特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その1・ローレンツ変換の始まりと棒の時間

2024-08-28 12:26:55 | 日記

:ういき「マイケルソン・モーリーの実験」 : https://archive.ph/ENUqB :より引用

静止したエーテル中の電磁気理論(1864年[3])を作り、光は電磁波であるという説(1871年[4])を立てたジェームズ・クラーク・マクスウェルは、ある時、自身の方程式の数式中に、直接的ではないものの、静止エーテル中の地球の運動が適当な光学上の実験で探知できることが示されていることに気づいた[注釈 4]。

ただし、その方法とは、マクスウェルがワシントンの航海年鑑局に勤務していたデイヴィッド・ペック・トッドに宛てた手紙の中で

「光速度を測定する地球上のあらゆる方法では、光は同じ道筋を通って帰ってくる。エーテルに対する地球の運動は、往復で、光速に対する地球の速度の比の二乗だけ変化するが、これは小さすぎて観測できない」

と述べている[5][注釈 5]ように、光の速さ c に対する地球の軌道運動の速さ v の比 (β = v/c) の二乗、すなわち β^2 で表される極めて小さい有限の量を測定するという非常に高い測定精度が必要なものであった[注釈 6]。

一方、上記マクスウェルからの手紙を読む機会を得た、トッドの同僚でアメリカ海軍士官であったアルバート・マイケルソンは、そのマクスウェルの考えた測定実験に興味を抱いた。

↑この話の発端がマクスウエルにあった、と言う事実は興味深いものがあります。

そうして「今はできないかもしれないが、こういう実験が可能である」と公表しておく事は意味がある、という例でもあります。

 

歴史の中でローレンツ変換を導入する必要性が認識されたのは、MMの干渉計の実験結果が公表されてからでした。

そうしてそこでキーポイントになっていたアイデアは「エーテルが光を伝達している媒質である」という考え方でした。

それで「光の媒質がエーテルである」とは誰が最初に言い出したの?」とチャットGPToに問いかけます。こたえは

「光の媒質がエーテルである」という考えは、17世紀から19世紀にかけて多くの物理学者によって支持されていましたが、最も早い時期にこの概念を提案した人物の一人は、フランスの哲学者兼科学者であるルネ・デカルトです。デカルトは、光がエーテルという媒質を通じて伝播するというアイデアを提唱しました。

エーテルの歴史的背景
デカルト(17世紀)
ルネ・デカルトは、光の伝播を説明するために「エーテル」という概念を導入しました。彼は、エーテルが宇宙全体に充満し、光がこの媒質を通じて伝わると考えました。デカルトの考えでは、エーテルは物質と同じように空間を満たし、光はこのエーテルの振動として伝播するとされました。

クリスティアーン・ホイヘンス(17世紀)
オランダの物理学者クリスティアーン・ホイヘンスも、光の波動説を提唱し、光がエーテルという媒質を通じて伝播すると考えました。ホイヘンスの波動説は、光の干渉や回折現象を説明するために非常に有効でした。

アイザック・ニュートン(17世紀末から18世紀初頭)
アイザック・ニュートンは、光の粒子説(光子説)を支持しましたが、彼もエーテルの存在を否定していませんでした。ニュートンは、エーテルが光の伝播に何らかの形で関与している可能性があると考えていました。

トーマス・ヤングとオーギュスタン・フレネル(19世紀)
19世紀初頭に、トーマス・ヤングとオーギュスタン・フレネルが光の干渉と回折の実験を通じて波動説を支持しました。彼らの研究により、エーテルが光の波を伝える媒質として再び重要視されました。

ジェームズ・クラーク・マクスウェル(19世紀)
ジェームズ・クラーク・マクスウェルは、電磁波としての光の理論を確立しました。彼のマクスウェル方程式は、光が電磁波としてエーテルを通じて伝播することを示唆しました。マクスウェルは、エーテルが電磁波の伝播を媒介する必要があると考えました。

エーテルの否定
エーテル仮説は、19世紀後半のマイケルソン・モーリーの実験(1887年)によって大きく揺らぎました。この実験は、地球の運動によるエーテル風を検出しようとしましたが、予想された結果が得られませんでした。この結果は、エーテルの存在に対する疑問を生じさせました。

最終的に、アルベルト・アインシュタインの特殊相対性理論(1905年)により、光の伝播に媒質としてのエーテルが不要であることが示されました。アインシュタインは、光速度が真空中で一定であり、エーテルという媒質を仮定しなくても物理法則が成り立つことを示しました。

まとめ
エーテルが光の伝播媒質であるという考えは、デカルトによって最初に提唱され、その後ホイヘンス、ニュートン、ヤング、フレネル、そしてマクスウェルといった多くの科学者によって支持されました。しかし、マイケルソン・モーリーの実験とアインシュタインの特殊相対性理論によって、この概念は最終的に否定されました。とチャットGPToは回答します。

エーテルがデカルト起源である、と言うのは知りませんでした。

そうしてまたほぼ250年間に渡って、学会で広く認識されていた概念がエーテルであった、ということにもそれなりに感慨深いものがあります。

特にニュートンやマクスウェルがその考えを支持していた、という事は「エーテル概念についての当時の認識」=「当然そうなっているはずだ」=「それが常識というものだ」という状況をよく表しています。

 

ちなみにそのマクスウェルが「電磁波が光の正体である」と最初に言い出した方の様です。

マクスウェル方程式から電磁波の伝搬速度を最初に計算したのは、ジェームズ・クラーク・マクスウェル自身です。

詳細
ジェームズ・クラーク・マクスウェルは、1860年代に電磁気学の統一理論を確立しました。彼は、電場と磁場の間の関係を表す一連の方程式、すなわちマクスウェル方程式を導き出しました。

電磁波の伝搬速度の導出
マクスウェルは、電場と磁場が連続的に変化する電磁波が存在し、それが空間を伝播することを示しました。彼は以下の関係式を用いて電磁波の伝播速度を計算しました:

1、マクスウェル方程式(特にファラデーの法則とアンペールの法則を含む形式):

・ファラデーの法則(時間変化する磁場が電場を誘導する)
・アンペールの法則(時間変化する電場が磁場を誘導する)

2、媒質の特性:

・電場の変化に対する媒質の応答を表す電気定数(誘電率) ϵ0 
・磁場の変化に対する媒質の応答を表す磁気定数(透磁率)μ0​
 
マクスウェルはこれらの定数を用いて、電磁波の伝播速度 c を以下のように表しました:

c= 1/sqrt(ϵ0*μ0)

 この式から得られる速度 c が、実際には光の速度に等しいことを示しました。

影響と意義
マクスウェルの計算は、電磁波と光が本質的に同じものであることを示すものでした。これは、光が電磁波の一形態であるという電磁波理論の確立に繋がり、電磁気学と光学を統一する重要な一歩となりました。

結論
電磁波の伝播速度を最初に計算したのは、ジェームズ・クラーク・マクスウェルであり、彼の理論は電磁気学と光学の統一に大きく貢献しました。by チャットGPTo 

そのマクスウェル自身が「地球がエーテルの海の中を進む速さは検出可能である」と提案したのがMMの干渉計実験の始まりでした。

そうして行われたMMの干渉計実験の結果は「地球がエーテルの海の中を進む速さは検出できなかった」というものでした。

 

さてこのMMの干渉計実験結果をエーテルの存在を信じていたローレンツが何とか説明しようとして提案してきたのがローレンツ短縮であり、ローレンツ変換なのでした。

ヘンドリック・ローレンツがローレンツ変換を提案するに至った経緯は、主にマイケルソン・モーリーの実験結果と、それに続くエーテル理論の問題に対する解決策としての発展によるものです。以下に、ローレンツ変換の提案に至る主な経緯を示します。

1. エーテル理論の背景
19世紀末まで、光はエーテルと呼ばれる仮想的な媒質を通して伝播すると広く信じられていました。エーテルは、宇宙全体に均等に広がっていると考えられ、光や電磁波はこのエーテルを通じて伝わるとされていました。

2. マイケルソン・モーリーの実験
1887年に行われたマイケルソン・モーリーの実験は、地球がエーテルに対して運動している場合、光の速度が異なる方向において異なるはずだという仮説を検証しました。具体的には、エーテルに対する地球の運動を検出しようとしましたが、結果は否定的で、光の速度は地球の運動に関係なく一定であることが示されました。この結果はエーテル理論と矛盾しており、物理学界に大きな衝撃を与えました。

3. ローレンツの貢献
ヘンドリック・ローレンツは、マイケルソン・モーリーの実験結果を説明するために様々な理論を提案しました。彼の目標は、エーテル理論を修正して光速度一定の結果を説明することでした。

・ローレンツ収縮
ローレンツは、エーテルに対して運動する物体が、その運動方向に収縮するという「ローレンツ収縮」の概念を提案しました。この収縮は、運動する物体の長さがエーテルに対する速度に依存して短くなるものであり、これによりマイケルソン・モーリーの実験結果を部分的に説明しようとしました。

局所時間
また、ローレンツは「局所時間」(local time)の概念を導入しました。これは、エーテルに対する運動によって、異なる時間が観測されるというものでした。具体的には、エーテルに対する速度 v で運動する系での時間 t ′  を次のように定義しました:

t ′ =t− vx/c^2

 ここで、t はエーテルに対して静止している系での時間、x は空間座標、c は光速です。

4. ローレンツ変換の完成(注1
これらの概念を統合して、ローレンツは最終的にローレンツ変換を提案しました。ローレンツ変換は、異なる慣性系における空間座標と時間座標の変換を次のように定義しました:

・ローレンツ変換
ローレンツ変換は、2つの慣性系 S とS ′  間の座標変換を次のように定義します:
x ′ =γ(x−vt)
t ′ =γ(t−vx/c^2 )
y ′ =y
z ′ =z

ここで、v は S と S ′  の相対速度
c は光速、γはローレンツ因子 1/sqrt(1-v^2/c^2)

5. ポアンカレとアインシュタインの貢献
アンリ・ポアンカレは、ローレンツ変換がマクスウェル方程式を不変に保つことを示し、この変換が電磁理論にとって重要であることを認識しました。さらに、アルベルト・アインシュタインは1905年に特殊相対性理論を発表し、ローレンツ変換を光速度一定の原理と相対性原理に基づいて再解釈しました。これにより、エーテル仮説を排除し、ローレンツ変換がすべての慣性系で適用される基本的な変換式として確立されました。

まとめ
ローレンツ変換は、エーテル理論に基づいたマイケルソン・モーリーの実験結果の説明から発展しました。ローレンツは、運動する物体の収縮と局所時間の概念を導入し、最終的にローレンツ変換を提案しました。この変換は、ポアンカレとアインシュタインの理論によってさらに発展し、特殊相対性理論の基礎となりました。by チャットGPTo 

 

注1:ローレンツが最初に導き出したローレンツ変換では時間の変換式にミスがありました。

t ′ =t− vx/c^2 <--この式はミス

しかしながらローレンツはその変換式でマクスウェル方程式が不変に保たれる」と主張した模様です。(1900年)

そうして時間の変換式のミスを修正して最終的に今現在で知られている形にしたのがポアンカレでした。

t ′ =γ(t−vx/c^2 ) <--この式が正解・γが追加された

加えてポアンカレはその修正版のローレンツ変換がマクスウェル方程式を不変に保つ事を証明した模様です。

ちなみにそれらのポアンカレの仕事はアインシュタインの1905年の特殊相対論の発表よりも前に行われていた様です。

 

さてこのローレンツの仕事の中に歴史上初めて登場する事になったものが上記説明にある「局所時間」(local time)でした。

そうしてそれは正にいままで示してきた「棒の時間」そのものの事なのでした。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

https://archive.md/1K5ye

 


その10・車の外あるいは中以外の場所に静止系がある、とした場合の計算

2024-08-25 05:10:44 | 日記

さてそれで次は「誰もやった事がない計算」をしましょう。

というのも「もし誰かがこの計算をしていたら『客観的な静止系が存在している可能性』について言及していたはずであるから」であります。(注1

しかしながら当方に知る限りにおいて「そのような計算がなされた形跡はない」とみています。(注2

さてではその「誰もやった事がない計算」とは何でしょうか?

それは「車の中」あるいは「車の外以外の場所に静止系をおいて、それで「同時性の相対性の計算をしてみる事」です。

 

具体的にいいますと「今までは相対速度0.6Cの解釈」について「車が右に0.6Cで移動」あるいは「車の外の観測者が左に0.6Cで移動」としてきました。

これをですね「観測者間の相対速度0.6Cのままで車は右に0.4Cで移動」とするのです。

つまり「静止系を車は右に0.4Cで移動となるように設定した」という事になります。

そうなりますと「車の外に立つ観測者は左に0.2Cで移動となる」のでしょうか?

ガリレイ変換ではそうなるのですが、ここはローレンツ変換の世界ですので「車の外に立つ観測者は左に0.2Cで移動」とはならず「その速度の算出には速度の加法則を使う事」になります。

 

その具体的な計算内容は (-0.6+0.4)/(1-0.6*0.4) です。

ウルフラムを呼んで

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%28-0.6%2B0.4%29%2F%281-0.6*0.4%29

答えはー0.263・・・=-5/19

検算をしておきます。 

(0.4+5/19)/(1+0.4*5/19) ウルフラムを呼んで

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%280.4%2B5%2F19%29%2F%281%2B0.4*5%2F19%29

答えが0.6

はい、OKです。

 

さてまずは右に飛んだ光について車の中の慣性系で考えましょう。

車の先端までの距離は1.0Cですがこれがローレンツ短縮をおこします。

割合はsqrt(1-0.4^2)=0.9165・・=sqrt(21)/5です。

従って車の先端までの距離は1.0*sqrt(21)/5

この車の先端が0.4Cで右に逃げます。

光は1.0Cでこれを追いかけますので光が車の先端に到達する時間は

(sqrt(21)/5)/(1.0-0.4)=(sqrt(21)/5)/0.6=1.527・・=sqrt(21)/3(秒)となります。(静止系時間)

もともとの長さが1.0Cの棒の先端の時間は0.4Cで動く場合は棒の中心(原点)に対して0.4秒、遅れます。

1.0*0.4=0.4 です。

で棒の時間はsqrt(1-0.4^2)=0.9165・・=sqrt(21)/5の割合で静止系時間に対して遅れます。

そうであれば静止系時間でsqrt(21)/3(秒)は棒の時間ではsqrt(21)/3*sqrt(21)/5=21/15=7/5(秒)

さてそうであれば棒の先端(=車の先端)に立つ観測者の時計は光がそこに到着したときには何時を指していたのでしょうか?

答えは 7/5(秒)ー0.4秒=1.0秒 です。

 

さてその時に静止系に対して速度5/19Cで左に動く「車の外の観測者」は車の先端に光が届いた時にはどうなっていたでしょうか?

観測者の時計は何時を指していましたか?

光が車の先端に到達する時間はsqrt(21)/3(秒)でした。(静止系時間)

そうであれば光は最初の位置から右にsqrt(21)/3C動いたことになります。(静止系距離)

そうしてその場所には0.4Cで右に動いた車の先端がありました。

そうであれば車の原点が最初にあった場所から光が届いた車の先端までの距離はsqrt(21)/3Cであることになります。(静止系距離)

そうしてまた速度5/19Cで左に動く原点に立っている観測者は最初の位置から左に

sqrt(21)/3*5/19 移動している事になります。(静止系距離)

そうなりますとこの棒の原点に立っている観測者から光が到着した車の先端までの距離は

sqrt(21)/3+sqrt(21)/3*5/19 という事になります。(静止系基準での距離)

 

さてそれで速度5/19Cで左に動く観測者の物差しはsqrt(1-(5/19)^2)の割合で短縮しています。

sqrt(1-(5/19)^2)=0.964・・・=sqrt(21)*4/19

その短くなった物差しでsqrt(21)/3+sqrt(21)/3*5/19という距離を測りますから

(sqrt(21)/3+sqrt(21)/3*5/19)/(sqrt(21)*4/19) が速度5/19Cで左に動く観測者にとっての棒の長さとなります。

(sqrt(21)/3+sqrt(21)/3*5/19)/(sqrt(21)*4/19)

=(1/3+5/(3*19))/(4/19)

=19/(3*4)+5*19/(3*19*4)

=19/(3*4)+5/(3*4)

=24/(3*4)=24/12=2C(速度5/19Cで左に動く観測者基準)

従ってその場所に立つ観測者が車の先端に光が届いたことを観測するのですがその時計は原点にある時計に対して2*5/19秒だけ進んでいる事になります。

 

次に光が車の先端に到達する時間は静止系時間でsqrt(21)/3(秒)でした。

これを速度5/19Cで左に動く観測者の持つ時計の時刻に直します。

速度5/19Cで左に動く観測者の持つ時計はsqrt(1-(5/19)^2)=0.964・・・=sqrt(21)*4/19の割合で遅れます。

従って速度5/19Cで左に動く棒の原点に立つ観測者の時間では光が車の先端に到達した時間は

sqrt(21)/3*sqrt(21)*4/19

=21*4/(3*19)=7*4/19 となります。

この時間に対して原点から右に2Cの位置に立つ観測者の時間は2*5/19秒だけ進んでいます。

従ってその位置での時計は光が車の先端に到達したときには

7*4/19+2*5/19=(28+10)/19=38/19=2秒

を指していることになります。

 

 

次に左に飛んだ光について車の中の慣性系で考えます。

車の後端までの距離は1.0Cですが上記と同様にこれがローレンツ短縮をおこします。

割合はsqrt(1-0.4^2)=0.9165・・=sqrt(21)/5です。

従って車の後端までの距離は1.0*sqrt(21)/5

この車の後端が0.4Cで右に迫ります。

光は1.0Cで左に向かいますので光が車の後端に到達する時間は

(sqrt(21)/5)/(1.0+0.4)=(sqrt(21)/5)/1.4=0.654・・=sqrt(21)/7(秒)となります。(静止系時間)

もともとの長さが1.0Cの棒の後端の時間は0.4Cで動く場合は棒の中心(原点)に対して0.4秒進みます。

で棒の時間はsqrt(1-0.4^2)=0.9165・・=sqrt(21)/5の割合で静止系時間に対して遅れます。

そうであれば静止系時間でsqrt(21)/7(秒)は棒の時間ではsqrt(21)/7*sqrt(21)/5=21/35=3/5(秒)

さてそうであれば棒の後端(=車の後端)に立つ観測者の時計は光がそこに到着したときには何時を指していたのでしょうか?

答えは 3/5(秒)+0.4秒=1秒 です。

 

さてその時に静止系に対して速度5/19Cで左に動く「車の外に立つ観測者」は車の後端に光が届いた時にはどうなっていたでしょうか?

その観測者の時計は何時を指していましたか?

光が車の後端に到達する時間はsqrt(21)/7(秒)でした。(静止系時間)

そうであれば光は最初の位置から左にsqrt(21)/7C動いたことになります。(静止系距離)

そうしてその場所には0.4Cで右に動いた車の後端がありました。

そうであれば車の原点が最初にあった場所から光が届いた車の後端までの距離はsqrt(21)/7Cであることになります。(静止系距離)

 

そうしてまた静止系に対して速度5/19Cで左に動く原点に立っている観測者は最初の位置から左に

sqrt(21)/7*5/19 移動している事になります。(静止系距離)

そうなりますとこの原点に立っている観測者から光が到着した車の後端までの距離は

sqrt(21)/7-sqrt(21)/7*5/19 という事になります。(静止系基準での距離)

 

さてそれで速度5/19Cで左に動く観測者の物差しはsqrt(1-(5/19)^2)の割合で短縮しています。

sqrt(1-(5/19)^2)=0.964・・・=sqrt(21)*4/19

その短くなった物差しでsqrt(21)/7-sqrt(21)/7*5/19という距離を測りますから

(sqrt(21)/7-sqrt(21)/7*5/19)/(sqrt(21)*4/19) が速度5/19Cで左に動く観測者にとっての棒の長さとなります。

(sqrt(21)/7-sqrt(21)/7*5/19)/(sqrt(21)*4/19)

=(1/7-5/(7*19))/(4/19)

=19/(7*4)-5*19/(7*19*4)

=19/(7*4)-5/(7*4)

=14/(7*4)=14/28=0.5C(速度5/19Cで左に動く観測者基準)

従ってその0.5Cの場所に立つ観測者が車の後端に光が届いたことを観測するのですがその時計は原点にある時計に対して0.5*5/19秒だけ遅れている事になります。

次に光が車の後端に到達する時間は静止系時間でsqrt(21)/7(秒)でした。

これを速度5/19Cで左に動く「棒の原点に立つ観測者」の持つ時計の時刻に直します。

速度5/19Cで左に動く棒の原点に立つ観測者の持つ時計はsqrt(1-(5/19)^2)=0.964・・・=sqrt(21)*4/19の割合で遅れます。

従って速度5/19Cで左に動く棒の原点に立つ観測者の時間では光が車の後端に到達した時間は

sqrt(21)/7*sqrt(21)*4/19

=21*4/(7*19)=3*4/19 となります。

この時間に対して原点から左に0.5Cの位置に立つ観測者の時間は0.5*5/19秒だけ遅れています。

従ってその位置での時計は光が車の後端に到達したときには

3*4/19ー0.5*5/19=(12ー2.5)/19=9.5/19=0.5秒

を指していることになります。

 

まとめ

以上をまとめますと

静止系に対して0.4Cで右に動く車の中では真ん中から出た光が

車の先端に届くのは1.0秒後

車の後端に届くのは1・0秒後

となっています。

この時静止系に対して速度5/19Cで左に動く観測者系(=車の外)から見れば

車の先端に届くのは2.0秒後

車の後端に届くのは0.5秒後

となります。

 

さてポイントは「以上の計算結果による測定データは驚くべき事にいままで検討してきたものと全く同じである」という所にあります。

つまり「静止系がどこにあってもそれがどこかに一つ存在したならば静止系に対して速度Vで右方向に動く長さ2Cの車の真ん中から左右に出た光は1秒後に車の先端と後端に届く」のです。

そうしてその車に対して相対速度0.6Cで左にうごく慣性系からその状況を観察しますと、光が車の先端に届くのは2.0秒後でありまた車の後端に届くのは0.5秒後となるのです。

 

以上の事を敷衍して考えますと

静止系に対して任意の速度Vで右に動く長さ2Cの車の中では真ん中から出た光が

車の先端に届くのは1.0秒後

車の後端に届くのは1・0秒後

となります。(ちなみにこれは単に光速不変についての別の表現です。)

この時その車に対して相対速度0.6Cで左に動く観測者系(=車の外)から見ると

車の先端に光が届くのは2.0秒後

車の後端に光が届くのは0.5秒後

と観測される、という事になります。

 

そうしてそのように光速の測定が観測される・測定データが得られるための必要十分条件は「どこかに静止系が一つ存在している事」となります。

そうであればこれは「ローレンツ変換そのものは静止系が客観的な存在である事を排除してはいない」という事の証明にもなっているのです。(注3

つまりは「アインシュタイン流の静止系の決め方でも、そうではなくて観測者と切り離した、客観的な存在としての静止系を設定する方法でも、いずれの方法によっても『同時性の相対性実験の結果は説明できる』のです。」

 

注1:ローレンツやポアンカレは『客観的な静止系が存在している可能性』について言及していましたが、これから述べるような計算の結果をもとにそのような主張をしていた訳ではありません。

注2:もし「同意性の相対性」についてそのような計算が成されていたならば『客観的な静止系が存在している可能性』について言及した記録が残っているはずですが、その様な記録はみあたりません。

注3:前回と前々回に行った計算は「それぞれの観測者が立っている慣性系を静止系とする」という前提に立ったものです。

そうしてそのやり方は「アインシュタイン流の特殊相対論の流儀」であります。

それに対して今回の計算は「車の中にいる観測者」あるいは「車の外に立つ観測者」とは独立に静止系の位置を決めています。

つまりは「観測者の存在を前提としない静止系を設定した」にもかかわらず「同時性の相対性の実験を行うと全く同じ実験結果を得る」のです。

そうであれば「その方法の方がより一般的な計算手順である」となります。

何となれば「静止系は観測者の存在と切り離して自由に設定できるから」です。

あるいはこう言い換えてもいいでしょう。

「単に一つの静止系を設定すればそれで同時性の相対性の実験結果は説明できる」と。

さてそうであれば「車の中にいる観測者」あるいは「車の外に立つ観測者」の慣性系を静止系として計算した方法は「静止系の設定あるいは選択の方法が多数ある中で単に観測者が立つ慣性系を静止系として選択したという事に過ぎない」となるのでした。

 

そうであれば可能性は2つ。

一つは今までのようなアンシュタイン流の主張「観測者が自分が立っている慣性系を静止系とすることができる」というもの。

もう一つは当方が主張している「観測者とは独立した客観的に存在している静止系が一つある」というものです。

この2つの主張のいずれもが「同時性の相対性実験」の実験結果を同じように説明できるのです。

しかしながらその2つには大きな違いがあります。

アンシュタイン流の主張「観測者が自分が立っている慣性系を静止系とすることができる」という主張はこの場合は「車の中の観測者と車の外の観測者は同時に『自分こそが静止系である』と主張しなくてはならない」ということになります。

なんとなれば、この流派では「自分が立っている慣性系以外の場所に静止系を設定する事が出来ないから」であります。

従って「同時性の相対性実験」の実験結果を説明する場合には「一つの場所に同時に2つの異なる静止系の存在を認める」というのがアンシュタイン流の静止系の設定の大きな特徴となります。

 

他方で「観測者とは独立した客観的に存在している静止系がある」という当方の主張の場合は「一つの場所に同時に2つの異なる静止系の存在を認めるという事は決してないのです。

そうであればこの2つの主張、流派は「お互いに相手の主張を否定する」、「共存することはできない」という事になるのです。

 

追伸:「同時性の相対性実験の結果から言える客観的な結論」について

1、我々の暮らす宇宙ではローレンツ変換が成立している。

2、「同時性の相対性実験の結果」が成立する為には少なくとも一つの静止系の存在が必要。

何となれば「その静止系を基準として二人の観測者の観測結果はローレンツ変換を適用する事で説明が可能となるから」である。

3、この時に

・実際には「ただ一つの静止系の存在があるだけである」とする立場と(当方の主張)

・「二人の観測者に対応した2つの静止系が同時に存在する」というアインシュタイン流の立場がある。

4、しかしながらその2つの主張について「どちらの主張が成立しているのか?」という判断は「同時性の相対性実験の結果」からは出てはこない。

その上でこの状況下で「上記2つの立場のどちらを取るのか」、ということについて言うならば「その判断はそれを判断する方の宇宙観、あるいは物理観による、主観的なものになっている」と言う事になります。

5、この2つの立場の客観的な最終決着は「同時性の相対性実験」以外の物理実験結果による事になる。

そうしてこの確認実験は「光そのものを対象とした実験ではない」という事はある程度の確信をもって推察できる。

たとえばその実験は「時間の遅れを測定する」というような「フェルミオンの挙動がらみの実験になる」と想定できる。

何となれば「光そのものの挙動についての実験ではローレンツ変換が静止系を隠してしまうから」であります。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

https://archive.md/skmDK

https://archive.md/zLy1P

 


その9・車を静止系とし車の外を運動系とした計算

2024-08-21 02:21:24 | 日記

さて「その2・棒の時間とローレンツ短縮の関係」: https://archive.md/ON8ER :では車の外に立つ観測者が静止系に立っている、という前提で計算をすすめました。

その結果は静止系から見るならば(=車の外からみれば)真ん中から出た光が

車の後端に届くのは0.5秒後

車の先端に届くのは2.0秒後

となっています。

この時もちろん車の中(=運動系)では

車の後端に届くのは1・0秒後

車の先端に届くのは1.0秒後

となっています。

 

さてそれで相対論によれば「すべての運動は相対的」であって「特別な慣性系はない」という事になっています。

そうであるならば「車の中の観測者」が「自分こそが静止系である」と主張できることになります。

つまりは「動いているのは車の外に立つ観測者の方だ」という訳です。

そのような車の中の観測者の主張はむげに否定することはできません。

なんといっても「すべての運動は相対的」であって「特別な慣性系はない」と主張するのが相対論であれば「車の中の観測者の主張」も取り上げて検討してみる事が必要になります。

 

さてそうであれば今度は「車の中の観測者が静止系である」として計算を行う事になります。

そうしてそれ以外の条件は前回と同じ、つまり「相対速度は0.6C」です。

ただし前回は「車=運動系」は右に動いていきましたが今回は運動系は車の外です。: https://javalab.org/ja/relativity_of_simultaneity_ja/ :

従って「運動系=車の外」は今回は左に0.6Cで動くことになります。

 

さて車の外の物差しはローレンツ短縮をおこして長さ L の物差しは0.8L になっています。

sqrt(1-0.6^2)=0.8 です。

で光は片道1.0Cを車の後端に向けて左方向に速度1Cで動きます。

そうであれば1秒後に光は車の後端に届きます。(静止系時間)

これを左方向に0.6Cで運動している観測者の視点にローレンツ変換しなくてはなりません。(注1

 

光と同じ方向(=左方向)に0.6Cで動いている観測者には静止系時間で1秒後にはその観測者から見て光は距離0.4Cのところに到達していることになります。

0.4=1.0-0.6 です。

ただしこの距離0.4Cというのは静止系で見た時の距離です。

さてこの距離を0.6Cで運動している観測者が自分の物差しで測ると

0.4/0.8=0.5C

となります。

なぜならば「0.6Cで運動している観測者の物差しは0.8がけの割合でローレンツ短縮しているから」ですね。

その「短くなった物差しで距離をはかれば当然、距離は長くなる方向に測定される」のです。

さてそうであればこの時には「0.6Cで運動している観測者の左方向の物差しの長さ(=棒の長さ)は0.5Cである」となります。

さて「同時性の相対性の計算」によれば「進行方向に走る棒の先端の時間は遅れる方向にV*Lの割合で原点に対してずれる」のでした。

従ってこの場合の遅れ方向のずれ量は

0.6C*0.5=0.3秒です。

 

さて次に「0.6Cで運動している観測者の時間は静止系の時間に対して0.8がけで遅れる」のでした。

従って「静止系で1秒後に光が車の後端に届いた」というのは「0.6Cで運動している原点に立つ観測者の時間では0.8秒後に車の後端に届いた」となります。

さてそれで「0.6Cで運動している慣性系で原点から左方向に0.5Cのところにいる観測者が、そうして当該慣性系の中ではその観測者のみが車の後端に光が届いた時刻を記録できる」のです。(注2

さてその観測者は「いったいいつ光は車の後端に光が届いた」と記録することになるのでしょうか?

それは「0.5秒後に光は車の後端に届いた」と記録することになります。

棒の原点にある時計に対して左0.5Cのところにある時計は0.3秒遅れる、したがって棒の原点に立つ観測者の時計が0.8秒後を指している時には左方向0.5Cのところにいる観測者の時計は0.5秒後を指しているからですね。

0.8秒ー0.3秒=0.5秒  です。

 

さて次に右方向に飛んだ光について考えます。

この光は車の先端に1秒後に到達します。(静止系時間)

これを上記と同様に左方向に0.6Cで運動している観測者の視点にローレンツ変換しなくてはなりません。

光と反対方向に0.6Cで動いている観測者には静止系時間で1秒後にはその観測者から見て光は距離1.6Cのところに到達していることになります。

0.6+1.0=1.6 です。

ただしこの距離1.6Cというのは静止系で見た時の距離です。

それでこの距離を0.6Cで運動している観測者が自分の物差しで測ると

1.6/0.8=2.0C

となります。(理由については上記参照)

 

さてそうであればこの時には「0.6Cで運動している観測者の右方向の棒の長さは2.0Cである」となります。

さて「同時性の相対性の計算」によれば「進行方向に走る棒の後端の時間は進む方向にV*Lの割合で原点に対してずれる」のでした。

従ってこの場合の進み方向のずれ量は

0.6C*2.0=1.2秒です。

 

さて次に「0.6Cで運動している観測者の時間は静止系の時間に対して0.8がけで遅れる」のでした。

従って「静止系で1秒後に光が車の後端に届いた」というのは「0.6Cで運動している棒の原点に立つ観測者の時間では0.8秒後に車の後端に届いた」となります。

さてそれで「0.6Cで運動している慣性系で原点から右方向に2.0Cのところにいる観測者が、そうして当該慣性系の中ではその観測者のみが車の先端に光が届いた時刻を記録できる」のです。(注2

さてその観測者は「いったいいつ光は車の後端に光が届いた」と記録することになるのでしょうか?

それは「2.0秒後に光は車の先端に届いた」と記録することになります。

なんとなれば棒の原点に立つ観測者の時計が0.8秒後を指している時には右方向2.0Cのところにいる観測者の時計は2.0秒後を指しているからですね。

棒の原点にある時計に対して右2.0Cのところにある時計は1.2秒進む、したがって

0.8秒+1.2秒=2.0秒  となります。

 

以上をまとめますと

運動系(=車の外からみれば)真ん中から出た光が

車の後端に届くのは0.5秒後

車の先端に届くのは2.0秒後

となります。

このときもちろん車の中(=静止系)では

車の後端に届くのは1・0秒後

車の先端に届くのは1.0秒後

となっています。

 

まとめ

以上の事から静止系を「車の外」とした場合と「車の中」とした場合において、光が車の先端および後端に届くのに必要な時間に差は見られない、という事になります。

さてこれはアインシュタインの主張「観測者は自分が立っている慣性系を静止系として良い」を支持している様に見えます。

つまりは「アインシュタイン流の静止系の決め方とローレンツ変換を使う事で同時性の相対性の実験結果は説明できる」という訳です。

 

「ほらね、やっぱりアインシュタインの言ったとおりだろ。」

そんな声が聞こえてきます。

さあそうなりますと当方の「観測者の主観的な判断とは独立して静止系は客観的に存在する」という主張は成り立たなくなるのでしょうか?

アインシュタイン流の静止系の決め方が正義なのでしょうか?

 

さてここは落ち着いて確認しなくてはなりません。

その確認作業は次のページ以降で行うことに致しましょう。

 

注1:上記で使っている「ローレンツ変換を棒の時間を使って行う方法」についてはすでに「その2・棒の時間とローレンツ短縮の関係」: https://archive.md/ON8ER :で説明したものと同じです。

そうして「時間についてのローレンツ変換の結果を得る為」であるならば「この手順の方が直観的・図形的」あって「わかりやすいものである」と言えます。

注2:もちろんそれは、0.6Cで運動している慣性系の中での話であって、静止系で車の後端にいる観測者も(あるいは車の先端にいる観測者も)同時に光が車の後端に(あるいは車の先端に)届いたことを観測し「光は1秒後に届いた」と記録する事ができるのです。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

https://archive.md/F8v22

 


閑話休題・棒の時間を使ったガリレイ変換について

2024-08-19 01:24:56 | 日記

棒の時間を使って変換することはガリレイ変換を行うことと同等である事の再確認です。

ただしこの場合に使う棒の時間は「ガリレイ変換用の棒の時間」となります。

 

さてそれで物体mが左から右に静止系に対して速度0.8Cで動いています。

それを左から右に静止系に対して速度0.6Cで動く慣性系Kから観測する事を考えます。

静止系時間で0秒で静止系原点、K系原点、物体mが同じ場所にいました。

で1秒後にどうなっているか、それをまずは考えます。

物体mは距離0.8Cの所まで移動しました。

慣性系Kは距離0.6Cの所まで移動しました。

そうであれば慣性系Kの原点から物体mまでの距離は

0.8Cー0.6C=0.2C です。

それでこの物体mを慣性系Kはどのように観測するのか?という事になります。

慣性系Kの原点から物体mまでの距離は0.2Cですが慣性系Kの棒=物差しの長さは移動する事では変化しません。

従って慣性系Kの原点に立つ観測者は「物体mまでの距離は0.2Cだ」と見ます。

これが棒の長さになります。

 

さて次に静止系時間で1秒経過でした。

そうであれば慣性系Kの原点時間でも1秒経過です。

これはガリレイ変換では棒の原点の時間は静止系の原点の時間に対して変化しないからです。

そうして長さ0.2Cの棒が速度0.6Cで右に動いていますがその棒の先端の時刻は棒の原点時刻に対して遅れる事はありません。

これは静止系で成立していた時間軸が「ニュートンの時間(NT)」である事は前述しましたが、ガリレイ変換では変換後の時間軸も「ニュートンの時間(NT)」のままである事によります。

従って長さ0.2Cの棒の先端に立つ観測者は「物体mは1秒で距離0.2Cを動いた」と報告する事になります。

1.0-0=1.0秒だからですね。

 

さて以上で静止系座標で(t、x)=(1秒、0.8C)の点が0.6Cで動いている慣性系Kの座標(t’、x’)=(1秒、0.2C)に「棒の時間を使って変換できた」事になります。

そうして上記で示した様に「ガリレイ変換で使う棒は短縮する事はなく、そうしてまた棒の原点にある時計の時刻は静止系の時間に対して遅れず、棒の先端にある時計の時刻も棒の原点にある時計に対してずれる事はない」のです。

それで上記の変換結果はガリレイ変換

x’=x-v*t

t’=t

を使った場合と同等になっています。

x’=x-v*t=0.8-0.6*1=0.2

t’=t=1

だからですね。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

https://archive.md/VdLJH

 


その7・ニュートンの時間(NT)と棒の時間(BT)の2

2024-08-15 00:25:02 | 日記

1、ローレンツ変換とガリレイ変換の違いについて違う表現をしてみましょう。

ガリレイ変換の場合は変換前の時間空間を表す直交座標の時間軸はNT(ニュートンの時間)でした。

そうして速度Vでガリレイ変換した先の直交座標の時間軸もNT(ニュートンの時間)のままです。

その様な2つの慣性系(変換前と変換後)の間で変換前の座標値(x、t)を変換後の座標値(x’、t’)に変換する手順を示したのがガリレイ変換の式でした。

ここでガリレイ変換は

x’=x-V*t

t’=t

で2つの慣性系のあいだの座標値を結びつけます。

 

それに対してローレンツ変換では次のようになります。

ローレンツ変換の場合は変換前の時間空間を表す直交座標の時間軸はNT(ニュートンの時間)でした。

しかしながら速度Vでローレンツ変換した先の直交座標の時間軸はNT(ニュートンの時間)からBT(棒の時間)に変わります。

その様な2つの慣性系(変換前と変換後)の間で変換前の座標値(x、t)を変換後の座標値(x’、t’)に変換する手順を示したのがローレンツ変換の式でした。

ここでローレンツ変換は

x’=(x-v*t)/sqrt(1-V^2)

t’=(t-V*x)/sqrt(1-V^2)

で2つの慣性系のあいだの座標値を結びつけます。

 

さてこうして見ると分かります様にローレンツ変換は変換する座標値の組に作用してその値を変えるだけではなくて、慣性系の時間軸そのものまで一緒に変化させてしまうのです。

しかしながら通常は我々はローレンツ変換もガリレイ変換の場合と同じ様に「慣性系の時間軸はNTのままで変化しない」と思っています。

つまりはしかしながら速度Vでローレンツ変換した先の直交座標の時間軸はNT(ニュートンの時間:ニュートン タイム)からBT(棒の時間:棒タイム)に変わります。と言う様な事は想定してはいないのです。

所が実際は時間軸はNTからBTに変わってしまうのです。

さてそうであれば「ローレンツ変換というのは座標値を変えるだけではなくて慣性系の時間軸まで変えてしまう変換である」という事になるのです。(注1

 

2、NTとBTの具体的なイメージ

X軸を考えます。但し距離は光速Cで規格化すみ。

NTの場合(つまり静止系の場合:あるいはガリレイ変換の場合の時間軸)

X座標値 ーー>   0(原点) 1  2  3  4  5  6・・・

その位置に置かれた  0    0  0  0  0  0  0・・・     
時計が示す時刻t(sec) 1    1  1  1  1  1  1・・・      
           2    2  2  2  2  2  2・・・     
           3    3  3  3  3  3  3・・・     
           ・     
           ・     
           ・     

NTの場合はx座標各点に置かれた時計の時刻は原点に置かれた時計の時刻と正確に一致しています。

 

BTの場合(静止系に対して相対速度V=0.6Cを持つ慣性系の時間軸)

X座標値 ーー>   0(原点) 1    2    3    4 ・・・

その位置に置かれた  0  -0.6 -1.2 -1.8 -2.4・・
時計が示す時刻t(sec) 1   0.4 -0.2 -0.8 -1.4・・      
           2   1.4  0.8  0.2 ー0.4・・     
           3   2.4  1.8  1.2  0.6・・     
           ・     
           ・     
           ・     

BTの場合はx座標各点に置かれた時計の時刻は原点に置かれた時計の時刻と相対速度V*X座標値の値だけマイナス方向に正確にずれます。

ここでマイナスは原点時刻に対して距離Xにある時計の時刻が遅れている事を示す。

ちなみに0.6Cでこの慣性系は左から右に動いています。

でその時に上記時計の秒数はその慣性系内の各座標値Xに置かれた時計の時刻を示しています。

もちろんこの時にこの慣性系内で光を使って原点と距離Xに置かれた時計の時刻合わせ状況を確認したならば「いずれの距離Xにある時計の時刻も原点の時計と同じ時刻を示している」という結果を得る事になります。

つまりは「全てX軸上の時計は原点の時計と同期がとれていて、時刻合わせOK」となるのです。(注2

さてそうであれば「この慣性系内に立つ観測者には自分の時間軸はNT時間軸に見える」のです。

ただし「実は静止系から見れば距離Xに置かれた時計の時刻は上記の様になっている」のです。

そうしてそれが相対速度Vで静止系に対して移動している棒がsqrt(1-V^2)の割合で短縮して観測される理由になっています。

 

注1:そのようにとらえますとアインシュタイン流の静止系の設定、つまりは「観測者は自分が立っている慣性系を常に静止系として設定してよい」という考え方と上記の説明との間に矛盾が生じる事になります。

つまりはアインシュタインは「観測者は常に自分の立っている慣性系の時間軸はNTであると認識している」し「それが正しい」、つまりは「観測者は自分が立っている慣性系を常に静止系として設定してよい」と主張しているのですが、「実は観測者の立っている慣性系の時間軸はBTであった」という状況が起こり得ます。

そうしてここで想定している「観測者が立っている慣性系の時間軸」が「NTであると同時にBTである」と言う様な事は物理的に起りえないのです。

さてそうであればここでまたしても「アインシュタイン流の静止系のとらえ方、設定の仕方は正しいのか?」と疑問符がつく事になるのです。

ちなみにここでいうBTとはもちろん「座標原点にある時計が示す時刻と位置xにある時計の時刻との間にずれが生じている」と言う事を表しています。

ところで「ローレンツ変換というのは座標値を変えるだけではなくて慣性系の時間軸まで変えてしまう変換である」という表現は少し妥当性を欠きます。

というのも「ローレンツ変換が慣性系の時間軸を変えてしまう」のではなくて実際には「静止系に対して運動している慣性系の時間軸は最初からそのような棒の時間になっている」と見る方が自然であるからです。

そのようにとらえますと「ローレンツ変換式と言うのは運動系の時間軸のありようを目に見える形として表現した」あるいは「あばきだした数式」という事になるのです。

注2:さてその事は「この慣性系の中で光速を測定すればCという結果が得られる」という事の別の形の表現であります。

ちなみにこの0.6Cで動いている慣性系が静止系に対する相対速度を落としてその値がゼロになればもちろんこの慣性系の時間軸は何もしなくても自動的にBTからNTになるのです。

 

追記:BT時間軸はその慣性系での最高到達距離を制限している件

上記のNTとBTについての簡単な表時から以下の事が分かります。

原点位置に置かれた物体mを原点時刻0秒から1秒の間、力Fを加えて加速度運動させます。

そうすると物体mは加速度運動を始めて原点から+X方向に動き出します。

さてそれで、その場合に原点時刻1秒で物体mはどこまで移動可能でしょうか?

 

NT時間軸が成立しているガリレイ変換の場合は物体mは加える力Fの大きさ次第でどこまでも到達距離を延ばす事が出来ます。

なんとなればNT時間軸では原点時刻1秒でX軸上の全ての時計は1秒を指しているからですね。

したがって物体mがどの位置にあってもその位置の観測者は「物体mは1秒でここまで来た」と記録できるのです。

 

さてそれで問題はBT時間軸の場合です。

この場合も物体mは原点時間0秒を起点に右方向に所定の運動方程式に従って運動を始めます。

そうして原点時間1秒でX軸上のどこかの位置にその物体mは存在している事になります。

さてそこでBTを示した本文の表示をみますと

X座標値 ーー>   0(原点) 1    2    3    4 ・・・

その位置に置かれた  0  -0.6 -1.2 -1.8 -2.4・・
時計が示す時刻t(sec) 1   0.4 -0.2 -0.8 -1.4・・ 

となっています。

ここで注目すべきは原点時刻1秒では原点から距離2Cの位置にある時計の時刻はマイナスになっている、という所です。

つまりは物体mが原点時刻1秒の時に距離2Cの所にあった、としたらその位置の観測者は『原点時刻0秒より0.2秒前に物体mはこの位置にあった』と報告する事になるのです。

つまり「原点から物体mが動き出す前に物体mは距離2Cの所にあった」と言う事です。

そうしてそんな事はこの宇宙では起こり得ません。

従って物体mは原点時刻1秒では原点から距離2Cの位置に到達する事はできないのです。

さてそのように考察するならば、物体mは原点時刻1秒では原点からどの位置にまで到達可能となるのでしょうか?

それは「原点時刻1秒の時に物体mが到達したその場所にある時計の時刻がプラスになっている所まで」となります。

さてその条件を満たす座標Xの値はいくつでしょうか?

時間のずれ量は棒の長さ掛ける相対速度Vでした。

求めているずれ時間の量は1秒です。

従って

一秒=距離X 掛ける 0.6C

距離X=1/0.6=5/3=1.6666・・・C

こうしてこの簡単な考察からBT時間軸になっている慣性系ではこの物体mの原点時刻1秒の時の最大到達距離は原点から1.6666・・・Cである事がわかるのです。

 

ちなみに相対論の世界では一番早いものが光でした。

その速度は1Cです。

ならば原点を0秒で通過した光は原点時間で1秒後にはx座標で1Cの所に到達しているのか、と言いますればBT時間軸ではそうはなりません。

BT時間軸でも等速運動している物体mの速度は物体mが到達したそのx座標値をその座標値の所にある時計が示している時刻で割れば求まるのでした。

で今はこの物体mの速度が光速Cである、としたのです。

そうして原点時間で1秒後にはx座標値でx1の所に到達したとしましょう。

その時の棒の長さはx1で慣性系の相対速度は0.6Cです。

従って時間のずれ量は 0.6*x1

原点時刻が1秒でしたから座標値x1での時刻は 1-0.6*x1

距離はx1ですから等速運動の速度は x1/(1-0.6*x1)

この値が1Cですから

1=x1/(1-0.6*x1)

(1-0.6*x1)=x1

1=x1+0.6*x1=(1+0.6)*x1

従って

x1=1/(1+0.6)=1/1.6=0.625

こうして相対速度0.6CのBT時間軸では原点時間で1秒後に光はx座標値0.625の所にいる事が分かるのでした。

そうしてもちろんその場所にある時計の時刻は0.625秒を指しています。

 

さてでは一体いつ光はx座標値で1Cの場所に到達するのでしょうか?

原点時間で1秒後にx座標値0.625でしたから1Cに到達するのは原点時間で

1/0.625=1.6秒後です。

さてその時の棒の長さは1Cですから1Cの所にある時計は1C*0.6Cだけ原点時間に対して遅れています。

そうであれば1Cの所にある時計は原点時間で1.6秒経過した時にはちょうど1秒を指している事になります。

こうして距離1Cの所に立つ観測者は「1秒で光は原点からこの場所に届いた」と記録しその様に報告できるのです。

つまり「光速は1Cである」となります。

 

ちなみに光についての以上の説明はMN図によっても確認する事が出来ます。

参照MN図: https://archive.md/ND6P3 :

このMN図は相対速度がほぼ0.58Cの時のローレンツ変換の状況をしめしています。

まあそうであれば多少の誤差はありますがこれを0.6Cでのローレンツ変換のMN図の代用にしましょう。

それで光はもちろん45度の青ラインで示されています。

変換前の静止系は黒座標、変換後の慣性系は赤座標になっています。

で、静止系で1秒の間に(Y軸方向1ブロック)光が進んだ距離はX軸方向に1ブロックです。(ちなみにイラストは拡大して見て下さい)

でその黒座標(t,x)=(1,1)の点の赤座標読み値はえいやあの目視で(0.6,0.6)あたりになっています。

そうしてこの数値は上記計算では(0.625,0.625)として求められた点に相当しています。

さて次に赤座標で(1,1)の点の黒座標読み値はえいやあの目視で(2,2)あたりになっています。

つまり静止系で2秒ほど経過すると赤座標での光の到達距離が1Cになっている、という事になります。

さて静止系で2秒と言うのは赤座標原点時刻では何秒でしょうか?

2秒*sqrt(1-0.6^2)=2*0.8=1.6(秒)が答です。

さてこれも上記計算で示した値「原点時間で1秒後にx座標値0.625でしたから1Cに到達するのは原点時間で1/0.625=1.6秒後です。」の再確認になっています。

さてこうして「棒の時間を使った変換はMN図の表示とも整合性が取れている」という事が確認できるのでした。

以上の事よりイラストでの黒座標系はNT時間軸であり赤座標系はBT時間軸である、という事がわかります。

そうしてその事については今まではだれも気がついてはいなかった事であろうかと思われます。

つまりは「NT時間軸とBT時間軸というテーマ」については従来の相対論の検討項目の中には入っておらず、「見落とされてきたテーマである」という事になります。

 

追記の2:速度の測定について

所で物であれ光であれその速度を測定する、という行為は出発点と到着点とのあいだの距離Lとその距離を移動するのに必要だった時間間隔ΔTを測定する、という事です。

そうして速度VはV=L/ΔTで決まります。

この関係は使っている時間軸がNTであれBTであれ変わる事はありません。

であればΔTは到着点に置かれた時計がしめす時刻T2から出発点に置かれた時計の時刻T1を差し引く事で決まります。

つまり ΔT=T2-T1 です。

それ以外の手順によってΔTが決まる事はありません。

ちなみに「任意の慣性系においてこの時に使われる2つの時計は光を使って時刻合わせが終了している」という事は相対論に於いては大前提となっています。

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「相対論・ダークマターの事など 記事一覧」

「その2:ダークマター・相対論の事など 記事一覧」

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