特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その6・BT時間軸では光の到達距離が伸びない件

2024-09-21 09:53:21 | 日記

NT時間軸ではx軸上のすべての点の時刻は原点に置かれた時計の時刻と一致しています。

位置xに於ける時刻をt(x)と書くならば

t(x)=t(原点) なのです。

それに対して速度vで移動している慣性系での時刻t(x)は次のように書けます。

t(x)=t(原点)ーv*x

さてこの式はローレンツが最初に提案したlocal time(局所時間)の定義そのものになっています。

さてそれでこのlocal timeの式が示す内容は「位置xに於ける時刻t(x)は原点時刻だけでは決まらずにx軸上の位置の値も必要になる」というものです。

しかも「x軸上を原点から遠ざかれば遠ざかるほど時間は前に戻る」のです。

 

さてそれで「速度は所定の距離を移動するのに必要とした時間Δtで割る」のでした。

それでですねNT時間軸とBT時間軸の2つの座標系で同じ距離Lを同じ原点時間Δt(原点)で光が通過した、とします。

その場合NT時間軸の座標系では光の速度v(光)は速度の定義によって

v(光,NT)=L/Δt(原点) ・・・①式

となります。

他方でBT時間軸の座標系では光の速度v(光)は

v(光,BT)=L/(Δt(原点)ーv*L) ・・・②式

となります。

この時明らかに

Δt(原点)>(Δt(原点)ーv*L)

であることから

v(光,NT)<v(光,BT)

となります。

 

さてそれで光速不変のルールから

v(光,NT)=L/Δt(原点)=1C

です。

同様に

v(光,BT)=L/(Δt(原点)ーv*L)=1C

でなくてはならないのです。

しかしながら前に示したように速度の定義からは

v(光,NT)<v(光,BT)

となっています。

でも実際は

v(光,NT)=v(光,BT)=1C

なのです。

 

さてそうしますと「最初の前提に間違いがあった」という事になるのです。

その間違いと言いますのは「NT時間軸とBT時間軸の2つの座標系で同じ距離Lを同じ原点時間Δt(原点)で光が通過した、とします。」という設定にあります。

この前提のうち「同じ距離Lを同じ原点時間Δt(原点)で光が通過した」が間違っています。

間違いを修正するには①式および②式、そうして「光速はいつも1C」が成立している条件の下で同じ原点時間Δt(原点)で光が通過した距離を求めるならばNT時間軸とBT時間軸では異なる値にする必要がある、という事になります。

つまりは

v(光,NT)=L(NT)/Δt(原点)=1C

v(光,BT)=L(BT)/(Δt(原点)ーv*L(BT))=1C

従って

L(NT)/Δt(原点)=L(BT)/(Δt(原点)ーv*L(BT))

変数を置き換えて

a/b=x/(b-c*x)

ウルフラムを呼んで

https://ja.wolframalpha.com/input?i=a%2Fb%3Dx%2F%28b-c*x%29

答えは

x=ab/(ac+b)

変数を戻して

L(BT)=L(NT)*Δt(原点)/(L(NT)*v+Δt(原点)) ・・・③式

さて

Δt(原点)/(L(NT)*v+Δt(原点))<1

ですから③式から

L(BT)<L(NT)

が成立している事になります。

 

この③式を検証します。

Δt(原点)=8秒

その時にはL(NT)=8C

v=0.6の場合は

L(BT)=8C*8秒/(8C*0.6C+8秒)

=64/(4.8+8)

=64/12.8

=5

こうして静止系に対して速度0.6Cで動いているK系では原点時間で8秒間スイッチを入れた場合、光の先頭は8Cまで伸びずに5Cの位置にまでしか到着できない事が分かるのです。

そうしてこの計算結果は前に示したローレンツ変換を使った場合と同じ結論になっています。

 

さてL(NT)/Δt(原点)=1CからL(NT)をΔt(原点)に置き換えても良い事がわかります。

そうしますと③式は

L(BT)=L(NT)*Δt(原点)/(L(NT)*v+Δt(原点))

=Δt(原点)*Δt(原点)/(Δt(原点)*v+Δt(原点))

分子分母をΔt(原点)で割って

L(BT)=Δt(原点)/(v+1) ・・・④式

この簡単な式が静止系に対して速度vで動いている慣性系の原点時間でΔt秒間、光源のスイッチを入れた場合にx軸プラス方向に(or慣性系の進行方向に)光の先頭が到達できる距離を示す最終式となります。(注1

 

注1:注目すべきはこの式はローレンツ変換は使われておらず、棒の時間(BT)の定義と前のページで示した速度の定義および光速不変の3つから導き出されているのです。

つまり「その4:ローレンツ変換と光の到達距離」で行ったような「最初に静止系での光の到達距離を出して次にそれを速度vで動いているK系にローレンツ変換してK系での光の到達距離にする」という様な「面倒な操作」は必要ないのです。

そうではなくて最初に示した3つの前提から直接、光の運動系での到達距離が算出できるのです。

さてそれは言い方を変えますと「運動系の時間軸の特性と光の特性が光の運動系での到達距離を決めている」となるのです。

そうしてもちろん「光の特性は静止系と運動系で変わることはない」のであれば「時間軸の特性が静止系と運動系での光の到達距離の差を決めている」のです。

さてそれはつまり「静止系と運動系は時間軸の特性が違う慣性系である」となり「静止系と運動系は同等なもの」ではなく「異質なものである」となります。

そうであれば「相対性原理が言う所の『すべての慣性系は平等であり同等である』は間違っている」が結論となります。

そうしてまた「その4:ローレンツ変換と光の到達距離」で示したローレンツ変換を使った計算結果に則して言うならば「ローレンツ変換は静止系が客観的な存在である事を支持している」となるのです。

 

さて振り返ってみますれば「その10・車の外あるいは中以外の場所に静止系がある、とした場合の計算」に於いてローレンツ変換は「静止系は客観的な存在であってもよい」と認めていました。

そうして次にローレンツ変換はここに至りて「静止系が客観的な存在である事を支持する」となったのであります。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

https://archive.md/qmZr8

 


その5・特殊相対論における速度の測り方or速度の定義

2024-09-17 02:16:48 | 日記

はい、「何をいまさら」のテーマです。

「そんな事は分かってる」と。「対象物が移動した距離を移動に必要だった時間で割ればいい。」

ええ、まさにその通りなんですがその時に使う「移動に必要とした時間間隔Δtをどうやって決めるのか?」、「どこから持ってくるのか?」が実は明確になっていませんでした。

・・・という問題提起ができるのも「世の中にはBT時間軸というものが存在する」とローレンツ変換が教えてくれたおかげであります。

 

この問題はNT時間軸が成立している世界、それは静止系の世界ですが、そこでは簡単です。

対象物が移動した距離を原点に置かれた時計で測った経過時間Δtで割ればいいのです。

そうして今までの物理では速度はすべてそのようにして定義されていました。

いまさら「x軸上に置かれたすべての時計の時刻は原点に置かれた時計の時刻に対してずれは生じていない」などという「NT時間軸を定義する必要さえなかった」のです。

 

しかしながらここにきて「BT時間軸が再発見されてしまいました。」(注1

これで状況が一変することになったのです。

従来は「静止系に対して運動している慣性系の時間軸も静止系と同じでNT時間軸のままである」という、そういう「暗黙の了解が成立していた」のです。

しかしながらそれは間違いでした。(注2

「静止系に対して運動している慣性系の時間軸はBT時間軸になっていた」のです。

 

さてそうなると「静止系でも運動系でも同じように通用する速度の定義、速度の測り方」が必要となります。

そうしてそれは実に簡単な事でした。

「測定対象の速度測定区間に設定された時計の時刻を使えばよい」のです。

速度測定区間の頭をA点、終わりをB点とします。

そうしてその2つの場所にその慣性系内で時刻合わせが終わっている時計①と時計②を置く。

で対象物が時計①を通過した時刻を時計①を使ってTaと記録する。

同様にして対象物が時計②を通過した時刻を時計②を使ってTbと記録する。

で速度を計算するのに必要な時間間隔Δtは

Δt=TbーTa

で求まります。

そうしてこのやり方であれば静止系であれ運動系であれ同じように使えます。

加えてこの計算方法は速度の時間微分による定義にもなっています。

但しそこで使う時間はBT時間軸で示される時間t’となります。(注3

 

さてこのようにして定義できた速度ではありますが、それが単に「従来の速度の定義を言い換えただけ」であって「なんのごりやくもない」ものであれば「つまらないもの」であります。

しかしながら「そうはならない、ごりやくはある」のです。

以下それについて説明しましょう。

 

1,速度の加法則とBT時間軸の関係

: その5・棒の時間からのローレンツ変換の導出 :の「ローレンツ変換から直接、速度の加法則が導出できる」事についてはそちらを参照願います。

それでこの時の状況ですが慣性系Kが静止系Sに対して相対速度0.6Cで動いている。

でその時に物体mが0.8Cで静止系に対して動いている。

静止系時刻0秒でK系原点も物体mも静止系の原点位置にあった。

そうしてその時にK系の原点位置に置かれた時計も0秒を指していた。

それで原点時刻10秒後の物体mの静止系上での位置を求めますと

0.8C*10秒=8C

となります。

さてこの座標(10秒、8C)をK系(t’、x’)にローレンツ変換します。

x’=(8C-0.6C*10秒)/sqrt(1-0.6^2)

=(8-0.6*10)/0.8

=2.5(C)

t’=(10秒ー0.6C*8C)/sqrt(1-0.6^2)

=(10-0.6*8)/0.8

=6.5(秒)

そうであれば上記の記事: その5・棒の時間からのローレンツ変換の導出 :で示したように物体mをK系から観測した場合の速度Vmは

Vm=2.5/6.5=0.384615・・・=5/13

となります。

 

次に「速度の加法則を使った場合」は

Vm=(0.8-0.6)/(1-0.8*0.6)

=(0.2)/(0.52)=0.384615・・・=5/13

となり「同じ結果を得ます。」

 

さらには棒の時間(BT)をつかった場合は

物体mとK系原点の静止系時刻10秒後の距離は

8Cー6C=2C

K系の物差しはローレンツ短縮で0.8がけで短縮している。(sqrt(1-0.6^2)=0.8)

従ってその短縮した物差しで2Cの距離を測ると

2C/0.8=2.5C

距離2.5Cの位置に置かれた時計はK系原点時刻に対して

2.5C*0.6C=1.5秒 遅れる。

静止系で10秒経過はK系原点時刻では0.8がけで遅れるので8秒経過となる。(sqrt(1-0.6^2)=0.8)

従って原点から2.5Cの位置に置かれた時計の時刻は

8(秒)ー2.5(秒)=6.5(秒)を指している。

さてもちろんK系原点時刻0秒ではK系から見て物体mはK系原点に位置していた。

そうであれば物体mはK系原点時刻では8秒後にK系x座標位置で2.5Cまで動いたことになる。

物体mは静止系上では等速直線運動していた。

その物体mをK系から観測しても等速直線運動していると観測されることに違いはない。

さてその時に物体mの速度Vmは移動距離2.5Cを移動に必要な時間Δtで割ることで求める事ができる。

そうしてその移動に必要な時間Δtは8秒というK系原点に置かれた時計が示す経過時間ではなくて、そのタイミングで、あるいは「物体mがK系のx座標位置2.5Cに到達した時にその場所に置かれた時計が示していた時刻6.5秒」と「物体mがスタートした場所、それはK系原点位置なのだが、その場所に置かれた時計がその時に示していた時刻0秒」との差分としての「6.5秒」を使う、というのが「速度についての新しい定義の内容となる」のです。

そうであれば物体mの速度Vmは「速度についての新しい定義」に従って

Vm=2.5C/(x座標2.5Cに到達時点でのその場所に置かれた時計が示している時刻ー物体mのスタート時点でのその場所に置かれた時計が示していた時刻)

=2.5C/(6.5秒ー0秒)

=2.5/6.5=0.384615・・・=5/13

となり、これもまた同じ結果となります。

 

さてそうであれば「速度の加法則を認めている」という事は「知らない間にBT時間軸の存在を認めている」という事でありまた「速度の新しい定義方法を認めている」という事にもなっているのです。(注4

ちなみにこうして求められた物体mの速度Vmに原点での経過時間8秒を掛けても物体mの到達距離にならないことは明らかであります。

速度Vm*8秒=5/13*8秒=3.0769・・・≠2.5C

そういう意味で物体mのK系での速度Vmは従来の速度とは概念が異なるものです。(注5

 

2,「静止系から見たときに慣性系Kの相対速度が0.6Cである」という事はどういうことか?

新しい速度の定義に従って考えますと「静止系時刻で10秒の時にK系原点は静止系原点から右に0.6Cの所に到達していた」。

そうして「その場所に置かれていた時計の時刻表示はその時には10秒となっていた」となります。

従ってK系原点の速度Vkは

速度Vk=6C/(x座標6.0CにK系原点が到達した時点でのその場所に置かれた時計が示している時刻ーK系原点のスタート時点でのその場所に置かれた時計=静止系原点に置かれた時計が示していた時刻)

=6C/(10秒ー0秒)

=6/10=0.6C

となります。

何となれば「静止系の時間軸はNT時間軸ですから原点時刻10秒の時にはx軸上のすべての時計の時刻も10秒となっているから」ですね。

ちなみにこの状況を棒の時間を使って言い換えますと「静止系で測定対象の速度をを測るのに使う棒はガリレイ変換で使う棒と同じで、棒の長さは縮まず、棒の原点時間は遅れず、さらに棒の先端に置かれた時計の示す時刻は原点に置かれた時計の時刻に対してずれることはない」となります。

つまりは「静止系から運動系を見たときの運動系の速度はガリレイ変換でよい」となっているのです。

 

3,「K系から見たときに静止系の相対速度がー0.6Cである」という事について

この内容については従来の特殊相対論の中では「暗黙の了解事項」として取り扱われていました。

そうしてこの事については言葉を変えますれば「特殊相対論がもつ、もう一つの暗黙の保存量」という事ができます。

つまり「ローレンツ変換は静止系と運動系の間の相対速度を不変に保つ」のです。

その結果「特殊相対論においては静止系からK系を見たときにその相対速度がVであるならば、K系から静止系をみるとその相対速度はーVになっている」のです。

 

「そんな事はあたりまえだろ?」という声が聞こえます。

さて本当に当たり前でしょうか?

何となれば静止系とK系では速度を測定するときに使う棒の時間(BT)が違っているからですね。

静止系からK系を観測するときはNT時間軸を使い、K系から静止系を観測するときはBT時間軸を使います。

それにもかかわらず「この2つの観測結果が同じになる」と「さてどうして言えるのでしょうか?」(注6

 

ちなみにガリレイ変換の世界では「この2つの速度が同じになる事」は次のようにして説明できます。

静止系の時刻10秒後には静止系の原点とK系の原点との間の距離は6Cになっていました。

そうであれば静止系から見たときにはK系原点は右方向に10秒で6C進んだことになります。

従ってK系の速度は6C/10=0.6Cです。

これを逆にK系から見ますと静止系の原点はK系の原点からK系時間で10秒後にー6C(左方向に6C)にある事になります。

従ってK系から見たS系の相対速度はー6C/10=ー0.6Cとなります。

こうしてガリレイ変換の世界ではS系とK系の間の相対速度は大きさが同じでただし方向が逆になっている事がわかるのです。

 

さて次にローレンツ変換の世界で同じことを考えます。

S系からK系を見たときにその相対速度が0.6Cになることはすでに示しました。

さてそれで同じ状況の時にK系からS系を見るとどうなるのかがテーマです。

K系の物差しはローレンツ短縮で0.8がけで短縮している。(sqrt(1-0.6^2)=0.8)

従ってその短縮した物差しで6Cの距離を測ると

6C/0.8=7.5C

7.5Cの長さの棒の先端の時刻は棒の原点の時刻に対して7.5*0.6C、ずれる。

そうして今回はK系の進行方向とは逆方向に棒が延びているので時間のずれは棒の原点時刻に対して進む方向にずれる。

そうしてそのずれ時間は7.5*0.6=4.5秒となる。

さて静止系で10秒経過はK系原点時刻では0.8がけで遅れるので8秒経過となる。(sqrt(1-0.6^2)=0.8)

そうであれば棒の先端の時刻は8秒+4.5秒=12.5秒となっている。

速度の定義からK系から見たS系原点の相対速度Vsの大きさはしたがって

相対速度Vsの大きさ=7.5C/12.5秒=0.6C となる。

もちろんS系はK系に対して左方向に動くので

Vs=ー0.6C

となる。

こうしてめでたくK系からS系を見たときにもS系からK系を見たときにも同じ相対速度の値0.6CになることがBT時間軸を使う事で確認できたのである。

ちなみに通常はこの「相対速度の不変性」については「相対性原理を使う事で説明されている」模様です。(注7

しかしながら「BT時間軸を使う事で相対性原理を使う事なく相対速度の不変性は説明できる」のです。

さてそうであれば「運動の相対性とBT時間軸があれば相対性原理にこだわる必要はない」と言えます。

 

加えて「静止系からK系を見たときの運動系の速度はガリレイ変換でよく値は0.6C」そうして「K系から静止系を見たときの静止系の速度はBT時間軸を使って(=ローレンツ変換を使って)値はー0.6C」となっているのです。

このあたり、「誰が仕組んだのか知りませんが」何という巧妙さ、バランスの良さでしょうか!

 

注1:もともとはBT時間軸はローレンツが提案しポアンカレが完成させたものです。

注2:この件詳細は: その3:棒の時間(BT)とMN図とミンコフスキー :を参照願います。

注3:静止系の時間軸はNT時間軸ですが「原点に置かれた時計とx軸上に置かれた時計の時刻の間のずれ量がゼロのBT時間軸」とみる事も出来ます。

そのようにみるならば「この宇宙の時間軸はすべてBT時間軸である」と言えます。

注4:ちなみに「速度の加法則の導出」についてK系で観測される物体の位置x’と時間t’を使ったものに: https://archive.md/BNIeb :があります。

そうしてこの記事で「補足1」や「補足2」で展開されている内容は参考になるかと思われます。

しかしながらこの記事では「BT時間軸の概念までは到達してはいない」模様です。

注5:従来の速度の概念はNT時間軸を前提としたものでした。

それに対してここで議論している速度VmはBT時間軸上で成立している速度です。

注6:例えば: その7・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出 :の最後の部分の記述に同様の疑問点が指摘されています。

そうしてその疑問に対する回答をようやくここで得る事ができた、という事になります。

注7:たとえばEman物理: https://archive.md/Evswb#selection-959.0-1009.1 :ローレンツ変換の求め方:では以下の様な記述があります。

『今はK系からK'系への変換式を求める作業をしているが,当然のことながら,K'系からK系を見たときにも同様の変換式が成り立つはずである.違うのは速度vが逆方向であるということくらいである.しかしお互いは全く対等であるので速度が逆だというくらいで係数が変わってはいけない.x軸のプラス方向とマイナス方向に空間的にどんな違いがあるというのか.これは便宜上決めた方向に過ぎないのだ.』

何故「当然のこと」といえるのか?

それは「相対性原理の成立を前提としているから」ですね。

従って「お互いは全く対等であ」り、「速度vが逆方向であるということくらい」でいずれにせよ「K系からK'系を見たときの速度の大きさ」と「K'系からK系を見たときの速度の大きさは同じである」とEman物理は主張しているのです。

 

追記:「速度の新しい定義方法」などと言っていますがこれはローレンツ変換がポアンカレによって修正・完成された時点でこの世の中に登場していたものでした。

なんとなれば「ローレンツ変換はその速度の定義式を使っているから」ですね。

そうであれば「世界は120年間に渡って知らない間に『速度の新しい定義方法を使っていた』」となるのです。

さてそうしますとローレンツ変換から言わせれば「本当に、何をいまさら」となるのでした。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

https://archive.md/T9PXv

 

 


その4:ローレンツ変換と光の到達距離

2024-09-13 01:42:58 | 日記

さて前の例ではMN図の表示と合わせるために相対速度を0.58Cとしてきましたが数字の切りが悪いので以降は相対速度0.6Cとして話を進めます。

それ以外の設定条件は前のページと同じです。

ただし今回は静止系に対して0.6Cで右方向に移動している慣性系をK系と呼び、静止系はS系と呼びます。

さてそうであれば静止系時刻0秒ではこのK系原点と静止系原点は同じ場所にありました。

それに加えて今回はこのK系原点にも静止系原点に置いたのと同じ光源を置きます。

そうしてこれらの光源はスイッチによってオン・オフができるのです。

おっともちろんK系原点の時計は静止系原点時刻0秒で0秒になっています。

つまりは2つの原点に置かれた時計は静止系時刻0秒で時刻合わせができているのです。

 

さてそれでまずは静止系(=S系)原点に置かれた光源のスイッチを0秒の時に入れて10秒後に切ります。

そうしますとこの光の棒の先頭は10秒後には静止系x座標の10Cの位置に到達しています。

さてそれを座標で表すと(10秒、10C)となります。

これをK系から観測します。

つまりはK系に相対速度V=0.6Cでローレンツ変換するのです。

そうすると

t’=(10ー0.6*10)/sqrt(1-0.6^2)

=(10ー0.6*10)/0.8

=4/0.8=5(秒)

x’=(10ー0.6*10)/sqrt(1-0.6^2)

=(10ー0.6*10)/0.8

=4/0.8=5(C)

S系(10秒、10C)ー>V=0.6Cでローレンツ変換ー>K系(5秒、5C) です。

 

さてそれでこの時同時にK系原点に置かれた光源のスイッチもS系原点に置かれたスイッチと同時に入れて、同時に切ります。

つまりはS系時間で10秒間、2つの慣性系の原点に置かれた光源から光が出ていたのです。

しかしながら0.6Cで運動しているK系の時刻はS系の時刻の進み方よりsqrt(1-0.6^2)=0.8の割合で遅れます。

そうであれば「K系原点に立っているスイッチを入れて切る役目の実験者はK系原点に置かれた時計が0秒の時に光源のスイッチを入れて8秒になったらスイッチを切る」のです。

そうすることで「S系で10秒間、光を出した」のと同じ時間の間「K系でも原点から光を出すことができる」のです。

 

さてそれで「相対性原理の主張」によれば「すべての慣性系は平等である」となっています。

つまりは「相対性原理はS系で行った物理実験と同じ実験をK系で行えば同じ実験結果が得られる」と主張しているのです。

 

まずはS系で原点の時計で10秒間、光を出しました。

そうしたら10秒後に光はS系のx座標値で10Cの所に到達していました。

さて次はK系です。

K系で原点の時計で8秒間、光を出しました。

その時にK系のx座標値でいくつの所に光は到達していたのでしょうか?

相対性原理はもちろん「それは8Cだ」と答えます。

 

「なぜならば」と相対性原理は説明します。

「K系で行った物理実験とS系で行った物理実験では同じ物理法則が働いているからだ」

「そうしてそれを相対性原理というのだ」と。

従ってそのK系で行われた実験は、S系原点から10秒間出た光の先頭が10秒後には10Cの位置に到達していたのであれば、それと全く同じ状況をK系に於いて再現する事になるのです。

そうであればK系原点に置かれた光源から8秒間のあいだ出た光の先頭は8秒後にはK系のx座標値で8Cの場所に到達しているのです。

 

さてそれでアインシュタインによれば「光源が止まっていても速度0.6Cで動いていてもどちらの場合でも静止系でその光の速度を測定すれば1Cとなる」のでした。

つまりは「光源の移動速度に関係なく光速はいつも1Cである」が「光速不変の原理」です。

さてそうなりますと同時に2つの原点から出た2つの光は並んで走ることになります。

つまり「S系原点から出た光の先頭とK系原点からでた光の先頭はいつも並んでいる」のです。

そうであればこの2つの光の先頭はS系時間で10秒後にも同じ位置にいることになります。

 

・・・おやおやおかしいですねえ。

S系原点からでた光の先頭が到達した距離は10Cでした。

それをK系にローレンツ変換したら5Cとなりました。

S系(10秒、10C)ー>V=0.6Cでローレンツ変換ー>K系(5秒、5C) です。

他方でK系原点に置かれた光源のスイッチを8秒間いれて切った。

その8秒の間にK系原点からでた光の先頭が到達した距離は相対性原理によれば8Cでした。

 

しかしながらこの2つの光は「常に並んで走る」のです。

さてそうなりますと「K系原点からでた光の先頭が到達した距離は一体いくつなんですか?」という事になります。

ローレンツ変換が教える距離は5Cです。

他方で「相対性原理が主張する距離は8C」なのです。

 

まあそういうわけで「静止系原点時間で10秒間」それは「K系原点時間換算では8秒間になる」のですが「その8秒間の間にK系原点から出た光の先頭が到達した距離についてはローレンツ変換の回答と相対性原理の回答の間には避けようがない深刻な矛盾が生じている」のです。

 

追記の1:BT時間軸の観点から「相対性原理が主張する距離の値8C」を評価してみます。

K系原点時刻8秒で光がK系x軸8Cの位置に到達した、とします。

棒の長さは8Cですからそこの場所は原点時刻に対して0.6*8C=4.8秒、遅れる方向にずれています。

いま原点時刻が8秒でしたので8Cの場所の時刻は

8秒ー4.8秒=3.2秒を示しています。

さてそうであれば8Cの場所に立つ観測者は自分の時計の時刻が3.2秒を示していた時に光は8Cの場所に届いた、と報告する事になります。

つまりは「今回は光の速度は8C/3.2秒=2.5Cであった」と報告するのです。

しかしながらこの報告は「光速はいつも1Cである」というルールに抵触している事になりますのでアインシュタインによって却下されることになります。

さてそうであればアインシュタインにも認めてもらう為には「原点時間で12.8秒の時に8Cの所に光が届けばよい」のです。

その場合は8Cの場所の時間表示は

12.8秒ー4.8秒=8秒 となっておりそうであればこの場合は光速は

8C/8秒=1Cとなり「アインシュタインチェックも無事に通る」という事になります。

 

追記の2:アインシュタイン流の特殊相対論の理解では「ローレンツ変換と相対性原理は両立する」となっています。

なんとなれば「相対性原理と光速不変を前提としてローレンツ変換を導き出している」のですから「ローレンツ変換と相対性原理との間に矛盾があるはずはない」という認識です。

しかしながら上記で説明した状況をみますれば「そこには明らかな矛盾がある」のです。

とするならば「アインシュタインは上記のような状況の計算をしたことがなかった」というのがその答えになりそうです。

ちなみに「ミンコフスキーもまた同様である」と言えますね。

加えて上記本文の状況は相対論を作り発展させたお二人にはまことに申し訳ないのですが、ローレンツ変換推しの当方の目には「ローレンツ変換自体が相対性原理を否定している様に見える」のであります。

 

追記の3:相対性原理によれば「S系を静止系としたときにはK系では時間が遅れる」となりまた同時にその時に「K系を静止系と出来、そうであればS系の時間は遅れる」となっていました。

つまりは「時間の遅れはお互いさま」であり相対性原理は「それでいいのだ」というのです。

まあそれはそれとしてそのような認識が成立していたとしたら何が起きるのか、見ていきます。

まずは上記本文で示した状況を2人の観測者、「私」と「彼」を登場させて再度説明します。

最初に「私」はS系にいました。

そうであれば「S系は静止系として認められていました」。

そうして「彼」はK系にいて8秒間光源のスイッチを入れたのです。

その時には「S系を静止系としたのでK系では原点時間8秒の時に光は5Cの場所にまでしか到達していない」がローレンツ変換の答えです。

そうして「私」も「彼」もその答えに同意し、実験事実もそれを支持していました。

さてそれで、それを確認した瞬間に「私がK系に移り彼がS系に移ります」。

そうするといったい何が起きるのでしょうか?

「私がK系に移りました」のでその瞬間に今度は「K系が静止系になる」というのが「相対性原理が主張している内容」です。

そうであれば「K系で8秒間光を出した時の光の到達距離は8C」とならなくてはいけないのです。

なんとなれば「K系は相対性原理が言うように『私がK系に移る事で』今度はK系が静止系となった」のですから。

そうして「K系が静止系であれば8秒間で光が8Cの場所に届くこと対してはローレンツ変換も異議を唱えません」。

さてそうしますと「K系の原点から8秒間光を出した」という条件には何の変更もないのですが相対性原理が「今度は静止系はK系だ」と言ったとたんに「光が届いていた距離が5Cから8Cに延びる」という「まるで魔法のようなことが起きる」のです。

さてそうして「当方の物理学には魔法が入る余地はない」のであればやはり「相対性原理の主張=すべての慣性系は同等である」には「非常に大きな疑問が残る」という事になるのです。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

https://archive.md/esauV

 


その3:棒の時間(BT)とMN図とミンコフスキー

2024-09-08 17:30:26 | 日記

アインシュタインは静止系に対して運動している慣性系の時間軸がBT時間軸になっている事は認識していなかった模様です。

そうしてその状況はそのままミンコフスキーに受け継がれました。

そのミンコフスキーが考案したものが今ではよく使われる事になったMN図です。

そうしてそのMN図でローレンツ変換の有様を示すとこのようになります。: https://archive.md/ND6P3 :

これはMN図のなかにローレンツ変換座標を示したものになっています。

それでこの場合黒座標は静止系で赤座標が運動系。

運動系はほぼ+0.58Cで静止系の+X方向に動いている。

そうしてこの2つの慣性系の座標の原点がちょうど重なり合った時の状況をこのイラストは示しています。

で、黒座標視点で描いてありますから黒座標は直交座標になっていますがそこから見た赤座標は斜め右方向につぶれた斜交座標になって見えています。

そうしてこの斜交座標がそのまま相対速度V≒0.58Cでのローレンツ変換を示しています。

 

さてそれで点Bを黒座標(10、11.5)に取ります。ただしここでの座標表示順序は(x、ct)です。

その点Bの値を赤座標で読みますと(4,7)です。(きれいに読める点を点Bに選んだのですからそうなります。)

そうしてこれは黒座標(10、11.5)を相対速度V=0.58Cでローレンツ変換した結果と同じになっています。(注1

 

それでこの時に注目すべきは赤座標視点で見たときにどのように表示されるのか、表現されるのか、ということです。

運動系である赤座標に立ちますと静止系が左方向に動いている様に観測されます。

そうしてもちろん自分の座標系は斜交座標ではなくて直交座標である、と認識することになります。

つまりは黒座標ベースで描かれたMN図ではx’軸とct’軸が狭角をなす斜交座標として赤座標は描かれていますが、赤座標ベースではその角度が90度になる様に、つまりは赤座標はx’軸とct’軸が直交座標になる様に描かれる事になるのです。

そうしてその時に従来の認識では「赤座標の時間軸は静止系と同じNT時間軸(ニュートンの時間軸)のままで変わりはない」としてきました。

しかしながらこの時に赤座標の時間軸はBT時間軸(棒の時間軸)になっていたのです。(注2

そうしてこのことについてはアインシュタインもミンコフスキーも認識しておらず、見逃していました。

 

さてこの見逃しの故に「静止系と運動系という2つの慣性系の間に本質的な違いはない」とされてきたのです。

つまりは「すべての慣性系は同等であって、その間をローレンツ変換が結ぶ」としたのです。

しかしながら事実は「NT時間軸(ニュートンの時間軸)が成立しているのは静止系だけ」であって「静止系に対して運動しているすべての慣性系(=運動系)の時間軸はBT時間軸(棒の時間軸)になっていた」のです。

そうしてBT時間軸(棒の時間軸)はNT時間軸(ニュートンの時間軸)とは違うのです。

あるいは「BT時間軸(棒の時間軸)はNT時間軸(ニュートンの時間軸)にはなれない」のです。

従ってこの時点ですでに「静止系は特別な慣性系である」という事になります。

さてそうであれば「静止系と運動系という2つの慣性系の間に本質的な違いはない」=「すべての慣性系は同等である、という認識は誤りである」という事になります。

そうして「上記の認識はどこから出てきているのか」といいますれば、驚くべきことに「ローレンツ変換そのものから出てきている」のです。

つまりは「ローレンツ変換そのものが静止系は特別な慣性系である」という事を実は示していたのです。

そういう意味では「我々はほぼ120年間にわたってローレンツ変換の主張している内容を聞きそびれていた」=「ローレンツ変換の事はよくわかっているつもりでいた、だがそれは誤解だった」のです。(注3

 

さてそれで赤座標がBT時間軸(棒の時間軸)になっている事の端的な例を以下に示します。

再度: https://archive.md/ND6P3 :を参照します。

黒座標で(10,10)の点を取ります。

その点は光が静止系時間で10秒後に到達した位置を示しています。

その点を赤座標で読みますと(5.1558,5.1558)になります。(注4

 

さてそれで赤座標は静止系に対して0.58Cで移動しています。

従って赤座標の原点時間は静止系に対してsqrt(1-0.58^2)≒0.81462で遅れます。

そうであれば黒座標で10秒経過は赤座標原点時刻では8.1462秒となります。

10秒*sqrt(1-0.58^2)=8.1462秒

 

さてそれで赤座標がNT時間軸であったとするならば、光が赤座標のx’軸上のどの位置に到達していてもそこに於かれた時計の時刻は8.1462秒を指していなくてはなりません。

なんとなれば「それがNT時間軸の定義であるから」ですね。

NT時間軸では原点に置かれた時計の示す時刻とx軸上のどの位置に置かれた時計が示す時刻であっても、その間にずれは発生してはいないのです。

さてそうであれば光はx’座標値で8.1462の位置にいなくてはなりません。

何故ならば「光速Cは不変」であり「常にC=1」であるからですね。

従ってこの場合はC=8.1462/8.1462秒=1となっている必要があるのです。

こうして「赤座標の時間軸がNT時間軸とした場合の黒座標時間で10秒経過した光の赤座標読みでの到達位置が計算できる」のです。

 

しかしながら実際にローレンツ変換した値は(5.1558,5.1558)であって(8.1462、8.1462)ではありません。

そうしてこの事は: https://archive.md/ND6P3 :をみても確認できる事なのであります。

こうして「赤座標の時間軸はNT時間軸ではなくてBT時間軸になっている」という事が確認できるのでした。(注5

 

さてそれで「事実は以上の様」ではありますが、なぜMN図を考案したミンコフスキーがBT時間軸を見逃していたのか、という事について考えてみます。

MN図そのものは前にも指摘しましたように「よく見ればBT時間軸を表している」のです。

しかしながらその表現は「一目瞭然の形にはなってはいない」のです。

そうであれば: https://archive.md/ND6P3 :の図を見ただけでは「さすがのミンコフスキーもその事を見逃したのは無理もない事であった」と言えます。

そうしてそれゆえにミンコフスキーも「すべての慣性系は同等である」というアインシュタインの主張に同意し、MN図を使った時間遅れの説明の中で「時間の遅れはお互い様」と宣言するに至ったのであります。(注6

 

注1:黒座標(10、11.5)を相対速度V=0.58Cでローレンツ変換する。

x’=(10-0.58*11.5)/sqrt(1-0.58^2)

≒(10-0.58*11.5)/0.81462

=4.0878

t’=(11.5-0.58*10)/sqrt(1-0.58^2)

≒(11.5-0.58*10)/0.81462

=6.9972

従って黒座標(10、11.5)を相対速度V=0.58Cで赤座標にローレンツ変換するとその結果は(4.0878、6.9972)≒(4,7)=MN図での黒座標(10、11.5)の赤座標を使った目視読み値。

注2:BT時間軸(棒の時間軸)とNT時間軸(ニュートンの時間軸)の違いについては以下の記事を参照願います。

その6・ニュートンの時間(NT)と棒の時間(BT)の1

その7・ニュートンの時間(NT)と棒の時間(BT)の2 

注3:「ローレンツ変換は座標変換である」というのはまあ「間違いではない」のでしょう。

しかしながら例えば直交座標を極座標に変換する、そういう意味での座標変換ではありません。

ローレンツ変換というもののそれは「静止系に対して運動している慣性系の座標軸が持っている特徴をそのまま写し取ったものである」という認識の方が良いでしょう。

つまりは「ローレンツ変換によって棒の時間軸(BT時間軸)が生まれる」とそういう事ではなくて、もともとが「静止系に対して運動している慣性系の座標軸の時間軸がBT時間軸になっている」という認識の方が妥当なのであります。

注4:(10,10)を相対速度V=0.58Cでローレンツ変換します。

x’=(10-0.58*10)/sqrt(1-0.58^2)

≒(10-0.58*10)/0.81462

=5.1558

t’=(10-0.58*10)/sqrt(1-0.58^2)

≒5.1558

注5:以下実際にローレンツ変換した値の(5.1558,5.1558)がBT時間軸になっている事を確認しておきます。

x’=5.1558ですからこれが棒の長さとなります。

そうして相対速度が0.58Cでしたから時間のずれ量Δtは

Δt=5.1558*0.58≒2.99036

静止系時間で10秒は赤座標原点時間で8.1462秒です。

さてそうであれば光が到達した場所に置かれた時計が示していた時刻t1は

t1=8.1462秒ー2.99036秒=5.155836

t’=5.1558≒5.155836=t1

こうして確かに赤座標の時間軸はBT時間軸になっている事がわかるのでした。

ちなみにC=5.1558/5.1558秒=1となっています。(当然ですね。)

注6: https://archive.md/ccEpc#selection-2025.0-2025.8 :を参照願います。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

https://archive.md/Qpd2i

 


その2・ローレンツ変換の始まりとマクスウェル方程式

2024-09-01 05:46:20 | 日記

さてういき:ヘンドリック・ローレンツ: https://archive.md/4jRUo :の記述では前のページに記述された年代とずれが生じています。

で、今度はこのういきベースで再度まとめてみます。

1895年、マイケルソン・モーリーの実験結果を説明しようとしてローレンツは、移動する物体が移動する方向に沿って収縮するという仮説を提案した(ジョージ・フィッツジェラルドも同じ解釈に到達していた。そのためこの長さの収縮をフィッツジェラルド-ローレンツ収縮とも呼ぶ)。

ローレンツは、相対的に移動する基準座標系間の電磁現象(光の伝播)を説明しようとした。

彼はある基準座標系から別の基準座標系への変換を新たな時間変数「局所時間」を導入することで単純化できることを発見した。局所時間は対応する基準座標系の位置と絶対時間に依存する。ローレンツは、物理的関連性の詳細な解釈を与えずに局所時間を使い、これを発表した(1895年1899年)。

1900年、アンリ・ポアンカレはローレンツの局所時間を「素晴らしい発明」だとし、複数の移動する座標系にある時計が互いに時間合わせするのに光の信号を交換するという例を挙げ、どの座標系から見ても光の速度は同じだと仮定した。』

 

ここでは「1895年がローレンツ短縮の発表の年である」とされています。(注1

と同時にその年にすでに新たな時間変数「局所時間」のアイデアを提示していた、とされています。

その1895年の発表からさらに思考を深めたのが1899年の発表でしょう。

 

注1:前のページでは1892年:ローレンツ短縮を発表:となっていました。

ちなみにMMの干渉計の実験結果をエーテルの仮説と矛盾なく説明するだけならばこの「ローレンツ短縮仮説だけで十分」でした。

そのあたりの経緯については以下の記事を参照ねがいます。

 ・その3・ マイケルソン・モーレーの実験とローレンツ短縮

 ・その4・ マイケルソン・モーレーの実験とローレンツ短縮

あるいは次のような チャットGPTとの会話もあります。(追記参照

 

で、「何を言いたいのか」といいますれば「ローレンツは、相対的に移動する基準座標系間の電磁現象(光の伝播)を説明しようとした。」のです。

これはコトバを変えますれば「マクスウェルの方程式を不変に保つことができる座標変換をさがしていた」という事になります。

そうして到達した結論が彼はある基準座標系から別の基準座標系への変換を新たな時間変数「局所時間」を導入することで単純化できることを発見した。』のでした。

これがローレンツ変換と呼ばれるものが最初に姿を表した状況です。

そうしてローレンツ変換のキーポイントは「局所時間の導入」であってこれをポアンカレは「素晴らしい発明だ」と称賛したのでした。(1900年)

なんとなればそれまでの物理の歴史の中で「慣性系が変わると時間が変化しても良い」という事を始めて指摘したのがこの「局所時間の導入」であったからですね。

それまでは「どの慣性系に於いても時間は同じように流れる」という「宇宙に唯一存在する時間の流れ」が物理現象を記述するうえでの前提・常識でした。

じっさいにニュートン力学はそのようにして出来ています。

しかしその縛りを最初にほどいたのがローレンツだったのです。

さてそのような「天才的なひらめきを示したローレンツ」でしたが「エーテル概念」からは離れることはありませんでした。

これは今から顧みれば「電磁気学の専門家であったローレンツ」が「その専門性のゆえに超える事が出来なかった壁であった」という事が出来ます。

そのあたりの事は「ローレンツとアインシュタインの違い」: https://archive.md/SL1c0 :にて次のように紹介されています。↓↓↓

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アブラハム・パイスは、次のようにローレンツを紹介している。
 『私がローレンツを理解しているところでは、彼は理論物理学における指導者であり、特殊相対性理論のあらゆる物理的、数学的面を完全に把握していたが、それにもかかわらず、最愛の古典的過去にすっかり別れを告げることができたわけではなかった。この態度は自我の葛藤とは何も関係がない。そういうものは彼にとっては異質のものであった。

アインシュタインとポアンカレは常に彼を賞賛し、ローレンツは常に返礼した。そしてまた彼はどこで誤ったかをはっきりさせるのをためらわなかった。

「[特殊相対論の発見にあたって]私の失敗の主な原因は、変数 t だけが真の時間と考えうる量で、私の局所時間 t’は補助的数学量にすぎないとみなさねばならないという考えに、私が執着したことであった」と彼はコロンビア講義の第2版の付記に書いた。』(注2


 「[特殊相対論の発見にあたって]私の失敗の主な原因は、変数 t だけが真の時間と考えうる量で、私の局所時間 t’は補助的数学量にすぎないとみなさねばならないという考えに、私が執着したことであった」。感動的な自己評価だと思う。 

これに、アインシュタインの自己評価を対置してみよう。「ローレンツによって導入され、“局所時間”と命名された補助的量が純粋で単純な“時間”としてはっきり規定される、という洞察必要なことのすべてであった」。やはり感動的である。

 ローレンツとアインシュタイン。二人の違いは、ケプラーとニュートンの違いに対応すると思う。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー↑↑↑ここまで引用 

注2:ローレンツは「局所時間 t’は補助的数学量にすぎない」と見なしていましたがポアンカレは「局所時間には物理的な実体がある」と認識していた模様です。

といいますのも「離れた場所にある2つの時計を同期させるには光を使うしかない」という事に気が付いており、その結果として「局所時間が現れる」という事を理解していました。

ちなみに「補助的数学量にすぎない」という表現はまた「アインシュタインの提唱している静止系の概念」にもそのまま当てはまります。

つまりは「アインシュタインにとっては静止系は物理的な存在ではなく、単なる補助的数学量にすぎない」という事ができます。

それに対して当方の主張している静止系は「物理的な存在」=「物理的な実在」なのであります。

さてアインシュタインは「“局所時間”と命名された補助的量はバーチャルなものではなくてリアルなものである」と見ぬきました。

そのアインシュタインが「静止系というのはバーチャルなものである」と宣言していますが、さてこの宣言は当たっているでしょうか?

もし「アインシュタインの認識は今回はハズレだ」という事になるとそれは少々皮肉な結果と言う事になります。

なんとなればローレンツは静止系に対してそれは物理的な実在である」という立場をとっていたからであります。

 

追記:「座標変換に「ローレンツ収縮」を導入するだけなら変換後のx座標=変換前のx座標の値にsqrt(1-V^2/C^2)という因子を掛ける、という形の座標変換式を提示するだけでよかったはず。しかしローレンツが提案した座標変換式(ローレンツ変換)はそうなっていないのは何故?」

回答:チャットGPTo曰く

ローレンツが提案した座標変換式が単に x 座標に収縮因子を掛ける形ではなかった理由は、物理法則(特にマクスウェル方程式)が異なる慣性系でも同じ形を保つようにするためです。単に空間座標に収縮因子を掛けるだけでは、時間座標も含めた4次元時空全体の変換を正しく扱うことができず、これではマクスウェル方程式を保つことができません。

背景
ローレンツは、エーテル理論を仮定して物理法則を考えました。しかし、マイケルソン・モーリーの実験結果は、エーテルの存在を示さず、ローレンツはこれを説明するためにローレンツ収縮を導入しました。最初は、運動する物体の長さが運動方向に収縮することで光速度一定を説明しようとしましたが、これだけでは不十分であることが明らかになりました。

ローレンツ変換の完全な形式
ローレンツ変換の完全な形式は、空間座標だけでなく時間座標も含めた4次元時空の変換です。この変換は次のように表されます:

・ローレンツ変換
ローレンツ変換は、2つの慣性系 S とS ′  間の座標変換を次のように定義します:
x ′ =γ(x−vt)
t ′ =γ(t−vx/c^2 )
y ′ =y
z ′ =z

ここで、v は S と S ′  の相対速度
c は光速、γはローレンツ因子 1/sqrt(1-v^2/c^2)


なぜ時間座標も変換されるのか
ローレンツ変換が時間座標を含む理由は次の通りです:

1、同時性の相対性:

異なる慣性系における出来事の同時性が相対的であるため、時間も空間と同じように変換する必要があります。同時性の概念が慣性系によって異なることは、空間と時間の結びつきを示しています。

2、マクスウェル方程式の不変性:

マクスウェル方程式が異なる慣性系でも同じ形を保つためには、時間と空間が一緒に変換されなければなりません。単に空間座標だけを収縮させるのでは、時間に関する方程式の形が変わってしまい、マクスウェル方程式の不変性を保つことができません。

3、光速度一定の原理:

光速度がすべての慣性系で一定であることを保つためには、空間と時間の両方を含む変換が必要です。ローレンツ変換は、光速一定の原理をすべての慣性系で成立させるための変換です。

まとめ
ローレンツ変換は、単に空間座標に収縮因子を掛けるだけでは不十分です。時間座標も含めた4次元時空全体の変換を行うことで、物理法則(特にマクスウェル方程式)が異なる慣性系でも同じ形を保つことができます。このようにして、ローレンツ変換は光速度一定の原理をすべての慣性系で維持し、同時に同時性の相対性を考慮に入れた完全な変換式となっています。

 

さて再び上記のういき:ヘンドリック・ローレンツ: https://archive.md/4jRUo :から続きを引用します。

1899年および1904年の論文 "Electromagnetic phenomena in a system moving with any velocity smaller than that of light"(光速未満の速度で運動する系における電磁現象)でローレンツはその変換に「時間の遅れ」を導入し、1905年にポアンカレがこれをローレンツ変換と名付けた。

ローレンツの1904年の論文は電気力学の共変的定式化を含み、うまく定義された変換特性によって異なる基準座標系における電気力学現象を1つの方程式群で記述している。

この論文は電気力学の実験結果が基準座標系の動きに依存しないということを示している。

また、1904年の論文では、光速に近い速度で移動する物体の慣性質量が増加するという点についても詳細に論じている。

1905年、アインシュタインはそれらの概念や数学的手法やローレンツの考察を利用し、"Elektrodynamik"(電気力学)と題した論文を書き、これが後に特殊相対性理論と呼ばれるようになった。アインシュタインの成果はローレンツの成果に基づいているため、もともとは「ローレンツ-アインシュタイン理論」と呼ばれていた。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

https://archive.md/Hylz2