中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

中国に関係する書籍・評論・・・バランス悪くないですか?

2010-02-23 20:25:00 | 中国
書店のベストセラーらしき新刊のタイトルを眺めていると、「中国ゴールドラッシュを狙え!」という夢いっぱいの本もあれば、となりには、「こらぁ!中国いい加減にしろ!」と言うセンセーショナルなタイトルも並びます。書籍の中身は目次だけを見ただけですが、それにしても両極端なメッセージだなあ~と思いました。

それでも、以前の中国関係の書物には、「中国崩壊論」的なシリーズのほうが多く、中国を持ち上げるような論調のものが増えたのは、けっこう最近のことかも知れません。90年代にも、2000年中盤にも、この「中国崩壊論」的な本は出回っていた記憶がありますが、さてさて、中国は崩壊したでしょうか?

以前にも申し上げましたが、私は中国が好きでこの仕事をしているわけでも、日本より中国が素晴らしいと手放しで褒めているわけでも、日本は駄目だと悲観的に感じているわけでもありません。ただ、つい最近の近代史の優劣だけを機軸に、中国が台頭してきたとか、日本が抜かれたとか、あまり感情的にならないように、できる限り事実と史実を知ろうとしているだけです。

小学校の教科書で、卑弥呼が漢から金印をもらったこと、遣隋使や遣唐使が行われたこと、後に日本の仏教に影響を及ぼした空海や最澄。嵐が助けたと言われる元寇、長い鎖国の後には、満州事変や日中戦争、田中角栄が訪中、パンダが上野公園にやってきた・・・そのような知識は誰もが持っていると思います。

日本と中国の歴史は、戦後の趨勢で語るほど、浅いものではないはず。歴史の大部分で隆盛を極めていた中国は清の後半に衰退。代わってアジアの代表でもあるかのように軍国主義に走った日本。日中戦争に勝利するも文化大革命で時計の針を戻した中国。高度成長期でアメリカをも凌駕しかけた日本もバブルが崩壊。改革開放、そしてオリンピックと成長著しい中国・・・素人がわかる範囲の事実を並べても、これだけの流れがあります。

市場が有望だからと単純に進出ブームに浮かれてるほど、中国ビジネスは甘くありません。これは中国の規制云々の問題だけではなく、韓国、欧米、インド、アフリカ、世界各国との競争に勝たなければなりません。かたや、春節で何十万も買い物をし、銀座の物件も視野に日本の不動産を侵食するかのようなチャイナマネーの脅威を嘆く向きもありますが、これは明らかに現在の日本の国力、自力、地力が弱くなった裏返しです。

昨今の世論調査も近視眼的な情報に一喜一憂する悪い例ですが、もう少し、事実を時の流れで把握して、長期・中期の予測を立て、その上で起きている問題点、欠点、改善点などを双方で解決していく。政府も会社も一個人も、そのような懐の深さが、これからの日中関係にも求められていくと思います。