渋沢栄一 今日発行の新一万円札の肖像となるが 2024.7.3

2024-07-03 | 文化 思索 社会

中日春秋
 2024年7月3日
 第一国立銀行(現みずほ銀)などあまたの企業の設立・運営に携わり、日本の資本主義の父といわれた渋沢栄一は1931年、永眠した。91歳。長寿だった▼もうけのみに走ることを戒め、私益追求の商いと、公益を慮(おもんぱか)る道徳の両立を唱えた人。日本赤十字社を前身時代から支え、関東大震災では救援活動に奔走するなど福祉に尽力した▼晩年は共産主義的な運動も盛んな時代。短歌雑誌「アララギ」に渋沢栄一翁を悼むと添えた一首が載ったという。<資本主義を罪悪視する我なれど 君が一代(ひとよ)は尊くおもほゆ>。四男・英雄氏の著書から引いた。▼長寿の翁も現代の少子高齢化は想像しなかっただろう。今日発行の新一万円札の肖像となるが、企業がもうけるのも、その益で福祉を支えるのも簡単ではない時代である。▼1億2千万人超の人口は2056年に1億人を下回ると予想される。成長を阻害する人手不足。外国人の力を借り、人工知能(AI)などで省力化も進めるらしいが、うまくいくか。高齢化で福祉に頼る人は増える。企業や個人の益をもっと福祉に回さないと持たない気がする。▼翁は「金はそれ自身に善悪を判別する力はない、善人ががこれを持てば善くなるし、悪人がこれを持てば悪くなる」と語ったという。金自体に善いも悪いもなく、それは扱う人次第 ーー 。私たちのもうけ方、使い方を新札の肖像の人は見ている。 2024.7.3. Wed.

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し


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