米議会「尖閣は日本の施政権下にある」 / “対中国”で同士 東南アジア各国、日本の軍備強化に期待

2012-12-20 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

中国の軍事行動に対抗 米議会が特別声明「尖閣は日本の施政権下にある」
産経新聞2012.12.20 10:11【ワシントン=佐々木類】
 ジム・ウェッブ米上院議員は19日、米国による沖縄・尖閣諸島の防衛義務を明記した2013会計年度(12年10月~13年9月)国防権限法案が上下両院で合意に達したことを受け、特別声明を発表した。
 声明は、尖閣条項について「日本の施政権を脅かすいかなる試みにも、米国が毅然(きぜん)として対抗する姿勢を示したものだ」と表明。その上で「過去数年間、中国は尖閣諸島の領有権を主張して東シナや(ベトナムとフィリピンなどと領有権問題のある)南シナ海で攻撃的な活動を強めてきた」と中国を名指しで批判した。
 また、「米議会は、米国が尖閣諸島が日本の施政権下にあることを認め、この立場が、いかなる恫喝(どうかつ)や強制、軍事行動によって代わるものではないことを明確にするものだ」とした。
 米政府も、尖閣諸島が日米安保条約の対象と明言しているが、公文書を含めて国防の大枠を決める重要法案に明文化されるのは初めて。日本にとっては、これまでで最も強い形で同盟国の後ろ盾を得た格好だ。
 ウェッブ氏は、オバマ大統領に近い上院の重鎮。
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“対中国”で同志 東南アジア各国、日本の軍備強化に期待
産経新聞ン2012.12.13 09:06
 フィリピンの外相が、英紙とのインタビューで、日本が正規軍を持つことを支持すると発言したが、日本がアジアでもっと軍事的な貢献をすべきだという意見は、東南アジアの他の国々でも聞かれる。日本の敗戦から70年近くがたつ今、アジアの人々が求めているのは、過去に対する日本の謝罪ではなく、「中国の脅威」という現在の問題に、日本が何をしてくれるのかということでしかない。(フジサンケイビジネスアイ)
*謝罪より貢献
 フィリピンのデルロサリオ外相の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)での発言は、憲法改正と自衛隊の強化を訴える安倍晋三元首相の返り咲きが確実視されるなかだけに、とくに欧米メディアにとっては、驚きを持って迎えられたようだ。
 同外相は日本の再軍備についてどう思うかという質問に、「大変歓迎したい。地域で(中国との)バランスがとれる要素を探しており、日本なら十分、そうなりうるだろう」と語っている。
 中国との領有権問題で苦労するフィリピン側からすれば、当たり前の発言だが、FT紙にすれば、想定外の発言だったようだ。同紙は「中国を怒らせかねない異例の発言」としたうえで、「南シナ海の領有権を主張する中国による挑発へのフィリピンの警戒心を反映したもの」と解説。さらに「他のアジア諸国からの支持は、安倍氏の憲法改正の動きをあおりかねない」「中国は長らく日本の軍国主義の復活に対する不安を提起してきた」などと、中国政府が喜びそうなコメントが続く。
 そのうえで「かつて日本の植民地だったフィリピンの日本の再軍備に対する姿勢をみると、中国への恐怖が、日本の戦時中の攻撃的な行為に対する記憶を打ち負かすきっかけになるかもしれない」と、まとめている。
 そもそも、フィリピン側に「戦時中の日本の行為」の記憶にこだわっている人は、もはやほとんどいない。
 かつて日本軍の航空基地があったマニラ北西部のパンパンガ州を訪れ、何人もの地元の人に取材したが、そのうちのマバラカット市幹部の言葉が印象に残っている。彼は「日本人はよく、侵略してすまなかったというが、フィリピンはスペインにも米国にも侵略された。しかし、彼らは謝りなどしない。いつまでも、そんなことを言う必要はない。重要なのは今だ」と話したものだ。同じような声はフィリピン人以外からも聞いた。
*対中国の同志
 とくに、ここ数年の南シナ海における中国の「蛮行」は、ベトナムやマレーシア、ブルネイなど同様に中国と領有権問題を抱える国々の警戒心を呼び起こしている。中国との領有権問題がないはずのインドネシアでさえ、領海侵犯した中国漁船をめぐり武装した中国艦艇と対峙(たいじ)する事件が起きている。
 これらの国々からすれば、中国の領土的野心にさらされる尖閣諸島を抱える日本は、同じ中国の脅威と戦う同志なのだ。
 もっとも、フィリピンやインドネシアが、本気で日本の軍事力の増強に期待しているようには思えない。中国の反発を恐れ、尖閣諸島に自衛隊を配置することすらできない日本が、どうしてアジアの国々のために軍隊を送ることができるだろう。
 そんなことは先刻承知なのだろう。フィリピン政府は今週、米国との間で、米軍のプレゼンスをいかに増すかについて協議を始める。
 1991年にフィリピン議会は、米国との安保条約を批准せず、スービック海軍基地から米軍を追い立てた。しかし、フランス通信(AFP)によると、あるフィリピン高官は、今回の協議では同基地の再利用が焦点の一つになると話す。
 理想を唱えるだけでは自国を守れないことを知ったフィリピンの人々の期待に、われわれ日本人は応えることができるのだろうか? 今回の選挙が1つの答えになるのは間違いない。(編集委員 宮野弘之)
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2030年に覇権国家は存在せず 米中「直接対峙」の懸念も 米報告書
2012.12.11 14:37 【ワシントン=犬塚陽介】
 米中央情報局(CIA)などの政府情報機関で構成する国家情報会議(NIC)は10日、2030年の世界情勢を予測した報告書を発表した。米国の影響力が相対的に低下し、20年代には中国が世界最大の経済大国になると分析する一方で、米中を含め「いかなる国も覇権国家にはならない」と予測。アジアでの緊張の高まりが、国際社会の脅威になりかねないと指摘した。
 報告書によると、アジアは30年までに人口、国民総生産(GDP)、軍事費などで突出した存在になると指摘。インドやブラジル、コロンビア、インドネシア、ナイジェリア、南アフリカ、トルコも台頭し、世界経済のカギを握ると予測した。
 新興国の台頭で「パックス・アメリカーナ(米国主導の平和)」の時代は急速に終わりに向かうと分析する一方で、米国に取って代わる超大国の出現も考えられず、引き続き主要国の先導役の地位は保つとの見通しも示した。
 特にアジアでは、中国のナショナリズムの台頭が域内の不安定化につながりかねないと警告。友好国が中国に対抗する能力や意思を持たなければ、米国は「中国と直接対峙するリスク」を負っても、関与を強めることになりかねないと予測し、地域全体の「安定した安全保障の枠組み」の重要性を強調した。
 中国については、持続可能な経済成長モデルへの転換の必要性を強調。貧富の格差やチベット、ウイグル問題で「深い分断」が顕著になれば、中国政府は国民の目をそらすため、「予測不能で攻撃的」な姿勢に転じる可能性もあるとした。
 日本については「急速な高齢化と人口の減少」が成長の阻害要因になっていると論じた。国家の存亡に関わる自然災害にも触れ、東京は津波被害で「最も危険にさらされる世界的都市」と指摘した。
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尖閣の領空侵犯 中国への対抗措置を急げ / 日米安保は無効? 国連の「敵国条項」かざす中国の危険 2012-12-14 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
 尖閣の領空侵犯 中国への対抗措置を急げ
 産経新聞2012.12.14 03:16[主張]
 沖縄県・尖閣諸島の領空を中国国家海洋局所属の航空機が侵犯した。中国機による日本領空侵犯は初めてであり、中国が実力を行使して日本を威嚇した事態といえる。
 力ずくで現状を変更する行動は、地域の平和と安定を覆す脅威であり、日本は断固たる対応を取るとともに、抑止の態勢を強めなければならない。
 日本政府が中国政府に厳重抗議したのは当然だ。しかし、海洋局は「中国領空における海空一体のパトロール」だと発表している。習近平政権はさらなる恫喝(どうかつ)を行うとみられるだけに、日本は毅然(きぜん)と対峙(たいじ)し、屈服してはなるまい。
 今回、航空自衛隊の戦闘機は侵犯機に対し緊急発進した。藤村修官房長官が「主権の侵害に断固として対応する」と述べた通り、政府は警戒監視を強め、領土防衛のための態勢強化を急ぐべきだ。
 衆院選の最中にも、中国は、海洋監視船などにより尖閣周辺海域での領海侵犯を傍若無人に重ねている。今後は、空からの侵犯も常態化する可能性が出てきた。
 空自は無線での警告、警告射撃など段階を踏み、侵犯機に退去や強制着陸を命じる措置を取れる。これらはしかし、警察行動と位置付けられ、武器使用は正当防衛に限られる。法改正で領空を守る任務や権限を明確にしなければ、領空侵犯の繰り返しは防げない。
 今年9月の野田佳彦政権による尖閣国有化以降、中国公船の尖閣周辺の航行はほぼ連日で領海侵犯も13日までに計17回に上る。中国機に対する航空自衛隊機の緊急発進も、今年4~6月は15回しかなかったのが尖閣国有化以降を含む7~9月には54回と急増した。
 海洋権益の拡大を図る中国軍が、尖閣領有の既成事実化を狙って海と空で偵察や訓練を活発化させている事態を裏付ける数字だ。11月には、中国海軍初の空母「遼寧」で艦載機の発着艦訓練を成功させ、約6千トンと中国最大の漁業監視船も就役させている。
 衆院選の政権公約で民主、自民両党や日本維新の会が海上保安庁の人員・装備など警備体制の拡充を掲げ、特に自民党が「南西諸島に警察、海保、自衛隊を重点配備する」としたのは評価できる。
 今日の状況を招いたのは、尖閣で「極端な排外主義に陥ると日本が危ない」などとする政府の姿勢だ。事なかれ外交は日本を危うくしただけだと認識すべきだ。
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日米安保は無効? 国連の「敵国条項」かざす中国の危険
産経新聞2012.12.12 07:53【湯浅博の世界読解】
 何げなく聞き流した中国の習近平総書記が発したスローガンと、その後の行動がどうも気にかかる。
 習氏は総書記就任時の11月15日、復古調の「中華民族の復興」を掲げた。かの中華帝国の伝統理念は「華夷秩序」であり、帝国は外縁に向かって序列の低くなる異民族を統治していく。さらに先月29日、政治局常務委員を引き連れ、北京の国家博物館で列強帝国主義の展示を視察した。この時に習氏は「中華民族復興の目標に近づいている」と巻き返しを宣言した。
 その威勢をかって、軍上層部の発言が強硬になってきた。尖閣諸島も日本の総選挙後に危険度が増してこよう。選挙中は自重して、日本の反中勢力を有利にさせないためだ。
 習氏の「中華民族の復興」発言は、楊潔篪外相が9月の国連総会で述べた異様な罵(ののし)りの演説に通じる。外相は日本による尖閣国有化に関連し、日清戦争末期に「日本が中国から盗んだ歴史的事実は変えられない」と述べた。しかし、日本が無主の尖閣諸島を領有したのは1895年4月の下関条約より前のことで、清国が日本に割譲した「台湾および澎湖列島」にも尖閣は含まれない。
 この時、中国側が歴史カードを使ったのは、国連そのものが日独を封じる戦勝国クラブとして発足したことに関係する。国連憲章には日本を敵国と見なす「敵国条項」が残されたままである。この時の楊外相発言は、主要国に日本が「戦犯国家」だったことを思い出させ、日本たたきの舞台とみていたのではないか。
 ところが、京都大学名誉教授の中西輝政氏はさらに踏み込んで、中国がこの敵国条項を「日米安保を無効化する“必殺兵器”と考えている可能性が高い」と見る。国連憲章の53条と107条は、日独など旧敵国が侵略行動や国際秩序の現状を破壊する行動に出たとき、加盟国は安保理の許可なく独自の軍事行動ができることを容認している。
 日本の尖閣国有化を憲章の「旧敵国による侵略政策の再現」と見なされるなら、中国の対日武力行使が正当化されてしまう。中国はこの敵国条項を援用して、日米安保条約を発動しようとする米国を上位の法的権威で封じ込めようとする策謀だ。
 この敵国条項については1995年12月の国連総会決議で、日独が提出して憲章から削除を求める決議が採択されている。憲章の改定には3分の2以上の賛成が必要なために、決議によって条項を死文化することにした。確かに、この決議はいつの日か憲章を改定するときがあれば「敵国条項を削除すべきだと決意された」のであって、厳密にはいまも残っている。
 問題は中国が同床異夢のまま国際法や国連憲章を勝手に解釈していることである。楊外相は9月の国連総会に続く11月6日のアジア欧州会議(ASEM)首脳会議でも「反ファシズム戦争の成果を日本が否定することは許されず、日本は戦後の国際秩序を否定してはならない」と布石を打つ。
 中国は国際法上、尖閣が日本の領土であることを覆すことが困難とみたか、国連憲章の盲点を突いて武力行使を正当化しようとする。恐ろしいほど冷徹な権謀術数ではないか。習新体制が日本に「華夷秩序」を強要しようとするなら、日本は同盟国と結束して中国を断固抑止する決意を固めたい。(東京特派員)
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