【亡国の領土政策】“配慮”が招いた危機 中韓露の対日包囲網
産経ニュース2012.8.19 13:48
今思えば、あの合意こそが「攻め込まれる日本」という危機の出発点だったのかもしれない。
「国家主権や領土保全に関わる核心的利益の問題で支持し合うことは戦略的関係の重要な部分だ」
2010年9月末、中国を訪問したロシアのメドベージェフ大統領(当時)が胡錦濤国家主席との間で合意した共同声明の一節だ。中国による尖閣諸島、ロシアによる北方領土の領有権主張を相互に支持するという意味にほかならない。
中露合意の4日前、前原誠司外相(当時)は米ニューヨークにいた。そして、クリントン米国務長官との会談では、直前に尖閣諸島周辺で発生した中国漁船衝突事件が話題になった。
衝突事件で現実味を帯びてきたのが“尖閣有事”だ。クリントン氏は「(尖閣有事は)明らかに日米安全保障条約が適用される」と語った。だが、当時の菅直人政権は、米側の重要なサインを見逃していた。日米安保の適用はあくまで、日本が尖閣に施政権を確保していてこそ可能なのだ。
対日「領土」政策で連携する中露に対し、日本は北東アジア戦略に関する同盟国・米国の意図にあまりにも鈍感だった。それから約2年。日本は中露に加え韓国からも、「固有の領土」を侵され始めている。
■「支配」着々と布石
7月3日、ロシアは直接的な行動に打って出た。メドベージェフ首相が大統領時代に続いて北方領土・国後島に上陸した。これに対し、玄葉光一郎外相は「日露関係の前向きな雰囲気づくりに水を差すものだ」と通りいっぺんの抗議をしただけだった。
「日本の首相が毎年替わる状況では、誰も真剣に領土交渉をしようとは思わない」。ロシアの日本専門家の1人はこう断じる。
日本が手をこまねている間にロシアは北方領土支配で着々と布石を打っている。北方領土開発にあたって、対日包囲網で連携する中韓の資本を引き込もうとしているのはその一例だ。
韓国も早くから、竹島問題で戦略的に動いてきた。2005年、右翼活動家など日本人の竹島上陸に備え「独島(竹島の韓国名)危機対応指針」を策定した。接近する日本側船舶を確認次第、海洋警察警備艦が緊急出動し、上陸時には警備隊が身柄を拘束する。大型船や自衛艦が接近してきた場合には韓国軍による対応に切り替えるというものだ。軍と警察は90年代初頭から「東方計画」という秘密作戦を定め、共同対処訓練も実施している。
日本の外交筋は、韓国側の今後の出方をこう予想する。
「韓国側は『独島領有』の主張を世界中で一層強力に展開してくる。慰安婦問題など竹島以外のテーマでも激しい外交宣伝戦に出る」
これこそ対韓外交で“配慮”を重ねてきたツケだ。
同じく“配慮”を続けてきた対中外交でも結果は同じだ。1992年、江沢民政権は尖閣諸島、西沙諸島、南沙諸島を中国領であると規定した「領海法」を施行した。本来ならこの時に尖閣諸島を国有化しておくべきだったが、政府は抗議のみにとどめた。野田佳彦首相は7月、東京都の購入計画を受け、ようやく尖閣国有化方針を打ち出したが、香港の活動家に不法上陸される事態を招いた。
■「強さ」求める米国
平成21(2009)年の政権交代から3年。民主党政権の「外交漂流」によって日米同盟は大きくぐらつき、中国、韓国、ロシアに付け入る隙を与えた。
「『最低でも県外』みたいなことを言って、日米同盟を揺るがせたからロシアや韓国の大統領が(北方領土や竹島に)来る。今回のような(香港活動家の強制送還という)対応になる」
自民党の石破茂前政調会長は17日のテレビ朝日番組で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の県外移設を模索した鳩山由紀夫政権以来の外交・安保政策を強く批判した。
それでも民主党政権内の外交・安保政策における認識のずれ、一貫しない姿勢は何も変わらない。
前原政調会長は18日の読売テレビ番組で、政府が今回の尖閣諸島上陸事件を撮影したビデオの公開を拒んでいることに関し「国民に事実を知らせるため公開すべきだ」と述べ、首相の「弱腰」を当てこすった。
アーミテージ元米国務副長官ら超党派グループは15日、日本に「地域の緊急事態への対応」を求めた日米同盟に関する新たな報告書でこう指摘した。
「日本が強い米国を必要としているのと同じように、米国は強い日本を必要としている」
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「第3次アーミテージ報告」 日米同盟、新たな役割と任務拡大求める
産経ニュース2012.8.16 00:10
【ワシントン=佐々木類】アーミテージ元米国務副長官ら超党派の外交・安全保障専門家グループは15日、日米同盟に関する新たな報告書を発表した。中国の台頭などをふまえ、日本は一流国家であり続けたいのか、二流国家で満足するのか、「重大な転機」にあると評した。また、自衛隊による将来の集団的自衛権行使容認を念頭に、米軍との共同対処を含めた日本の新たな役割の検討と任務の見直しを求めている。
今回の報告は、2000年と07年に続く第3弾。来年1月に発足する米新政権が民主、共和両党のどちらになろうと、日米同盟に関する一貫した政策の遂行を求める目的でまとめられた。
報告は序論で、日米両国は、中国の台頭と、そのパートナーで核武装した北朝鮮の脅威に直面しているとの認識を表明した。
また、日韓の緊張緩和のために米国として外交努力をすべきだとした上で、日本に対しても韓国との歴史問題に向き合うよう求めるなど、日米韓の関係強化が不可欠だとしている。
「新たな同盟戦略」という項目では、日本列島と台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線を越え、米空母打撃群の「接近阻止・領域拒否(A2AD)」戦略を進める中国海軍に対し、米軍の「統合エアシーバトル(空海戦闘、ASB)」と自衛隊の「動的防衛力」構想で対抗すべきとした。
特に日本は、近隣諸国から差し迫った脅威を受けており、尖閣諸島を事実上の「核心的利益」と位置付け、海軍を増強している中国軍との偶発的な衝突に備え、米軍と自衛隊の相互運用能力を高めるべきだと強調した。
また、原油の多くを中東に依存する日本はアラビア海の海賊対策を続け、シーレーン防衛と南シナ海での航行の自由の確保を目指すべきだと強調した。
東日本大震災後の“トモダチ作戦”では共同作戦が奏功したが、日本は依然として有事に集団的自衛権を行使できず、共同対処の大きな障害となっているとした。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題では、時間と政治エネルギーを浪費したと指摘。過去にとらわれず、将来の安全保障を考えることで打開策を見つけるべきだとした。
報告には、アーミテージ氏やナイ元国防次官補、グリーン元国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長らが参加した。
◆ 米国務省 尖閣諸島の領有権では中立強調 「日米安全保障条約第5条適用対象」との立場 2012-08-17 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
米国務省、挑発行為の自制求める 尖閣諸島の領有権では中立強調
産経新聞 8月16日(木)10時20分配信
【ワシントン=犬塚陽介】米国務省のヌランド報道官は15日の記者会見で、香港の団体が沖縄県・尖閣諸島に不法上陸した事件について「圧力や押し付けがましさは問題の解決に有益ではない」と述べ、挑発的な行動への自制を促した。一方で、米国は尖閣諸島の領有権に関して日中どちらかの主張を後押しすることはないとし、従来の見解を強調した。
ヌランド報道官は尖閣諸島の領有権について「挑発的な行動ではなく、双方の合意の上で解決される必要がある」と述べ、日中双方による平和的な解決を求めた。
一方、不法上陸した香港の団体については、米国として「詳細な情報は持っていない」と語った。沖縄県警と第11管区海上保安本部による不法上陸者ら14人の逮捕など、日本側の対処の妥当性については言及を避けた。
尖閣諸島について米政府は、「日米安全保障条約第5条の適用対象」との立場をとっている。
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◆石原慎太郎著『新・堕落論』新潮選書2011/7/20発行
p81~
尖閣諸島への中国の侵犯に見られる露骨な覇権主義が、チベットやモンゴルと同様、まぎれもなく、この国に及ぼうとしているのに最低限必要な措置としての自衛隊の現地駐留も行わずに、ただアメリカ高官の「尖閣は守ってやる」という言葉だけを信じて無為のままにいるこんな国に、実は日米安保条約は適応されえないということは、安保条約の第5条を読めばわかることなのに。後述するが、アメリカが日米安保にのっとって日本を守る義務は、日本の行政権が及ぶ所に軍事紛争が起こった時に限られているのです。
つまりあそこでいくら保安庁の船に中国の漁船と称してはいるが、あの衝突の(略)アメリカはそれを軍事衝突とはみないでしょう。ましてその後ろにいるのが中国としたら、アメリカの今後の利害得失を踏まえて本気のコミットメントは控えるに決まっている。
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◆ 「従軍慰安婦」を「創作」し 日韓関係を破壊した朝日新聞には、事実関係を検証して説明する責任がある 2012-08-17 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
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