<少年と罪 続・ネットの魔力>第5部 ㊦媒体 「広島 呉 少女LINE殺人事件」 SNSがなければ、奪われなかった命

2017-11-23 | 少年 社会

<少年と罪 続・ネットの魔>第5部 (下)媒体  手軽な交流 共犯招く 
2017/11/21 朝刊
 画像;ラインでの口論がきっかけで16歳の少女が殺害され、遺体が遺棄された山中の現場。供えられた花は枯れていた=広島県呉市で
 広島と熊本。二百五十キロ離れた地で、会ったことのない二人がスマートフォンでメッセージを交わす。二〇一三年五月、十六歳だったコウタとリサはインターネットの会員制交流サイト(SNS)で知り合った。「ライン殺人事件」を起こす二カ月前だった。
 互いの写真を交わし、ネットのやりとりだけで「彼氏と彼女」になった。まもなくコウタは、出身地の熊本県を飛び出し、リサのいる広島市へ。初めて顔を合わせた。
 幼少期から自宅で首輪につながれ、親から虐待を受けてきたコウタ。リサもまた、虐待に耐えて育った。似た境遇の2人は認め合い、リサの友人らと計4人で共同生活を始めた。
 2人は虐待の影響で暴力への「ためらい」がなく、怒りを抑えることが苦手だった。リサが無料通信アプリのLINEで少女=当時(16)=と口論になると、コウタが加勢。他の加害者を加えた計7人で少女を呼び出して暴行を加え、最後はリサとコウタが首を絞めて殺害した。
 ネットの出会いから、わずか54日後に「共犯者」となったコウタ。懲役10年の判決を受け、獄中から本紙に寄せた手紙に「ネットで数十人の女性とつながっていた」と記した。SNSで知り合った人と現実社会でつきあうことに「怖さはない」とも。担当弁護士の竹森雅泰は「暴力の歯止めが利かない、見知らぬ2人をネットがつないだ。昔なら、こんな事件はありえなかった」。
 他の加害者らもSNSが媒体となって事件に吸い寄せられた。
 同じ16歳のエミとナオは、主犯格のリサや被害少女と面識さえなかった。殺害のわずか8時間前、広島市のコンビニで偶然、被害少女と初めて出会った。立ち話のついでに、少女「連絡先を教えて」と求められ、エミがライングループに招待した。
 そこに、現実社会で少女と仲たがいしていたリサも参加していた。偶然の産物で、2人はライングループでもつながり、罵詈雑言を浴びせ始めた。
 口論が過熱する様子を、帰宅したエミはスマホで見ていた。やがてリサから個別にラインなどで「今から出られない?」と連絡が入る。「少女の味方を装って呼び出してほしい」との依頼。エミにとって、リサとの接点はラインだけなのに「軽い気持ち」で引き受けた。会ったばかりの少女を誘い出し、初対面のリサに引き合わせて、集団リンチのきっかけをつくった。
 呼び出し役となったエミとナオは、リサらと凶暴関係にあったとして、少年院に送られた。
 エミは事件後に「リサが1,2発、殴るかもとは思った。でもまさか、こんなことになるとは・・・」と語った。担当弁護士の戸田慶吾は「リサと被害者の人となりや関係を以前から知っていれば、間を取り持つとしても、もっと慎重にできたはずだ」と指摘する。
 SNSがなければ、奪われなかった命。「現実社会では互いの事情を知りながら、少しずつ関係が密になる」と戸田。「その前提がないままネットで簡単につながってしまうのは、ときに危うい」
  (敬称略 未成年の加害者は仮名)

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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<少年と罪 続・ネットの魔力>第5部 ㊥居場所 「広島 呉 少女LINE殺人事件」リサは母から殴る蹴るの虐待を受けてきた
<少年と罪 続・ネットの魔力>第5部 ㊤発端 「広島 呉 少女LINE殺人事件」画面上の些細な口論から人の命を奪った過ち、心から悔いる
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◇ 「広島 呉 少女LINE殺人事件」 母、祖母から虐待を受けて育った少女は仲間を「ファミリー」と呼んだ
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