日米中新時代 どうしのぐ~尖閣問題で見えてきた「力で対応」の現実 「核国家 中国」

2012-11-20 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

【東亜春秋】中国総局長・山本勲 日米中新時代どうしのぐ
産経ニュース2012.11.20 03:17
 オバマ米大統領再選から中国の習近平体制発足を経て、日本も来月に政権交代が起きそうだ。世界はほぼ10年おきに大きな転機を経てきたが、今はその最中かもしれない。覇権志向をあらわにした習近平新総書記のもとで中国はアジア太平洋地域での領土・領海拡張の動きをさらに強める構えの一方、米国に対し日米の分断作戦を活発化し始めた。日本も日米同盟の再強化に加え、自前の軍事抑止力増強を急ぐ必要がある。
 「近代以降、中華民族は最も危険な時を迎えたが、中国共産党の創立後は団結して民族の偉大な復興を成し遂げた。引き続き中華民族の偉大な復興のため奮闘努力しよう」。新任の習近平総書記兼中央軍事委主席は15日、党政治局常務委員のお披露目会見で、こう「中華民族の偉大な復興」を連呼した。
 この言葉は反日民族主義を鼓吹した江沢民政権の常套(じょうとう)句だった。習氏は胡錦濤政権の「平和的発展」論には一顧だにせず、前世紀末の反日スローガンを繰り返したのである。
 さらに習氏は16日の党中央軍事委会議で「軍事闘争の準備を最重視する方針を堅持、国家主権と安全、発展の利益を断固守る」と強調した。
 中国が米国に次ぐ経済・軍事大国になった今もなお、「民族復興と軍事闘争の準備に奮闘する」と宣言しているのだから、穏やかではない。日本は9月の中国各地での反日暴動で甚大な物的、心的損害を受けたが、中国側に反省の気配は皆無だ。
 暴動の背後にも習氏の影がちらつく。その渦中、同氏は米国防長官に尖閣国有化を「茶番劇」などと口を極めて非難。中国外務省が「日本は清国から釣魚島(尖閣諸島)を盗んだ!」と常軌を逸した非難を始めたのも、その直後からだった。
 一方、習氏は米国には硬軟両様だ。初訪米(1985年)の印象も良かったようで、2月の訪米時にもかつて訪れたアイオワ州の農家を再訪して旧交を温めたり、「娘をハーバード大学に留学させている親米派」(北京の対米関係筋)だ。
 だがオバマ大統領らとの会談では「台湾やチベットなど中国の核心的利益を尊重し慎重に対処すべきだ」と要求、強固な民族主義者ぶりを示した。さらに米紙の書面会見で「広大な太平洋は中米両大国を受け入れるに十分な空間を有する」と述べたのはかなり刺激的だった。5年前、中国海軍高官が米太平洋軍司令官に「ハワイを基点に米中が太平洋の東西を分割管理する」構想を提起し米国内に波紋を広げた経緯もあるからだ。
 中国の軍拡はその後さらに加速し、米空母の近海接近を阻む衛星誘導の弾道ミサイル「東風21号(射程2千キロ)」の配備や、原子力潜水艦に搭載する多弾頭核ミサイル「巨浪2号(射程8千キロ)」の開発などを急ピッチで進めている。米国が太平洋を支配した「パックス・アメリカーナ」を脅かしつつある。
 こうして中国は核軍拡で米国との「恐怖の均衡」を形成する一方、「極東の小島のために中米衝突の犠牲を払う愚」を米世論に宣伝して、日中有事に米軍が介入する際の“敷居”を上げる作戦に出ている。
 さらに「核国家の中国は日本に強大な軍事威嚇力を有する」(9月12日付「環球時報」紙社説)と核恫喝(どうかつ)も辞さない構えだ。ここまで言い切るのであれば、中国の暴挙を抑止するために、核武装の検討を含む軍備拡充論議は避けられないのではないだろうか。
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尖閣問題で見えてきた「力で対応」の現実 予測される最悪の事態は
産経ニュース2012.11.20 11:03
 尖閣問題を通じて見えてきたことの本質は、海洋での関係国のせめぎ合いはまさにフロンティアでもあるということだ。フロンティアとは、法と秩序への期待と言うより、力での対応が通っている現実を直視しなければならないのであろう。かつて英国が大西洋を越えて空母を含む大軍を投入、フォークランド諸島を確保した紛争があった。(フジサンケイビジネスアイ)
 中国が国家意志として尖閣諸島奪取のために武力紛争を仕掛ける可能性は低いと見なされてきた。しかし中国海軍の行動が表立ってくる中、尖閣諸島問題で危機管理上からも最悪の事態を想定しておく必要性が感じられるようになってきた。
 その観点から尖閣領有をめぐる日中両国の武力紛争について整理しておきたい。理論的には4つのケースが考えられよう。
 第1に、不安定な政権移行期に深刻化する国内問題から目をそらし、求心力の強化のために国外で紛争を起こす場合である。復活したトウ小平が1979年、権威確立のために中越戦争を発動した例があった。
 第2は、尖閣周辺の海底エネルギー資源の独占を目指す武力発揮。74年にパラセル(西沙)諸島をベトナムから海軍力で奪った事例があった。
 第3は、日米安保体制の実効性を試す威力偵察としての武力発動のケースだ。これまで尖閣諸島有事には日米安保条約第5条の適用が言われてきた。9月にパネッタ米国防長官は、尖閣事件の沈静化のために日中両国を訪問、日米安保条約の適用範囲内にあることを確認し中国を牽制した。しかし日米間には普天間移転問題やオスプレイ機の配備など同盟関係を揺るがす亀裂があり、中国は同盟の実効性を試す誘惑に駆られよう。
 第4は、尖閣諸島領有については歴史的に台湾の主張が先行しており、中国と台湾の共闘の可能性が浮上している。「中台統一」の契機とすべく中国の強硬姿勢は激化しよう。
 これら4つのケースは理論上の選択肢を挙げたもので、中国が合理的な政治判断をする限り、強権発動をする公算は低いと見るべきであろう。
 それでも警戒すべきは、中国では中央の判断に逆らって一部の地方や軍部が冒険主義的な行動をとり、挑発する危険性があることだ。78年の日中平和友好条約の締結を目前に約100隻の漁船団が尖閣諸島に組織的行動として領海侵犯をした事例が想起される。国家の危機管理体制の確立が重要であるゆえんである。(拓殖大学名誉教授・茅原郁生)
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【熱狂の爪痕】(4)領土めぐる弱腰 尖閣危機「国境が形骸化」
産経ニュース2012.11.20 08:16
 沖縄県・尖閣諸島から南へ約170キロ。石垣市の漁港に今月15日早朝、1隻の漁船が1週間ぶりに帰港した。船体には日の丸が描かれていた。氷漬けされた約50本のマグロがクレーンで水揚げされていく。しかしマグロは尖閣周辺海域で取ったものではなかった。
 「尖閣はいい漁場だ。でも行く人はいないね。怖くてもう近づけないよ」
 船長の譜久村良一(ふくむらよしかず)さん(49)は顔をゆがめた。
 黒潮が流れる尖閣周辺は格好の漁場で、高級魚のハマダイやカジキがよく取れた。ところが、昭和40年代に海底での石油埋蔵の可能性が指摘されると、46年に中国と台湾が領有権を主張し始めた。
 中国の海洋監視船や漁業監視船が接続水域に出入りするようになり、台湾漁船は領海の中まで入ってきた。漁船同士のトラブルも起きた。海上保安庁からは「(尖閣諸島には)上陸してはいけない」と言われている。その「威圧」は40年以上続いている。
 親子2代にわたり尖閣周辺で漁をしてきた元漁師、金城正松(せいしょう)さん(74)は「国は尖閣を守ってくれなかった。国境が形骸化している」と嘆く。日本政府が9月、尖閣諸島を国有化すると、中国公船が尖閣周辺の接続水域や領海内を航行する状態はさらに日常化した。
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チベット族がまた焼身自殺 中国当局に抗議 スローガン叫び体に火 2012-11-20 | 国際/中国/アジア 
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【中国の本性】①中国が無法主張で尖閣狙う目的とは/②習近平氏が反日デモを指揮?「習VS胡」激化 2012-10-24 | 国際/中国/アジア 
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「日本よ、習近平体制(覇権国)への備え、急げ」/中国は「力が全て」/どの国も民主主義になるわけではない 2012-11-16 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
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