中国、異例の長期勾留 元稲沢市議起訴4年
2018/7/28 朝刊
中国国内で覚醒剤を運ぼうとしたとして麻薬運搬罪で起訴され「懲役十五年以上か無期懲役または死刑」を求刑された愛知県の元稲沢市議、桜木琢磨被告(74)が起訴されてから二十八日で丸四年となった。異例の長期勾留が続き、判決がいつ出るのか、見通せない状況だ。弁護人によると桜木被告はこの半年、精神的に不安定になっているという。弁護人は「早く判決を出すべきだ」と訴える。(中国広東省広州で、浅井正智)
中国の法律では原則として起訴から3ヵ月以内に判決を出すと定める。担当の広州市中級人民法院(地裁)は3ヵ月ごとに判決延長を行っており、延長は15回に及ぶ。弁護人は「1~2回延びることはあっても、15回の延長など聞いたことがない」と指摘。逮捕からはすでに4年半以上が経過している。
■弁護人「精神的に不安定」
以前は裁判所の担当者が直接、拘置所を訪れ、被告に判決延長の文書を渡していた。最近は郵送されてくるだけだといい、扱いもぞんざいになっている。
弁護人は1ヵ月~1ヶ月半に1度の割合で被告との面会を続けているが、「この半年来、明らかに異変が視られる」という。
以前は面会での受け答えもしっかりしていた。この半年は弁護人の話を聞かず、被告が一方的に話し続けることが増えたという。「早くここから出たいのに、だれに訴えていいか分からないという焦りや無力感が感じられる。非常に心配な状態だ」と話す。
桜木被告の判決が延び延びにされてきた背景に、日中関係の悪化も指摘されている。被告が元市議という公職にあった事情も不利に働いている可能性がある。
現在、日中関係は回復軌道に乗っているが、それでも判決が出ないのは「中国側がカードとして手放したくないのではないか」(関係筋)との見方もある。
いずれにせよ管轄の裁判所レベルではなく、「さらに上の政治的判断がなければ動かない案件になっている」(同)のは間違いなく、司法が独立していない中国の特異性を示している。
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
⇒ 元稲沢市議 桜木琢磨被告 死刑回避へ 中国、75歳以上は死刑適用外 2018/9/12
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