【無期懲役 獄死への不安】 死刑を免れた男たち~無期懲役囚の実態~ 岡山刑務所

2015-02-14 | 死刑/重刑/生命犯

報道特集(JNN / TBSテレビ) 無期懲役 厳罰化で仮釈放 激減
2月14日の報道特集…【無期懲役 獄死への不安】 岡山刑務所
 凶悪事件を起こし、死刑こそ免れたものの無期懲役囚となった男たち。30年以上服役しなければ仮釈放を認められない現状がある。獄死への不安が広がる彼らの実態に迫る。

 刑事事件の懲罰化により、無期懲役囚の仮釈放が少なくなっている。受刑者の高齢化が進み、塀の中で死亡する獄死ケースが増えている事が明らかになった。人間の命を奪ったとされる「生命犯」の中には、社会を震撼させた者もいる中、極刑を免れたのも事実である。番組で無期懲役囚が収容される施設、岡山刑務所に向かった。現在、受刑者560人のうち無期懲役囚が250人と明かされた。ここで2004刑法改正により、有期刑の最高が30年に引き上げられた事で、自動的に無期刑も30年以上経たないと仮釈放にならない。

 高齢化が進む中、5.5平方メートルの独居房に二段ベッドで高齢者と比較的若い受刑囚が生活している。
 ある受刑者は27年間を共に生活していて、76歳受刑囚は54歳受刑囚について自分の次男坊と一緒なんですよ、親子ですよと語っていた。また無期懲役と言われた時点で人生が終わったも一緒、昔みたいに15年位で出られるんだったら、やり直しもきくけど。ここで独居房の2段ベッド収容は去年末で廃止した。
 いま無期懲役囚の間で生きて社会に戻れるのか波紋を呼んでいる。施設内には霊安室も設置されているが、和田剛処遇首席官は法律が変わらないと、これからも引き取りてがなく獄死するケースは増えるだろうと語る。

 現在の法律について岡山刑務所の赤羽和久所長は、毎日の作業も取り組んでいるし反則もしない、真面目な生活を送っている、やった事は許されるものでないと今の生活を見ていると出してあげたい気持ちも生まれると語る。
 岡山刑務所ではテレビは午後7時から2時間。ラジオは午後9時までとなっている。死刑執行のニュースもリアルタイムに入ってくるため、これは無期懲役囚にも緊張が走る瞬間である。67歳無期懲役囚は服役23年の強盗殺人を犯しているが、担当の弁護士からも無期懲役か死刑のどちらかだと言われ覚悟は決めていたと語っていた。 また岡山刑務所は、冬場でもエアコン設備もなく軍手などをはめながらの生活。

 岡山刑務所の元旦の様子。長期間、隔絶されているため受刑者への年賀状は少ないが、受刑囚らの笑みが伝えられた。また年末年始は「免業日」と呼ばれ刑務作業もない時間を過ごす事になる。簡単だがおせち料理も配られる。
 杉谷郷庶務課長は、季節感は刑務所では大事なので四季を通して更生の意欲になればと思っていると語る。
 また作業報奨金を貯めたお金で花を買う事も出来るので受刑囚も気分が変わる、落ち着く、と。

 2012年、TBSの番組「報道の魂」で、増加する獄死について岡山刑務所を取材している。
 当時、90歳の無期懲役囚は50代の無期懲役囚と生活し介護を受けていた。彼は74歳時に殺人をした事で仮釈放になる30年まで残り14年だったが93歳時、老衰のため死亡したと明かされた。いま無期懲役囚の間で生きて社会に戻れるのか波紋を呼んでいる。施設内には霊安室も設置されているが、和田剛処遇首席官は法律が変わらないと、これからも引き取りてがなく獄死するケースは増えるだろうと語る。

 岡山刑務所に高い塀の一部を繰り抜かれたドアが紹介。ここは普段、使われる事はなく獄死した受刑者だけが一般社会に帰るドアと説明。杉谷郷庶務課長は、敬礼やお辞儀をして冥福を祈りますと語っていた。
 
  ◎「報道特集(JNN / TBSテレビ) 」より、内容を書き留めました(=来栖)
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〈来栖の独白 2015/2/14 Sat. 〉
 番組の最後でキャスター氏が「無期懲役というのは、緩やかな死刑という気がしました」と述べていた。
 が、これは、違う。キャスター氏は、無期囚の(遂に釈放されず)獄死もある実態を「緩やかな死刑」とおっしゃったのだろうが、日々、死刑執行の恐れに晒されて時を刻まされる死刑囚と死刑執行の恐れが皆無の無期囚とは、格段の違いがある。


死刑を免れた男たち~無期懲役囚の実態~
 TBS 報道の魂 12年2月19日 
 全国の矯正施設には、およそ1800人の無期懲役囚が服役している。その殆どが生命犯、つまり殺人事件を起こし、世間を恐怖に陥れた事件の主犯で、1審判決死刑、2審で無期懲役という例も少なくない。彼らは極刑、つまり死刑を免れた受刑者だ。
 無期懲役囚でも、早ければ12~3年で仮釈放が認められ、出所していた時代があった。しかし、被害者の遺族への配慮などから、平成16年に刑法が改正され、有期刑の最高が20年から30年に引き上げられた。そして、無期懲役囚が30年の有期刑の受刑者より先に仮釈放されることは困難になった。

     

 岡山刑務所に収容されている660人のうち、260人が無期懲役囚だ。
 中には90歳の高齢者もいる。

     

 74歳で収容され、仮釈放の対象になるまでにあと14年、その時には104歳となる。洗濯工場で単純作業をしているが、夜は30歳も年下の無期懲役囚と独房で生活する。同居者は“老老介護”を皮肉り“無期無期介護”と苦笑する。刑務所が“介護施設化”し、介護が刑務作業の一つとなってしまった。
 塀の中の平均年齢が上昇の一途を辿り、“獄死”するケースが増える一方、岡山刑務所で支払われる刑務作業の報奨金は一般の刑務所の2倍以上、日本一賃金が高い刑務所となった。備前焼などで、達人の域に達する受刑者が出る。受刑者の布団は、熟練した技術で打ち直されるため、刑務所のイメージからは程遠い“ふかふか”。 長期刑ゆえの“珍現象”も起きる。
 介護や獄死の現実を目の当たりにし、“とにかく生きて社会に戻りたい”との“生”への執着が芽生えた無期懲役囚達。“救いようのない後悔の念”と“生き続けたいという執念”。ふたつの狭間で揺れ続ける“極刑を免れた男達”の現実を取材した。
 制作:TBSテレビ
 取材・構成:巡田忠彦(TBS報道局)

 ◎上記事の著作権は[TBS「報道の魂」]に帰属します
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◇ 受刑者の高齢化進む岡山刑務所 60歳以上3割、介護負担増 (2016/1/18 山陽新聞)
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無期懲役受刑者の増加と服役長期化は、被害者重視による厳罰化と仮釈放の減少などが要因 2008-07-06  
仮釈放が認められにくくなり、事実上の終身刑化が進んでいる 2008-06-02 
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