金沢発 あれやこれや

-ヒントをくれる存在に感謝しつつ物語をすすめます-

混乱の増すグリーン調達事情9

2011-08-12 13:15:00 | グリーン調達
<成分表はコレクターアイテム?>
 
自社調達基準の遵守状況とエビデンスである分析データ、それに
加えて製品成分表まで手配し入手していればほぼ完璧というのが
今のグリーン調達だと思います。主目的は自社調達基準の遵守確
認です。なぜ製品成分表まで要るのでしょう。

調達部門が用意する上記確認ツールは、提出する納入側担当者が
調達基準遵守状況を確認して記載し、ミスなく書けたかも添付
チェックシートで自己確認する様式になっており、調達部門は
多くの場合確認は体裁だけで、受取り後になぞって正しい判断が
され記入してるかは手配依頼した設計者にまかせることが多い。
このような調達部門が多勢ではないかとみてます。よって製品
成分表入手後それが何かのしくみに使われると考えにくい。

私は、製品成分表=製品仕様 と勝手に想定し、実際には管理す
ることはない管理アイテム化してるのだろうと思います。中を
見るといろいろいっぱい書かれており、初心者にはSomething
Specialなものに映るのかもしれません。

製造現場を知っていればわかりますが、部品を作る過程でいちい
ちこの部分の重量比は想定どおりなっているかなどチェックして
はいません。重量比は工程途中のチェック項目にはまずありませ
んし完成後にも確認されません。完成品をある角度からみた数字
であって部品・部材の仕様ではないです。

昔は成分表はまず要求されませんでした。
RoHS指令、ELV指令の出現あたりから増えだしました。
なぜかというと車一台当たりの鉛使用許容量などというしきい値
が登場してきたからです。その後、最近ではREACH指令がで
てきて、今は調査対象ではないが将来、使用量を統計的に提出す
ることがあるかもしれないとの不安が業界を覆い一挙に増加しま
した。

その8で「パーツ」の成分が最後は設計者の経験頼りの想像とは
あまりに適当すぎるしくみだとぶつくさ言いましたが、想像を超
える数の部資材の成分情報を各社は果たして管理しきれるでしょ
うか。私は力量も先を読む力も乏しく、なにより自社でシステム
設計できず外注に頼るならまず失敗すると見てます。

<商習慣、常識以上の事を求められても困ります>

成分表では100%の成分を記入するよう求められます。子供の
やりとりみたいですが、どうもそれが部品、部材の隅々まで調べ
た証拠とみなしてるようです。

各マテリアルのサブスタンスと含有率はかなりノウハウに近いた
め、成分表の提出は大得意先との間だけだったのが、各社勝手に
調達基準改定しMUST扱いにして大得意先も一見の取引先もま
ったく差をつけず成分表の提出を命じ始めたため今でも混乱は
続いてます。特に接着剤系はメーカーが何も成分情報を出さず、
代理店が不使用保証書でかんべんしてもらえないか頼んでくるケ
ースが多く調整にかなり時間をとられます。

成分表の全公開が無理な事は業界に身を置いていれば普通にわか
るだろうと思うのですが、調達部門だけでしくみ作りすると王様
が作ったような内容に陥りやすいのかもしれません。
ノウハウ公開が会社の存続に関わる場合は真実と違う記述をされ
ても文句いえないでしょう。強要すると独占禁止法に抵触してし
まいます。

地味に困るのがCASNOを必ず書けというもの。CASNOは
化学物質に必ずついてる番号ではないので無いものは書けません
。そういうと、CASNOが空欄だとシステムがエラーを出す設
計になってるのでなんでもいいから近い番号何か入れて出してく
れと頼まれました。もう何が正しいのかどこかに飛んでしまいめ
ちゃくちゃです。

JAMPの運用するAIS/MSDSplusは化学物質名に
長いものが多いので、最初のデザインでCASNOを元に法規
物質との結びつけをしようとした模様です。その結果、CAS
NOを持たない物質が物質リストから抜けてしまってて、
例えば、RoHS指令の禁止物質が物質リストから欠けてました
それを私が伝えたのがきっかけだったのか、他に先に見つけた
人がいたのか数ヶ月してCASNOの無い物質も物質リストに
追加され結びつけ可能となりました。
つまり、AISはそれまでの間、Ver30Gb_Jまでは
調査ツールとしては赤点レベルではなく失格だったのです。※

CASNOの無い物質はJAMPで特別に番号を設け選定できる
ようにしたのですが、温泉掘り当てようとしてはずれてしまい
そこから無理やり横穴ほってつじつまを合わせようとした感じ
でシステムそのものに歪みを残したことはいなめません。
あまりこのことは運営側は説明されてないですね。
CASNOは最大10桁だが、JAMPの代替番号は11桁ある
のでCASNOに合わせてデータ仕様決めたデータベースでは
桁数オーバーで取り込み不可能になる恐れがある。

※先日、JAMP-SN****の補完経緯調べたらPBDE類のCAS
 無し分代替番号補完は3.1ではなく3.1aからだった。
 そして3.1cでまだCASNO持たない6価クロム用
 修正をしてようやくRoHS調査ツールとして合格点まで
 届いたようです。これは物質リストにCASNOつけて
 1対1検索を目指した報い。どうみても構想失敗だ。
 JAMPはJGPSSIの責任と逃れるかもしれないが
 CASNOついてない物質あることや、グループを指す
 CASNOがあることは含有調査を数ヶ月経験した者なら
 わかること。それらは法規制を考慮してつけられたもの
 ではない。ぞんざいな無計画のつけと言わざるを得ない。
 
コメント
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