長崎市長射殺事件、被告の無期懲役が確定へ
日本経済新聞 2012/1/19付
長崎市の伊藤一長前市長(当時61)が2007年、市長選期間中に射殺された事件で殺人や公職選挙法違反(自由妨害)などの罪に問われた元暴力団幹部、城尾哲弥被告(64)の上告審で、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は18日までに、検察側、被告側双方の上告を棄却する決定をした。一審の死刑判決を破棄し無期懲役とした二審・福岡高裁判決が確定する。
決定は16日付。被害者が1人の殺人事件で、死刑を適用するかどうかが主な争点だった。
同小法廷は決定理由で「被告は市に不当な要求を繰り返し、前市長が屈せず取り合わなかったため逆恨みした。殺害で当選を阻止して恨みを晴らし、世の中に力を誇示しようと考えた犯行は行政対象暴力の極み。動機は極めて反社会的で酌量の余地はない」と指摘。公職の候補者が被害に遭っており「選挙妨害の結果も軽視できず、社会に与えた影響も甚大」と厳しく批判した。
一方で、被害者が1人にとどまることや、経済的利益や政治的な主義主張から犯行に及んだわけではないことを理由に死刑を回避した二審の結論を「こうした判断は首肯し得ないではない」と支持。無期懲役が不当な量刑とはいえないと判断し、検察側、被告側双方の上告を「上告できる理由に当たらない」と結論付けた。5人の裁判官全員一致の判断。
08年5月の一審・長崎地裁判決は「民主主義を根幹から揺るがす卑劣な犯行」として死刑を選択。これに対し09年9月の二審判決は「選挙妨害そのものが目的ではなく、被害者が1人にとどまる」などとして無期懲役とした。
一、二審判決によると、城尾被告は07年4月17日夜、JR長崎駅前の伊藤前市長の選挙事務所前の歩道で、前市長の背中に向けて至近距離から2発銃撃し殺害した。
岩橋義明最高検公判部長の話 社会に大きな影響を与えた事件であり、主張が認められなかったことは遺憾。
◎上記事は[日本経済新聞]からの転載・引用です
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◇ 長崎市長銃撃 2審は無期懲役 2009/9/29 元暴力団幹部、城尾哲弥被告
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