介護給付削減 「軽度」除外で介護給付2兆円超削減

2008-05-19 | 政治

「軽度」除外で介護給付2兆円超削減、財務省が試算
(読売新聞 - 05月13日 22:38)
 財務省は13日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、介護の必要性が比較的低いとされる「軽度の要介護者」を、ドイツのように完全に介護保険の対象から外すと、年間で介護給付費を約2兆900億円、国の負担を約6100億円削減されるとの試算を示した。40歳以上が納めている1人あたりの保険料は約1万5000円軽減されるという。
 日本の介護保険は、介護の必要性に応じて8段階で支給額を決めている。財務省は、介護の必要性が最も低い「要支援1」から「要介護2」までの5段階を「軽度の要介護者」と位置づけ、3つの試算を示した。
 他の試算では、軽度の要介護者について、韓国のように、洗濯や掃除など「生活援助」だけ介護保険の対象から外せば、年間で給付費を約1100億円、国の負担を約300億円削減でき、保険料は約800円安くなるとしている。
 また、保険対象を現在のままとし、軽度の要介護者の自己負担割合を現行の1割から2割に引き上げれば、給付費は約2300億円削減できると試算した。
 財務省は今後、介護保険制度の見直しを厚生労働省に働きかけ、社会保障費の抑制につなげたい考えだ。
 2008年度の介護給付費は当初予算で6兆6559億円となり、今後も増加が見込まれている。
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政治 ここが知りたい 介護給付削減 財務省が圧力
2008年5月19日 中日新聞紙面から

 後期高齢者(長寿)医療制度への批判が高まる中、財務省が介護保険に関して、必要度が軽い人を制度から外すなどした場合の費用効果試算をまとめ、社会保障費の削減圧力を強めている。一方で、介護保険はこのままなら、来年度の制度改定で保険料が上がる見通し。必要なサービスは受けられるのか、負担増はどうなるのか-。どちらにしてもお年寄りの不安は増しそうだ。 (後藤孝好)

 問 財務省はどんな試算をまとめたのか。
 答 介護保険の適用を受けるお年寄りは、介助の必要性の軽い順に要支援1-2、要介護1-5の七つの段階に区分されている。試算では、要介護2以下の軽症者について(1)全員を保険の対象外とすれば二兆九百億円(2)生活援助のみの人を対象外とすれば千百億円(3)自己負担を一割から二割に引き上げれば二千三百億円-をそれぞれ一年間に削減できるとはじいた。

 問 制度の枠組みを変えるとなると、介護現場は大混乱だ。
 答 舛添要一厚生労働相は国会で「新聞で見て仰天した。予防の手抜きにつながり、介護の必要度の高い人が増え、国の財政負担も増え、百害あって一利なし」と批判した。実現性はともかく、社会保障費のさらなる圧縮を狙って、財務省が厚労省をけん制した意味合いが強い。

 問 介護の費用は増え続けているのか。
 答 介護給付費は制度が始まった二〇〇〇年度から右肩上がりだが、〇六年度から要介護度が軽い人の家事援助などのサービスを抑制。三年ごとに見直される介護報酬も全体改定率が〇三、〇六年度いずれも引き下げられ、伸びは鈍化している。

 問 保険料は。
 答 介護給付費は国と地方の公費で50%、四十-六十四歳の保険料で31%、六十五歳以上の保険料で19%を賄っており、費用が増えれば保険料も上がる仕組み。六十五歳以上の保険料は、制度発足時に全国平均で月額二千九百円だったが、〇三年度に三千三百円、〇六年度に四千九十円とアップ。〇九年度も上がるのは確実だ。

 問 介護報酬を下げれば、保険料アップを抑えられるのでは。
 答 その通りだが、これまでの報酬引き下げで介護現場は重労働、低賃金が常態化し、人手不足が深刻だ。地域によっては必要なサービスを受けられなくなる懸念も出ており、舛添氏は〇九年度改定で介護報酬を上げる方針を示している。

 問 保険料を上げないための妙案は。
 答 保険料の負担年齢を四十歳以上から引き下げることも検討課題。ただ、それでなくとも、少子高齢化で社会保障に関する若年世代の負担が重くなっており、舛添氏も「現段階で四十歳から下げるのは反対」と言っている。与野党からは、公費を増やすべきだとの声も出ているが、そうなると消費税などの増税論議につながる。どのみち国民の負担を抑えるのは難しいね。


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