50 | 日記

ネット上にある全ての記事を取り上げても仕方がないので、「当方の目に留まったものだけ」というまことに個人的な状況に依存した一覧ではありますが、「無いよりはまし」かと思いますので、ご参考までに。
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・御存知「Yahoo知恵袋」にあった「時間の遅れはお互い様」についての標準的なやりとり: https://archive.ph/X3pD3 :

Q:『宇宙では絶対速度が速ければ速いほど時間の進行がゆっくりだそうですが・・・』

A:『・・・Aさんから見てBさんが高速で移動している時、Bさんに流れる時間が遅くなっているように見えますが
Bさんから見れば自分が基準ですからAさんが高速で移動しているように見え、Aさんに流れる時間が遅くなっているように見えます。
相対性理論ではそういうことになります。』

魚拓版では1番目の回答しか見れませんが全部で回答は9つあります。全部見るには以下のアドレスからどーぞ。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14195720999


「ベックさん」2018/9/5 23:44の回答(上から数えて7番目の回答になる=>さらに返信を表示X2+別の回答を見る、をポチる事)を見ると、この時点でこの方はすでにアインシュタインの表明に間違いがある事に気が付いておられた模様です。

さすがですね、ベックさん。(注1)


上記でQ:『宇宙では絶対速度が速ければ速いほど時間の進行がゆっくりだそうですが・・・』と質問者が聞いている内容の基になった記事がありました。: https://archive.ph/FGWQs :

Q:『現代の科学では、時間について解明されてないというのは本当ですか?・・・』

3番目の回答:『・・・アインシュタインのいう「時間の遅れはお互い様」は間違いです

絶対速度の速いほうが時間の進みは遅くなりますが、その逆は起きません』


ほほう、そうですか。しかしながらこの様な主張をネット上で見たのはこれが初めてです。(非常に珍しい事。)


この回答者の方の別の所での回答で、上記回答に対して補足されている部分。: https://archive.ph/6DTRL :

『絶対速度は観測不可能なので、物理方程式は相対速度を使用しますが、物理事象は絶対速度で起きています

したがって時間の進度の違いはあっても時間の遅れはお互い様ではなく

時間を数直線のように捉えた場合、数直線上のとある点を現在とすれば、数直線の大小は未来・過去に該当します

ただし、空間ごとに時間の進度が違うので、どの空間であっても現在は現在ですが、時間経過は空間ごとに異なります』

次第に回答内容が難解に、哲学的になっていきます。


さらに質問は続きます。

Q:『時間とは一体何なのか、詳しく教えて頂きたいです。』: https://archive.ph/aW1Ia :

5番目の回答(上記までの回答者と同じ方):『時間について哲学的に認識論で語る類のモノは一旦全て忘れてください
時間は物理的な事象ですから、認識論で捉えても無駄です
・・・
例えば、物質が移動すれば、物質の振る舞いとしての軌道に移動も加わり、軌道距離が冗長となるため、単位あたりの時間の進みは遅くなります

これが時間の進みが遅くなるカラクリです
移動速度の速いほうが時間の進みは遅くなりその逆は起きません
・・・
相対的な見方は便利ですがそれを真理にしてしまうと冒頭の認識論の罠に陥ります

時間の遅れはお互い様でないことについては、地球と人工衛星間でどのように時間を補正しているかを調べればすんなり理解できるかと思います』


人工衛星の時間の遅れ、あるいは進みについて調べると「時間の遅れはお互い様でないことがすんなり理解できる」」というこの方の主張は「すんなり理解できる」と言う部分を除けば同意できるものであります。

そうしてまた
>これが時間の進みが遅くなるカラクリです
と言う部分は一考するに値する指摘のように思われます。

以上、Yahoo知恵袋 でした。

知恵袋、玉石混交ではありますが、それはそれで楽しいものでもあります。



・相対性理論「時間の遅れはおたがいさま」「同時」理屈:square_pants さん2014/07/19

https://archive.ph/XPLQ4

https://qa.oshiete.goo.ne.jp/qa/view/8684873?page=2&sort=3

uen_sap さんの回答

『これは考える問題ではありません。
古典力学は不変、不動の枠組として、空間と時間がありました。
ある時刻は全宇宙共通の時刻として、組み立てられている力学体系です。

それをアインスタインがどう測定しても光速が変わらない、と言う実結果を基準にして、組み立てた力学体系が相対論です。
ここでは、空間と時間は不動の枠組みではありません。不動なのは光速。
その結果として、時間の遅れはお互いさまとなるのです。・・・』



・相対論講義録2007年度
前野昌弘
平成 19 年 7 月 24 日 : http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/rel2007/tokushu.pdf :ページ43~44:「4.1 同時の相対性」から

『このように「互いに相手の時間を短く感じる」という一見矛盾した結果が出る。』のだが『この章では、「光速度が誰から見ても(どんな慣性系から測定しても)同じである」という事実から
1. 物体の長さは見る立場によって違って見える(長さのスケールは絶対ではない)。
2. 見る立場によって二つの事象が同時かどうかは変わってくる(同時性も絶対ではない)。
3. 経過する時間は見る立場によって違って見える(時間のスケールも絶対ではない)。
ということが帰結されることを説明した。』と主張しています。

つまり『3、経過する時間は見る立場によって違って見える』ので『「互いに相手の時間を短く感じる」という一見矛盾した結果が出る。』のだが、「それで問題はない」と主張している事になります。

ちなみに上記の記述に続いて

『これは日常的な感覚からすると非常識に聞こえる。しかし、我々の「日常的な感覚」は、飛行機に乗ったとしてもせいぜい 3 × 102m/s つまり光速度の 100 万分の1の速度でしか運動しない生活で培われたものであることを忘れてはいけない。・・・

このような話を「そんな常識はずれな!」「感覚に合わない。なんかおかしい」と批判し受け入れない人は多い。しかし、だが、我々の “常識” は、光速よりも遙かに遅い運動でしか運動しない生活の中で作られたものだということを忘れてはいけない。現実の世界は、そういう狭い経験しか持っていない人間の常識から来る感覚とはずれたところにある2。

実験技術の進歩と物理学そのものの発展が、我々の日常の生活では実感できないような現象を理解するためには、「新しい常識」を作っていかなくてはいけないことを教えてくれた。今や相対論や量子論の助けなしには様々な機械がちゃんと動かない世界に我々は生きている。

「相対論って感覚に合わないから間違っているのでは?」「量子論って常識はずれだからどこかに嘘があるのでは?」と考えるのは、「地球が丸いなんて信じられない、平らなはずだ」と言っていた昔の人と同様に、今となっては愚かなことである。』とこの著者は「進歩的な意見=今日的な意見=業界の常識的な意見」を述べておられます。(注2)



・理論物理学のサイト "J Simplicity(ジェイシンプリシティ)" : http://www.jsimplicity.com/index.html : より「Report 相対性理論 JS0.5」の「Chapter3 特殊相対性理論の世界」・「3.2 時間の遅れ」: https://archive.ph/xoT9k#Section3_2 :

『特殊相対性原理より, M(ct,x) と M'(ct',x') は完全に同等のはずです.

M(ct,x) に対して, M'(ct',x') が等速直線運動しているということは, M'(ct',x') を基準にして, M(ct,x) が逆方向に等速直線運動していると考えることもできますね.

この場合,時間が遅れるのは M(ct,x) の方になってしまいます.

これは,明らかに時間が遅れるのは M'(ct',x') の方であるという,上記の主張と矛盾しているように思えます.

この矛盾を時間のparadoxといいます.

しかし,両方とも正しいのです.

立場によって,主張は異なるのは,慣性系が完全に同等であることを意味します.』



・特殊相対性理論入門
立川 崇之
公開用 第 1 版
2012.8
http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~tatekawa.takayuki/Note/SRelativity-v1.pdf


3.7 特殊相対性理論のパラドックス
3.7.1 時計のパラドックス
によれば

『・・・確かにロケットに積まれた時計は,ロケットの外に置かれた時計よりも進み方が遅くなる.ところが相対性原理を考えると,特別な慣性系は存在しないはずである.
つまり,ロケットの乗っている人から見たら,外に置かれた時計の方が速く動いているという事になり,ロケットの外に置かれた時計の方が進みが遅いのではないだろうかという訳である.
この問題は 時計のパラドックス と呼ばれている.果たしてどちらが正しいのだろうか.・・・』

と問題設定され、検討が続きます。

そうしてその結果は
『結論をいうと,「ロケットの外にいる人,ロケットの中にいる人のどちらからでも相手の時計を見ると,進み方が遅くなっている.」という訳である.』



・ランダウ、リフシッツ著「場の古典論(増訂新版)」東京図書(1964年刊)1章§3“固有時間”(p9~11)
http://fnorio.com/0160special_theory_of_relativity/Landau_Lifshitz_classical_field_1-7/Landau_Lifshitz_classical_field_1-7.html#01-003


§3 固有時間
での議論

「K系とK'系が相対運動している時には、お互いが相手の時計が遅れている事を確認する」と書かれてあります。



・「ミンコフスキーの4次元世界」の「2.二次元時空 (7)時計の遅れ」: https://archive.ph/Cvvyf#2-7 :

ミンコフスキーは「座標系KとK’はお互いに相手の時間が遅れていると見る。」と主張しています。



・アインシュタイン(参照:ういき「時間の遅れ」: https://archive.ph/5YPwu :)

アインシュタインの宣言:「特別な慣性系はなく、全ての慣性系は平等である」

『時空の性質の結果として[2]、観測者に対して相対的に動いている時計は、観測者自身の基準系内で静止している時計よりも進み方が遅く観測される。』(上記ういき参照)=「運動していると観測者から認識される慣性系の時間は遅れる」

従って「アインシュタインの宣言」+「時間の遅れについてのういきの記述」=「時間の遅れはお互い様」となります。



注1:Yahoo知恵袋で「ベックさん」という「当方の認識とは少し違いはあります」が、「アインシュタインの時間の遅れはお互い様が間違っている」という事については当方と同様の認識に達しておられた先輩が存在している事が確認できたのは、興味深い事であります。


注2:まあしかしながらこの「時間の遅れはお互い様」に関しては「本当に愚かなのは玄人なのでは」というのが当方の見たてとなります。

つまりは「従来からの業界の常識にとらわれて宇宙に向けられた望遠鏡をのぞかないのは誰なんだ?」という事になりますか。


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.md/nJZZe