【どうなる日米関係】米国は尖閣を本当に守ってくれるのか 失墜した日米関係の修復を★(5)
zakzak2013.01.27
鳩山由紀夫元首相の「沖縄県・尖閣諸島は係争地だ」との暴言に対し、小野寺五典防衛相は「理解できない。『国賊』という言葉が頭をよぎった」と切り捨てた。公明党の山口那津男代表は「尖閣棚上げ論」を示唆したが、自民党の石破茂幹事長は「日本政府は一度も棚上げを是認したことはない」と反論した。
日本維新の会の橋下徹代表代行(大阪市長)による「尖閣共同管理論」に対し、台湾の李登輝元総統は「極めて危険な発想だ。日本が譲歩すれば中国は堂々と尖閣に上陸する」と警告した。
日本にとって領土防衛は死活的国益にあたる。自国の領土に対する侵害を排除する行為は自衛権の行使にあたり、国連憲章第51条で国際法上認められている権利である。従って、日本が領土を守るために、自衛隊を増強することは理にかなった行為である。そして、何よりも日米安保条約の発動こそが強力な抑止力となる。
「係争地」「棚上げ」「共同管理」といった発言は、尖閣諸島が「日本の施政下にない」ことを日本が認めたことになり、安保条約は適応されない。米国は一貫して「尖閣諸島は日本の施政下」にあることを条件として、「日米安保条約第5条の適用」を行うと明言しているからだ。
一方、米国は「領土権の主張の争いには関与しない」とも述べている。米国にとって中国は第1位の米国債保有国であるし、極めて重要な輸出市場である。経済的大損失まで覚悟して、米国は本当に尖閣諸島を守ってくれるのか-。
「同盟のジレンマ」に直面する米国は、日中間の直接紛争に「巻き込まれる」ことを回避しようとするだろう。
そうであるなら、安倍晋三政権は米国を「巻き込む」戦略を立てねばならない。その手段として自衛隊は普段からの米軍との合同演習に加え、シームレス(=継ぎ目のない)な共同戦略の策定、さらには中国を対象とした日米新ガイドラインの策定が必要となろう。
また、尖閣諸島をめぐる中国との確執は長期間にわたり継続することが予測される。そこでは紛争に至らないグレー・ゾーンでのパワーの拡充が特に重要である。海上保安庁の拡充に加え、海保と米国の沿岸警備隊との共同作戦が考えられる。
そして、何よりも民主党政権下で大きく失墜した日米関係の修復が急務である。リチャード・アーミテージ元国務副長官は「日米同盟は存続の危機にひんしている」とまで言い切っている(第3次アーミテージ報告)。
昨年は、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問(7月)、韓国の李明博大統領の竹島上陸(8月)、中国の尖閣諸島での強硬姿勢が続いた。明らかに、日米同盟が希薄化した結果、起こったことである。
日米同盟強化をうたう安倍政権の手腕が今、問われている。 =おわり
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