【維新分党】石原系そろい踏み 終わらぬ橋下氏との多数派工作 みんなは「草刈り場」危機
産経ニュース 2014.6.5 00:33
日本維新の会の石原慎太郎共同代表側が4日夜開いた記者会見には、石原氏を含め新党に参加する22人が勢ぞろいし、結束を誇示するなど「結党前夜」の様相を呈した。だが、維新分党に伴う橋下徹共同代表(大阪市長)側との多数派工作が幕引きとなったわけではない。野党再編志向の橋下氏も自民党寄りの姿勢を示す石原氏も、勢力拡大に余念がなく、みんなの党に触手を伸ばしているのだ。
「非常に痛快な思いだ。討ち入りの前夜に会合した忠臣蔵の赤穂浪士の思いのような気がする。至難の道を覚悟した」
石原氏は高揚感たっぷりにそう語った。橋下氏については「今さら批判をしたくないが…」と前置きしたうえで「『ふわっとした民意』はセンチメントの域を出ない。ポピュリズムにならざるを得ない」とこき下ろした。 この日、石原氏側に加わることを表明したのは中田宏国対委員長代理と上野宏史、宮沢隆仁、坂元大輔、三木圭恵の各衆院議員。一気に5人増え、20人を突破した。室井邦彦参院議員は橋下氏につくと表明、西岡新衆院議員は無所属で活動する意向を示した。
分党が決まると、石原氏に近いベテランは中間派にこうささやいて回った。
「次の衆院選では必ず自民党の協力が得られるから安心してほしい」
この作戦は奏功したようだ。橋下系の幹部ら約30人は4日夜、都内のホテルに集まり、引き抜きにあわないよう引き締めを図ったが、ある橋下系議員は「ベテランの味でからめとられるように石原系になびいていった」と苦虫をかみつぶした。
石原氏は今後、自民党に接近し、安倍政権内での公明党の影響力をそぐことに狙いを定める。
2日のBSフジ番組では「公明党は(政権にとって)足手まといになってきた。あんないいかげんな政党はない。自民党が大事なことを決めるときに、私たちを無視できないような存在になりたい」と改めて主張した。
ただ、このままでは「無視される」可能性は否定できない。参院の過半数は議長を除くと121議席。自民党は114議席で公明党の20議席を頼りにしている。これに対し、石原系の参院議員は2人で、自民党と連携しても過半数に至らない。そこで、石原氏側は参院に13議席を持つみんなの党との連携に意欲をみせる。
橋下氏側も、黙っていない。橋下氏は3日、みんなの浅尾慶一郎代表と電話で会談、政策協議を積極的に進めることで合意した。
みんなの党の事情は複雑だ。橋下氏側が合流を目指す結いの党が、みんなから離れて誕生した経緯をみんなの議員は忘れていない。党内には「結いの江田憲司代表とは組みたくない」との声が大勢を占める。
逆に「石原氏と一緒になるなら思想的についていけない」という意見もある。党執行部は「是々非々路線の独立独歩」(幹部)と独自路線を掲げ、「草刈り場」になることを警戒している。(内藤慎二)
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石原新党:結成を正式表明 参加者22人に
毎日新聞 2014年06月04日 21時35分(最終更新 06月04日 23時19分)
分党する日本維新の会の石原慎太郎共同代表は4日、東京都内で記者会見し「日本の政治に一石を投じ、新しい保守を実行していきたい」と述べ、新党結成を正式に表明。参加者が22人となったことを明らかにした。一方、橋下徹共同代表側の新党には38人の参加が固まった。
石原新党の参加者は衆院が20人、参院が2人となり、党首討論の参加や、衆院での法案提出権(20人以上)を得る。会見には22人全員が出席した。石原氏は「これだけ多くの人がそろって心強い」と強調。新党の政策について「自主憲法の制定が党是だ」と説明した。安倍政権との距離については「徹底した是々非々につきる」と述べた。
5日に山田宏衆院議員を座長に新党準備会を設立し、党名や綱領などを検討する。「自立、新保守、次世代」を理念の柱とし、7月下旬をめどに新党を結成する。
一時は独自の新党も模索した中田宏国対委員長代理は4日、石原新党への参加を表明。西岡新衆院議員は無所属となる意向を表明した。国会議員のうち、態度を明らかにしていないのはアントニオ猪木参院議員のみとなった。
一方、橋下氏側に参加する松井一郎幹事長(大阪府知事)は4日、大阪府庁で記者団に「政策を実現するには手段として少しでも大きなグループを作っていかないといけない」と述べ、幅広く野党再編を進める考えを示した。【葛西大博、林由紀子】
石原氏が発表した新党参加者は次の通り(敬称略)
・衆院=石原慎太郎、平沼赳夫、園田博之、中山成彬、藤井孝男、中田宏、山田宏、今村洋史、上野宏史、坂元大輔、桜内文城、杉田水脈、田沼隆志、中丸啓、西田譲、西野弘一、松田学、三木圭恵、三宅博、宮沢隆仁
・参院=中山恭子、中野正志
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