「死に神」コラムへの抗議、朝日新聞が犯罪被害者の会に回答

2008-07-02 | 死刑/重刑/生命犯

(読売新聞 - 07月02日 11:40
 計13人の死刑執行を命令した鳩山法相を「死に神」と表現した朝日新聞夕刊1面の素粒子欄について、朝日新聞社が、全国犯罪被害者の会(東京)の抗議文と公開質問に対して回答したことがわかった。
 回答は先月30日付。同社によると、「記事が死刑を求める被害者遺族にどんな気持ちを起こさせるのか考えなかったのか」という質問に対しては、「お気持ちに思いが至らなかった。批判を厳粛に受け止め、教訓として今後の報道に生かしていく」とした。
 「法相に対する侮辱、中傷になると思わないか」との質問には「中傷の意図は全くなく、侮辱、中傷と受け取られたとすれば残念」と答えた。

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素粒子への批判 厳粛に受け止め 犯罪被害者の会に本社
asahi.com 2008年7月2日3時14分
 死刑執行にからんで鳩山法相を「死に神」などと表現した朝日新聞の夕刊コラム「素粒子」を巡り、「全国犯罪被害者の会(あすの会)」が「我々に対する侮辱でもある」と抗議していた問題で、朝日新聞社は6月30日付の文書で同会の質問に回答した。
 回答はコラムについて、死刑を巡る鳩山法相の一連の言動を踏まえたものと説明。「犯罪被害者遺族にどんな気持ちを起こさせるか考えなかったのか」との質問には、「お気持ちに思いが至らなかった」とし、「ご批判を厳粛に受け止め、教訓として今後の報道に生かしていきます」と答えた。
 また、朝日新聞は死刑廃止の立場をとっていないとしたうえで、執行にあたっては慎重な対応を求めてきたことを説明。鳩山法相が昨年9月の記者会見で、「半年以内に死刑は執行されねばならないという規定が自動的に進むような方法はないのか」「ベルトコンベヤーと言ってはいけないが、順番通りということなのか、それとも乱数表なのか、わからないけれど」と述べた後、ほぼ2カ月間隔で死刑の執行を命じ、就任から1年足らずで13人の死刑が執行されたことを指摘。こうした一連の言動を踏まえ、社会の様々な出来事を短行で批評する「素粒子」筆者の視点から「死に神」などと表現したと答えた。
 鳩山法相については「中傷する意図は全くありませんでした。法相が『侮辱』『中傷』とお受け取りになったとすれば、残念です」とした。
 被害者の会の代表幹事である岡村勲弁護士は6月25日の記者会見で、「私たち犯罪被害者遺族は、死刑囚の死刑執行が一日も早いことを願っている。(コラムは)鳩山法相に対する批判であるが、そのまま犯罪被害者遺族にもあてられたものだ」と抗議していた。

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http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/d344882fbcca0f97ed8730342e882e4b


4 コメント

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とても難しい問題ですが (kenneth)
2008-07-03 23:42:16
 今まで、犯罪被害者が犯人の死刑を望む事に対して嫌悪を感じてしまう事は、非常に酷な事であると思っていました。しかし、ここへ来て、そしてこれら最近の出来事に関する新聞記事等を見て、何かが急速に変化して来ている様に思え、そして、このままの方向で本当に良いのだろうかという危機感を抱きつつあります。
 日本の大人達が、いつしか大きく変わってしまったかの様な気がしてなりません。生命への意識が、余り良い方向に進んではいないのではないかという気もします。
 被害者の思いについては、人間の感情として大いに分かります。そういうものなのだと思いますし、納得出来ます。しかし、かといって、その思いを直接的に現実の状況にそのまま反映させてしまって良いのだろうかと、疑問と恐れを感じつつある昨今でもあるのです。
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Re:とても難しい問題ですが (ゆうこ)
2008-07-04 09:01:18
kenneth様
 まっとうなご意見に、ほっとします。ありがとう。
>このままの方向で本当に良いのだろうかという危機感
 全く同感です。
>何かが急速に変化して来ている
>生命への意識が、余り良い方向に進んではいないのではないかという
>反映させてしまって良いのだろうかと、疑問と恐れ
 kennethさんのような理性的、慎重な物言い(感性)すら少なくなっているように感じる昨今です。回転が速くなっていますね。国会では少年法の改悪や被害者参加制度、高齢者医療等、非人間的な立法が続き、司法では裁判員制度を睨んで公判前整理ということで拙速優先、事件の核心までの精査は行われませんし、行政では死刑執行が2ヵ月に1回のような異様な状況。疑問と恐れを禁じえません。
 太田昌国さんの指摘を思い起こします。
“死刑という人の死を求める意見がここまで公然と報道されている。それはこの社会が人の死に対してだんだんと慣らされていく、訓練がされていく段階であるととらえている。犯罪を犯した人間が処刑されることを待ちわびる、待望する社会になっている。メディアの中でも突出して影響力のあるテレビで、そこで発言するキャスター・コメンテイター、番組にかかわるディレクターが、冷静な言葉と観察力でもって報道しないと、この社会は極めて不気味な力によって押し流されていく。”
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私も (とろろ)
2008-07-06 22:28:01
ゆうこ様、こんばんは。
kenneth様のお考え、鋭いご指摘だなあと思います。私も同じようなことを考えていましたが、うまく表現ができずにおりました。
最近になって麦の会のご本があるということを
人から聞き、さっそくネットで購入し、今読んでいる毎日です。『死刑囚からあなたへ』というご本です。第一巻はもう20年ほど前のもので、本屋さんからも「きれいな本がなくてごめんなさい」というコメントがきました。
しかし、それほど汚れているわけではなく、内容も盛りだくさんなので夢中になって読んでいます。死刑囚の方々の振り絞るような激白を読むと、決して他人事ではなく、私もいつこういう立場になっていたかもしれない、あるいはこれからなるかもしれないと思わされます。死刑存置論者の方や裁判員制度推進派の方はこの「自分も重大な犯罪を犯すかもしれない」という想像力に欠けているのではないかと思います。死刑廃止論者はたくさんいるのになかなか声が聞こえない、世論にとどかないという問題
がありますが、朝日の記事はそれを動かす第一歩と私は積極的に評価しています。
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Re:私も (ゆうこ)
2008-07-08 09:10:01
とろろ様。おはようございます。
 返信、遅くなって申し訳ございません。
 「死刑囚からあなたへ」、久しぶりに手に取りました。1987年の刊行ですから、ほんと、20年も前になるのですね。私は、何方からか、戴いたのでした。当時は、死刑廃止運動は私には忌避する存在でした。罪科を棚に上げて権利ばかりを主張する集団というふうに捉えていました。勝田死刑囚も心底彼らを忌避していましたし、罪の意識から死刑廃止どころではなかったのです。
 しかし、インパクト出版会深田さんは20年以上も前から、こういった本の出版に精魂傾けていらっしゃったのですね。最近では、光市事件裁判の特集を連続して組んでおられます。どんなに大変でいらっしゃるか・・・。ご労苦に、頭が下がるばかりです。
http://www.jca.apc.org/~impact/ 
http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/kohshin1-1.htm
 世の人々が、静かに、こういった書物に目をやって下さるなら、光市裁判での狂的な騒ぎはなかったと思います。
 最近では、現代人文社なんかも、良いですね。
 http://www.genjin.jp/message.html

 嬉しいコメント、有難うございました。今後とも、よろしくお願いします。 
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