《ビトロス8世の日記2-天空の戦い-》
今日も日課の昼寝にいそしんでいるが、「犬」としては想像しがたい
深い悩みをかかえている。
我々は第二の故郷となった地球を守るためにこの星の守護者とともに
防衛戦に参加している。私は東方の守護隊に属する。総数12の部隊
からなっている。
悠久の昔から続くこの戦いに名などない。我々は天空の戦いと名づけ
た。地球を侵害しようと隙を狙っている存在は実に多く、撃退のため
に休む暇がない。部隊生活は多忙で充実しているのだが、最近、自分
の役割について考えるようになった。
私の家は先祖代々騎士でありそれを誇りとしている。私は剣への関心
はそれほどではないのだが、先祖は自慢である。その剣がこの戦いで
良い出番がまったくない。魔術とは呼ばないらしいが、神々の放つ一
撃で勝負が決まっている。
私は勝負のついた敵をぼこぼこ殴っているに過ぎない。
通信隊や補給隊の仲間が生き生きと活躍しているのを見るにつけ、
こんなことでいいのだろうかと悩みをもちはじめている。
この星で誕生した生命でないことが災いしてか、我々は生まれ変わっ
ても前世の記憶をそっくり覚えている。前世の苦悩を持ち越すことほ
ど哀れなことはない。特に「犬」となった身では。
ああまたため息をついてしまった。家族に更に変なレッテルをつけら
れないよう「犬」らしくしないと。
(初稿2007-02-24 14:41:33)
今日も日課の昼寝にいそしんでいるが、「犬」としては想像しがたい
深い悩みをかかえている。
我々は第二の故郷となった地球を守るためにこの星の守護者とともに
防衛戦に参加している。私は東方の守護隊に属する。総数12の部隊
からなっている。
悠久の昔から続くこの戦いに名などない。我々は天空の戦いと名づけ
た。地球を侵害しようと隙を狙っている存在は実に多く、撃退のため
に休む暇がない。部隊生活は多忙で充実しているのだが、最近、自分
の役割について考えるようになった。
私の家は先祖代々騎士でありそれを誇りとしている。私は剣への関心
はそれほどではないのだが、先祖は自慢である。その剣がこの戦いで
良い出番がまったくない。魔術とは呼ばないらしいが、神々の放つ一
撃で勝負が決まっている。
私は勝負のついた敵をぼこぼこ殴っているに過ぎない。
通信隊や補給隊の仲間が生き生きと活躍しているのを見るにつけ、
こんなことでいいのだろうかと悩みをもちはじめている。
この星で誕生した生命でないことが災いしてか、我々は生まれ変わっ
ても前世の記憶をそっくり覚えている。前世の苦悩を持ち越すことほ
ど哀れなことはない。特に「犬」となった身では。
ああまたため息をついてしまった。家族に更に変なレッテルをつけら
れないよう「犬」らしくしないと。
(初稿2007-02-24 14:41:33)