今日の秋櫻写

こちら新宿都庁前 秋櫻舎

春のきものと歌の会 @ありすの杜

2012年03月21日 21時14分53秒 | きもの

ドイツ大使館と有栖川庭園を横目に、
南部坂のきつい斜面をのぼりきれば、
介護施設「ありすの杜」。

そこの一階にあるカフェ「アスパローゼ」で
3月3日(土)「春のきものと歌の会」と題した
雛祭りイベントを開催。

当日ワタシは走りまわっていたので
あちこちからいただいた写真をご紹介~!

ぱふぱふ。


会は、深井えみこさん(声楽家)&横山仁子さん(ピアニスト)
のユニット「えみじん」とのコラボレーション形式。

春の歌とピアノに乗せながら、我々秋櫻舎組をはじめ、
お仲間の皆さんが色とりどりの春のきものを着て、
施設の方々に春をお届けしようというもの。

マイクをもった比佐子さんが司会進行役。



小道具は久保田房子さんが手がけた三枚の和紙と
赤、黄、ピンクのチューリップの花。

和紙のほうは等身大サイズで、それぞれ
雛祭り、桜、藤の花を描いたところにすてきな書で
和歌が添えられており、それを関戸姐さんとワタシが
両脇からもって練り歩いた。

この日の比佐子さんは、裾に藤が描かれた
春の黒留を赤い長じゅばんと帯あげでドレスダウン・コーデ。

なお比佐子さんは
四季に応じた黒留をもっているそうだ。
1枚ではないってことだ・・・。




中山さん。
さわやかな桜の訪問着は
これぞ満開の桜というような一枚。
このありすの杜とのご縁をくださった方でもある。





房子さんも桜。
そして房子さんは和紙の制作者でもあって
今回、快く貸していただき感謝。





灯りをつけましょ、ぼんぼりに~♪

生演奏で(!)歌を歌いながら一周したところで、
全員前に並んでさいごまで。
清見さんの歌声のすばらしいこと。
共演者もびっくりだった。




真ん中に飾ってあるチューリップ、見える?
これをフィナーレのときに、観客の皆さまに一本ずつ手渡したの。
なんかね、すごくたのしい演出だったな。

左のグリーンのドレスを着ているのが
声楽家の深井えみ子さん。
今回は我々に合わせて、ショールに友禅染を
チョイスしてくださったそうだ。


歌が終わると、BGMは軽快なテンポの曲に変わり、
一人ずつ会場をウォーキング。
で、それぞれが着ているきものに
比佐子さんがコメント解説を入れるのだ。



ワタシ、先陣を切らせてもらいました。
それらしく歩いてるつもり。
着ているのは紅型(つばめ、ぼたん、流水柄)。
帯はブルーの大島紬の箔の袋帯。
実は近くの産地のものを合わせていて、
かつての悲しい歴史への鎮魂も込めてる。




姐さん。山岸幸一さんの蘇芳染のきものに藤の帯。
この蘇芳は年々色が落ち着いた赤になっていて、
姐さんとともに生きてるのだそうな。
草木染の大いなる魅力だな。




房子さん。歩くのが一番うまくって、
そして美しかった・・・。
お太鼓には琵琶。ぼかしが超色っぽい。




中山さんと清見さん。
中山さんはさすがに慣れていて、
輝くばかりの笑顔。きれいー。

清見さんは帯にポイントを置いたコーデ。
西澤さんの縮緬染め帯。
ブルーの桜がよく目立つこと。
鉄紺の帯揚がかなりおしゃれ。
桜をしゅっと着るお手本だと思う。





母娘で連弾。



仁子さんとお嬢様の洸(ひかり)ちゃん。
洸ちゃんは振り袖である。
ショートカットに振り袖。
ワタシ、かなり好み。


で、後半戦。

「花衣ぬぐやまつはる 紐いろいろ」

桜とともに書かれたのは、かの杉田久女の一句。
ものすごいイメージの喚起力だ。
言葉ってすごい。




こちらも親子共演。
鈴木陽子さん&萠ちゃん。

陽子さん、たのしそー!


お次のふたりは大トリ。


 
ぶれぶれだが、モンペ姿の島立さんと
夜桜をまとった山岸さんのコンビ。

島立さんは御歳82歳。
そしてこのモンペはチューリップ柄!
会場は、大いに盛り上がった。




きものはこんな風に再生できるということで、
クッション布団のご紹介も。





触ってもらったら、皆さん触り方が
やっぱりちょっと手慣れた感じだったのが
時代を思わせた。
きもちいいと云ってくださったり、
なかなか手を放さない方もいた。

絹の記憶。
きものの記憶。


最後はメンバー紹介で〆。






楽屋裏のほうも。



一枚目、何を驚いてるんだろ。
この写真、すごくおかしい。
でも二枚目からはちゃんとにこやかになってるという。
何事もなかったかのように(笑)




どーんと全身も。


リハーサルもままならぬ本番ぶっつけ、
皆さんにほぼ丸投げ状態だったので、
楽屋裏ではこんなふうに、最後の最後まで
段取りの確認がつづくのであった。

みなさまにはご協力いただき、本当に感謝いっぱいです。




でも写真は撮るのだった。
後ろ姿シリーズ。




かわいい母娘。
ろうけつ染で桜を描いたきものに、
金糸で桜を刺繍したターコイズブルーの帯。
蘭が咲き乱れる訪問着。




山岸さん。





夜桜お七と自分で云ってた、そして歌ってた(笑)
にびた赤の裾ぼかしが夜の花見の宴を思わせる。
ワタシ、この帯だーいすき。京都の「千藤」さんの。
比佐子さんの著書『十二か月のきもの』にも載ってます。



島立さんとえみ子さん、歓談中。
もんぺの上下はこんな感じ。
以前、皇居のご奉仕のときに誂えた
比佐子さんのと同じデザイン。
とても気に入っていただき、下のもんぺだけ
もう一つ作ることになったくらい。




島立さんはピアノも弾くのです。


お次は着替え中。
みんなで助け合うの図。



しっかし、着つけの様子も華やかだね。




お控えなすって。

でもって姐さんだけ猿なんである。
サガだろうか。




ひゃあ、春だー。
観客としていらしてくださった方々と。
うーれしいなっ。




ふたつの家族。
中山さんのご家族と、島立さんのご家族。
いい写真です。


会も終わり、後片付けも終わり、
打ち上げターイム!

うれしいことに、予想以上に人数が多くなったので、
テオブロマはキャパ的に断念。
なので会場に残り、ケーキだけテオブロマで
みなさんで打ち上げた。




ガラガラと給仕する姐さん。

初めての方同士もいらっしゃったので
自己紹介なぞまじえつつ。





ケーキ、おいしかった!
チョコレートが濃厚。




出演者全員で集合写真。
おわったー!


さいごに。

今回は出演料なしのいわゆる奉仕活動だったのだけど、
春のきものや帯をお持ちの方で参加者を募ったところ、
思っていたよりはるかに多くの方が手を上げてくださった。

そのおかげで、華やかでにぎやかで、
ハッピーな会にすることができた。

大感謝。

事前に練習する時間どころか、
当日のリハーサルすらできない状況だったけど、
だからなおさら「楽しみましょー!」を合言葉にした。

なぜなら。
とにかくぶっつけ本番であろうが、何であろうが、
ライブは即興力とやる側の「楽しもう」の精神が
いの一番だと思うから。

そして約一時間、終始笑顔で歩いたり歌ったりしていただき、
出演者にとっても、お客さまにとっても、桃の節句らしく、
かわいい時間をつくり出せたんじゃないかなと思う。

車椅子がひしめき、ご家族の方が付き添い、
ある意味とても特殊で、しかし誰の人生においても
決して切り離せない場所で、今回こうしたイベントができたこと、
それは人生の裏舞台というか、明るいだけじゃない重みのようなものも
感じることができたと思う。

もうひとつ、印象的な場面があった。

会が終わって、施設の方たちがご自分の部屋に
戻られるのを見送っていたときのことだ。

車椅子に乗っていた女性が、にこにことしながら
比佐子さんの黒留の袖に手をのばし、
中から紅絹の長じゅばんを引っ張り出しておっしゃった。

「私、これすき」

一瞬だったけど、あのときの比佐子さんの
表情も何だか忘れられない。


とにもかくにも、会のほうは大好評だったようで、
タイ人にしか見えない責任者の佐藤さんからも
感謝の言葉をたくさんいただき、
コーヒーや紅茶を振舞ってもいただき、
めでたしめでたしな一日だったと思う。