光市母子殺害事件 実名出版差し止め求める 元少年弁護団

2009-10-06 | 光市母子殺害事件

光市事件実名本差し止め申請 元少年の弁護団
10月6日15時32分配信 産経新聞
 山口県光市の母子殺害事件で殺人などの罪に問われ2審広島高裁で死刑判決を受けた男性被告(28)=事件当時(18)、上告中=を実名表記したルポルタージュの単行本が出版されることになり、被告の弁護団が出版差し止めを求める仮処分を広島地裁に申し立てたことが6日、分かった。
 本は「A(実名)君を殺して何になる」(インシデンツ刊)で、大学職員の増田美智子さん(28)が被告や元同級生などを取材して執筆。「私が会った人間の存在を感じてもらうため、名前は重要な要素」と主張している。
 弁護団の一人は「仮処分は被告の意思。事前に原稿を見せてもらい、内容に間違いなければという話だったので、実名表記は承諾していない」と話した。
 少年時の事件で家裁の審判を受けたり起訴されたりした人の氏名は少年法61条により報道が禁止されている。
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光母子殺害の実名本出版…元少年側が差し止め申請
10月6日14時35分配信 読売新聞
 山口県光市の母子殺害事件で死刑判決を受け、上告中の元少年(28)の実名が記載されたルポルタージュ本の出版に対し、元少年側が広島地裁に出版差し止めの仮処分を申請したことがわかった。申請は5日付。
 関係者によると、本のタイトルや本文中に元少年の実名が記載されており、元少年側は、本人が特定されることで、少年法で守られるべき人権が侵害されるとしている。実名掲載について本人は同意していないという。
 本には、元少年と同じ年齢の著者が1年以上、計25回にわたって、元少年と接見したり、文通したりした内容や、家族ら関係者への取材結果が盛り込まれ、早ければ週内にも書店に並ぶ予定。
 著者の増田美智子さんは、「元少年を一人の人間として描くためには実名報道が必要だと考えており、本人も了解していた。弁護団はこれまでの取材申し込みに全く応じなかったのに、出版が決まったら原稿を見せるよう求めてきており、仮処分の申請に対しては戦う」と話した。
 少年法61条は、少年犯罪について、少年の氏名、年齢、職業、住所、写真などで本人と推測できるような記事を出版物に掲載してはならない、と規定している。
 法務省人権擁護局は、「本人側から人権侵害との訴えなどがあれば調査に乗りだすことになるが、現時点ではそれがなく、まだ事実関係もはっきりしていない。当面は推移を見守りたい」と話している。最終更新:10月6日14時35分
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実名ルポ、出版禁止申し立て=光市母子殺害の元少年側-著者は「本人了解得た」
10月6日13時30分配信 時事通信
 山口県光市母子殺害事件をめぐり、被告の元少年(28)=差し戻し控訴審で死刑、上告中=の実名を記したルポルタージュの本が出版されることになり、元少年側が広島地裁に出版差し止めを求める仮処分を申し立てたことが6日、分かった。
 元少年は事件当時18歳。少年法は未成年時の犯罪で起訴された被告について、名前や本人を特定できる情報の報道や出版を禁じている。
 この本は、大学職員増田美智子さん(28)が執筆。元少年の肉親や友人ら関係者を取材し、本人の生い立ちや差し戻し後の上告審判決を控えた心境などをつづり、近く出版される予定だった。
 元少年の弁護団によると、申し立ては5日付。元少年は実名掲載を了承していないとしている。本田兆司弁護士は「実名報道は少年法の趣旨に反している。裁判が未確定の段階で『なんと言うことをするんだ』という思いだ」と話した。
 一方、増田さんによると、元少年とは拘置所で計25回面会をしたほか、手紙でもやりとりを重ねて取材したという。今年3月に本人に面会した際、本にまとめる際には実名で書くことを伝え、了承を得たとしている。
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<光市母子殺害>実名出版差し止め求める 元少年弁護団
10月6日13時32分配信 毎日新聞
 99年に起きた山口県光市の母子殺害事件を巡り、被告の元少年(28)を実名で表記したルポルタージュ本について、元少年の弁護団を務める弁護士6人が5日、広島地裁に出版の差し止めを求める仮処分を申し立てたことが分かった。本は題名に元少年の実名を含めており、インシデンツ(東京都日野市)が出版する。
 著者の一橋大職員で元フリーライターの増田美智子さんが、元少年に25回接見し、手紙のやりとりを重ね、少年から実名表記の許可を得たという。増田さんは「『元少年』という表記は記号に過ぎず、彼への人権侵害ではないか。一人の人間としての彼を感じてもらうため、実名表記に踏み切った」と話している。
 仮処分を申し立てた弁護士は「少年法に基づき、実名報道は許されるものではない。本人は出版前に原稿を見せてもらって実名掲載の可否を決めるつもりだったが、原稿は見せてもらえなかった。本人は承諾してはいない」と話した。
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〈来栖の独白〉
 たった25回の接見で、何が分かるだろう。増田氏の楽観ぶりに、唖然とさせられた。「本人の了解も得た」と云うが、小さくなって生きる彼の肩身の狭さ、嫌と言えない気兼ねのほどが何も分かっていない。悲しみが分かっていない。今枝氏も、然りである。「私が会った人間の存在を感じてもらうため、名前は重要な要素」と云うが、ベストセラーを目論んでの言い訳としか聞こえない。
 このような、社会の最も弱い人を利用する輩の何と多いことだろう。先の衆院選挙で、投票の意思表示ができない89~59歳の女性入居者3人の投票用紙を使い、勝手に候補者の名前や政党名を記入し、投票を偽造した施設職員がいた。弱者を食い物にするこの種の「犯罪」に、私は憤らずにいられない。卑劣な暴力である。
 いま少し、言及しておきたい。平成17年11月1日発行の門田隆将(かどた りゅうしょう)著『裁判官が日本を滅ぼす』(新潮文庫)であるが、〔第11章光市母子殺人被害者「本村洋氏」の闘い〕に於いて、被告の元少年(18=当時)が実名で記述されている。内容自体にも、疑問が残る。2009/9/28

 被告人は自由に動くことが許されていない環境弱者である。外に出て確かめることはもとより、発信も不如意を極めている。そういう環境を配慮するなら、交流する外の優れて自由な環境の者は、被告人に虚偽を弄してはならない。被告人の弱みにつけこみ虚偽を公表するなどは、卑劣である。
 ところで、僅か25回の面会で知りえた情報(被告人の人間性)に如何ほどの真実が盛られているだろうか。光市事件は、あまりに著名な事件である。著名な事件となってしまった。しかし、その割には、真実が周知されていない。人びとは本件に関する情報源を、多くは扇情的娯楽本位のメディアに委ねてしまった。それに押され(裁判所は国民世論に敏感、迎合的である)、重い量刑が下された。
 「劇場」によらず、本事件の真相に迫る手立てはある。インパクト出版会は、『年報死刑廃止』という出版物に裁判書類を掲載している。また、拙HPであるが可能なかぎり裁判書類を掲載した。光市事件の真相と元少年被告の裡なる心に近づけることを願った。2009/10/6

 ◆ 光市母子殺害事件


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