世界の記憶、韓国「慰安婦の日」…左翼の牙城「赤い国連」でいかに戦うか 『正論 』2018/2月号

2018-01-21 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

 産経ニュース 2018.1.20 01:00更新
【正論2月号】世界の記憶、韓国「慰安婦の日」…左翼の牙城「赤い国連」でいかに戦うか
 画像;パリのユネスコ本部(ロイター)
 ※この記事は、月刊「正論2月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。
明星大学特別教授 高橋史朗 × 麗澤大学客員教授 西岡力 × 衆議院議員 杉田水脈
高橋史朗氏 国際連合教育科学文化機関、ユネスコは世界の記憶(世界記憶遺産)に日中韓などの民間団体から共同申請されていた日本軍「慰安婦の声」文書と、日米4団体が共同申請した「慰安婦と日本軍規律に関する証拠」文書の2件について登録判断を保留し、申請者と関係者の対話を促すと発表しました。登録可否を審査する国際諮問委員会(IAC)は「関係当事者らが対話する便利な場所と時間を設ける」よう勧告し、登録は先送りとなりました。
 これは大きな成果でした。2年前、中国が申請した南京大虐殺に関する資料が登録されてしまい、私たちはその経験から2つのことを教訓として学んだと思います。1つは、南京の登録劇では官民が連携しなかったこと。要するに日本の保守系の団体が記者会見し、有識者の声明を出し、私もパリに行き、膨大な反論資料を送り込みました。
 ですが、実際には何も生かされなかった。黙殺されたといってもいいかもしれない。民間がいくら声を上げても、外交を司る官の動きと噛み合わず、官民の連携とはならなかった。
 世界の記憶の登録は、IACで決定します。その下部には登録小委員会(RSC)という組織があって、登録小委員会が勧告すると、それがそのまま通ってしまった。そこに働き掛けなければならないのに、それができずに登録を許してしまったわけです。
 外務省の姿勢にも問題はありました。省のホームページに歴史問題Q&Aというコーナーがあるのですが、そこでは南京虐殺について20万、30万といった被害人数は認定できないが、非戦闘員の殺害や略奪行為などが書かれています。
 この問題に外交戦略を立てていかに対応するか、という基本戦略がなく、明治の産業革命の登録と時期的にダブって手が回らず、後手に回ってしまった。政府としての外交戦略がきちんと確立できていなかったのです。そうした反省から外務省は今回戦略を立て、今回は官民一体で取り組みができた。それが大きな成果につながったと考えています。
西岡力氏 ユネスコの発表内容には、慰安婦の声、つまり強制連行やセックススレイブがあったとする案件について『世界の記憶事業のIACは2017年10月17日のユネスコ第202回執行委員会会合の議題15の決議に従い、ユネスコが「慰安婦の声」と「慰安婦と日本軍規律に関する文書」-これは日本の「なでしこアクション」が海外のグループと共同で強制連行、セックススレイブなどなく日本軍の規律は保たれていたとする真逆の結論を導き出した申請でした-の申請者及び関係者の間で対話を促進するよう事務局長に対して勧告する』とあります。
 ここで大切なのは、「なでしこ」の山本優美子さんたちが、資金、時間を使ってユネスコの書式に合わせて何回も修正しながら申請にこぎつけたからこそ先送りができたのであって、彼女たちが声をあげなければ、慰安婦の登録もまた許してしまったかもしれない。 彼女たちにも自分たちの言いたいことは山ほどあったでしょうが、それを我慢してとにかくユネスコの俎上に載せた。その意義は大きいわけです。日本政府は慰安婦の登録阻止を当面の目標としながらも制度自体がおかしいとして制度改善を進めました。その結果、制度改革はうまく進みましたが、慰安婦など今回の案件にはそれを適用しないとなったんですね。
杉田水脈氏 そうでしたね。
西岡氏 改善した制度の適用は次年度からとし、慰安婦を含む今年度の申請では従前のルールで進めることになった。でも、意見が対立する案件は先送りしたほうがいいという趣旨の執行委員会の決議-それが先ほどの議題15の決議ですが-が通り対話という結論に至ったわけです。
 発表文には「申請者及び関係者の間で対話を促進する」とあります。実はここも重要なんです。つまりある案件で意見が対立するから話し合いが必要と判断するケースというのは同じ案件で複数の申請者がいた場合だけに限られるのか。ここに「関係者」という文言がなければ、そうなってしまいます。
 山本さんたちと向こうが両方同じ資料で正反対の申請をした結果、意見が対立すると判断されましたが、では今後も向こうから変な申請がされた場合、こちらは同じことを繰り返さなければ話し合いにならないのでしょうか。今回の事例がそうした前例になるのは良くないと思います。
 ところが、ここに関係者という言葉が入ったことで申請者同士、および関係者-関係者というのは申請者とは別の人という意味です-として例えば私や高橋先生でやっている歴史認識問題研究会や反対声明を出した日本の学者100人も関係者として対話に参加できると考えています。
 私たちはしかるべき場所と時間が提供されれば話し合いに応じたいと思いますが、その話し合いが今後どう進んでいくのか。1回だけ対話の席を設けたから条件が満たされた、登録してほしい、などと向こうは言ってくるかもしれない。そこは要注意です。
 要するに状況は今、保留で先送りになっただけです。おかしな申請の登録を阻止したということは大きな成果だと思いますが、成果を生かすためにも今後、慎重に相手の出方を見ながら、何をすべきか考えなければなりません。
杉田氏 自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」でも今回のユネスコの世界の記憶の申請やサンフランスシスコの慰安婦像、カナダの南京の日や韓国の慰安婦を称える日について外務省から説明を受けました。世界の記憶は冒頭の議題で-これまで負け続きの歴史戦でしたが-ここは一矢を報いたと言えましょう。
 実は当選後、2回ほど河野太郎外務大臣と直接お話しする機会がありました。私は、外務省や政府にはできない、民間にしかできないことがある、とまず申し上げました。例えば国連人権理事会関係の委員会でのスピーチは、バッジを着けたらできません。これは民間でないとできないんです。韓国では日韓合意-政府同士は非難し合わないと約束しました-以降、民間の人たちを前面に出し、政府はそこにお金をだしてロビー活動をやらせています。
 せめて日本は官と民が一致結束することが大事だ、と申し上げました。同じゴールを目指していることを確認し、連携できるところは連携する。役割分担できるところは役割分担する、あるいは互いにバックアップする。そうしたことをもっとしっかり考えてほしいと申し上げました。
 官が民の動きを煙たがり、後ろから鉄砲を撃つ、つぶしにかかるようなことはやめてほしい。海外に慰安婦像が建つ際、これに反対する在留邦人を領事館がまあまあと抑えつけるといった例は多いんです。そういうことはなくしてほしい。毅然とした態度で結束して対応してほしいです。
*保守の運動に一石を投じた「なでしこアクション」
高橋氏 今回、官民の連携がうまくいったといいましたが、民間側の成果は3つあります。実は世界の記憶は国内で2つしか案件が出せない仕組みになっています。しかし複数の国の当事者が共同申請すれば、2つの枠以外で出せるのです。山本優美子さんはこの「例外」に気付いて申請しました。この“発見”は大きかった。
杉田氏 彼らも8カ国で出していますからね。
高橋氏 2点目はユネスコに対話を要請するオープンレターを出したこと。これも大きな影響を与えました。それから3つ目は今結束という言葉が出ましたが、今まで新しい歴史教科書をつくる会と教育再生機構といった具合に2つに分かれていた保守系団体の運動が100人の学者声明などでは一致団結できた。これが大きな成果につながったと思うんですよ。
 慰安婦問題は今まで左翼の牙城でした。国連があるジュネーブにも30年前から日弁連等の人たちが詣でており保守系は私も含めてここ数年の動きに過ぎません。ジュネーブはNGOが中心に動く世界で、慰安婦で有名な中央大学の吉見義明教授らはそのNGOとうまく連携できている。「戦争責任研究」という左派の学術団体が出す雑誌や論文は色々な場面で利用されているんです。
西岡氏 山本さんたちのやり方についていえば、彼女たちが「何か言ってやりました」的な運動ではなかったことが大きいですよ。国連に思想は関係ありません。問われているのは申請書を出すか出さないか、要件を満たしているか、満たしていないかで、国連に「これを読め」と資料を送り付ける式のやり方では駄目なんです。
 国連の枠組みでできることを研究し、それを果たすべく申請を整えていく。そういう点は左の人たちは実に進んでいて、例えばセックススレイブという言葉を編み出した弁護士の戸塚悦朗氏などはジュネーブになんと1992年から通い始めているのです。
杉田氏 河野談話の前ですね。
西岡氏 そう。朝日新聞が92年の1月に女子挺身隊として強制連行したというプロパカンダを爆発させたころですよ。われわれが「あれは問題だ」と言って国内で論争を始めた、その直後の時期に彼は日弁連のNGOの資格で人権委員会に持ち込んでいたわけです。*我々も学んだことがあった
高橋氏 今回の一連の出来事のなかで我々も学んだことがありました。私は最初、事実関係に反論したほうがいいと考えていました。申請された写真が偽写真だとか、慰安婦の船だと言っているが、これは実は慰問団の船だといった指摘を積み重ねていました。ところが中国は申請案件を精選してきた。これでは私たちがいくら批判しても全然彼らは痛痒を感じない。そういう構造に気づいたのです。
 世界の記憶を審査する人たちは決して歴史家ではありません。アーキビストといって文書管理の専門家なんです。だから彼らに一番説得力がある方法は歴史の事実に基づく反論ではなく、むしろ制度面、つまり世界の記憶が制度としていろいろな欠陥を抱えていると訴えるよう切り替えたのです。例えば議事録が公開されておらず不透明だといった具合に誰もが反対できない普遍的な観点から問題提起をしたのが奏功した。
杉田氏 いろいろな努力をしましたが、保守系団体の手探りは未だ続いています。私たちが人権理事会でスピーチしたときも最初は限られた時間内でスピーチするのが全てだと思っていました。でも回を重ねるうちに、どうも1500ワードのレポートが出せるらしいことが分かりました。じゃあ1分間や2分間スピーチするよりそのほうが重要な意味を持つぞとか、段々活動も効果的になってきたわけです。手探りで、こんなこともできる、あんなこともできると調べながらやっているわけです。
 これは私の実感ですが、女子差別撤廃委員会で、強制連行はなかったと発言したら、国連から即座に日本政府に「政府の考えを述べよ」と質問書が来た。これは意外でした。発言した時は「それは本当か」「初めて聞いた」「あなた方は政府の回し者か」などと言われましたが、自分たちが「一民間団体の立場で来ている」「証拠もある」といえばちゃんと聞いてくれるんです。そこで黙殺されたりはしない、という実感はあります。
 ただ、国連やユネスコは公正公平か、といえば、そこは全然違う。南京や慰安婦の問題に取り組むなら、現在進行中のチベット、ウイグルなどへの中国による人権侵害などをやらなければならないはずなのに、国連は真面目にやってはいません。
*向こうのグループもはじめは試行錯誤だった
西岡氏 クマラスワミ報告は96年でしょう。それまでの4年間、戸塚氏は3カ月に1回ぐらいのペースでジュネーブに行っている。つまりクマラスワミ報告も自動的にできたものじゃない。国連は協同組合的-政府があるわけではなくて-に主権国家が寄り集まって多数決で物事を決めるだけですから、利用しようと思えば利用できてしまう。
 戸塚氏は90年代はじめ女性差別撤廃委員会、現代奴隷制作業部会、女性の地位委員会、国際女性会議準備委員会と次々顔を出し、95年4月、ジュネーブ、8月ジュネーブ、9月北京の国際世界女性会議、96年2月人権委員会と実にアクティブに動き、これがクマラスワミ報告につながっていくわけです。もともとクマラスワミさんはユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナで行われた民族浄化などに代表される現代の、女性、戦場における性の問題という調査委員に任命された。戸塚氏はそこへセックススレイブは昔からあったと持ち込んだのです。
 クマラスワミ報告というのは付属報告に過ぎません。今現在起きていることをめぐる話が本題ですから、慰安婦問題は本報告には含めず、あくまでオプションの付属報告として出されたに過ぎない。ですが、国連の報告書に盛り込まれれば、最大限キャンペーンに利用でき、実際、利用されたわけです。
杉田氏 そういう話は他にもあって、女子差別撤廃委員会で女子差別撤廃条約の実施状況について日本政府が出した報告書などもそうです。この条約の大原則は条約締結した1985年より前の出来事には遡及しません。ですから慰安婦問題など本来は議題になり得ないんです。
 ところが日本政府は報告書で、遡及しない問題だから報告書で取り上げるのは適切ではないというのがわが国の基本的な考えだ、と述べたうえで、「貴委員会への参考としてわが国の取り組みを述べます」などと慰安婦問題について言及を始めているのです。
 何と言及しているか、といえば「日本政府は謝っています」ですよ。要するに自ら土俵に乗ってしまっているわけです。
*「赤い国連」と難じても始まらない
西岡氏 向こう側がどんなことをやってきたか、もう少し述べましょう。解放同盟が中心になって作った反差別国際運動(IMADR)と言う国連登録NGOがあります。ジュネーブに事務所を持って、常駐職員を置いている。これも冷戦の終わる直前から続けている彼らの活動です。
 先ほどの戸塚氏が92年にジュネーブを訪れたさい、使ったのはIED国際教育開発という日弁連のNGOの資格でした。またNGOの活動を進めるためには情報、案件が必要となる。その役割を果たしているのが先ほど名前が出た吉見氏たち日本の戦争責任研究のグループで、90年代から始めているんです。
杉田氏 女子差別撤廃委員会に行くと、まさに、在日、琉球、アイヌなどに対する差別が日本では激しく、特に女性差別がひどいと語られている。
西岡氏 それはまさに反差別国際運動が持ち込んでいるからです。普通、どの国も普通の国民は愛国者です。外国に出て自国の悪口など言いません。悪口を言うのは相当自国の制度がひどくて言えないから国際社会で訴えるわけで、ジュネーブの枠組みは本来そのためにある。そうした光景は確かに第三世界や共産党の一党独裁政権にみられるから、ジュネーブではNGOの言うことを聞く枠組みになっているのです。それが、彼らのやりたいように利用されてしまっているのです。
高橋氏 ジュネーブの国連がいいように利用されてしまっているのは由々しいですが、ただ、これをけしからん、と声を荒らげるだけではダメで、日本の保守系の人たちがアプローチしてこなかったという反省はすべきなんですよね。
西岡氏 そう。ちょうど吉見氏の話が出ましたが、彼らのやり方に倣って私たちが歴史認識問題に絞った研究会をつくったのもそのためです。国連そのものは中立で左傾化しているわけではありません。ですからちゃんと持ち込めば通じます。
高橋氏 よく保守系の団体が外務省を悲憤慷慨して非難しますよね。自民党の歴史関係の部会などに参加すると、自民党の議員が外務省を難詰する場面に出くわします。  
 彼らの熱意や気持ちに一定の理解はできますが、何か違うと感じるんです。それでは自分は外野にいて人ごとのようにやじを飛ばしているだけで、大切なのは自分が内野に出てきて自分も守備に就こうという姿勢じゃないかと思う。一緒に取り組まないと日本は守れない、そう考えて一致結束しないと、やっぱり独り善がり、人ごとで終わってしまいます。
 慰安婦問題は西岡先生や秦郁彦先生が日本国内では理論的に完全に勝利しています。ところが海外からそう見られていないことが一番の問題でしょう。海外からは日本の一部の歴史修正主義者、国家主義者がいろいろ言っているとみられている。そうしたこともきちんと視野に入れて歴史修正主義ではないことを明確に反論して対応しないと国際的に説得力のあるアプローチにはならない。
*外野からのヤジで済ませていて良いのか
西岡氏 私自身の体験で言えば拉致問題は国連のジュネーブの人権委員会(2006年から人権理事会に格上げされた)、人権理事会が非常に積極的なんです。国連に僕らが最初に働き掛けたのは2000年で、日本ではまだ拉致=疑惑といわれていたとき、なんとか出口がないかとニューヨークの国連本部に行き「強制的失踪作業部会」-政府が自国民を失踪させているケースについて政府を通さず家族を探してくださいと人権委員会に訴えることができる窓口です-という制度があることを知りました。
 「強制的失踪」も拉致と同じですが、拉致事件の場合、犯人が自国政府でなく外国政府だという違いがありました。でもやってみようと2000年、ジュネーブまで書類を持って行ったのです。
 でも書類審査で落とされました。ところが2002年、金正日が拉致を認めたでしょう。すると急に外務省が代行して追加書類を持っていってくれた。その結果、2002年から今まで毎年、「強制的失踪作業部会」が拉致問題を審査し、北朝鮮政府に拉致被害者について回答を求めています。
 ただ、強制力はありません。国連で強制力を持つのは安保理事会ですから、私たちはここに拉致問題を持ち込んで強制力を備えた制裁決議ができることを目標にしました。2012年には人権理事会が人権調査委員会を設置し一年かけて拉致を含む北朝鮮の人権侵害問題を徹底的に調査しました。2013年に出された報告書で拉致を含む人権侵害は「人道に対する罪」と規定され国際社会には人権侵害被害者を(保護する責任)があり、責任者である金正恩を国際刑事裁判所に訴追すべきだと勧告しました。
 「保護する責任」とはNATOがユーゴを爆撃した時にいわれた考え方です。ユーゴは別にNATOに侵略したわけではありませんが、国内における人権侵害があまりにひどいから保護する責任があるといって爆撃したのです。この言葉が拉致を含む北朝鮮の人権問題にも使われている。ここ4年は安保理で毎年、北朝鮮の人権問題が正式議題になり、金正恩を訴追するかどうか論じられて-中露が拒否権を持っていて訴追まではいきませんが-います。それはジュネーブからニューヨークへと考えて動いたから出来たのです。「赤い国連」などと批判して終わりにせず、国連も使いようだと考えるべきです。
高橋氏 同感です。国連は赤だ、ユネスコは赤だといっても始まらない。国連やユネスコに問題がないとはいいません。確かに問題はあると私も思いますが、それではさっきと同じようにそれは外野からやじ飛ばしているのと一緒にすぎないのです。
*これからの対話で留意すべきこと
西岡氏 先送りされた8カ国のNGOが10月30日に声明を出しました。「私たちが登録申請した後に、日本は文化先進国ということができないほどの暴力的行為をしてきた。日本に有利なように関係規定を変えるように執拗に要求し、分担金を出さなかったり、ユネスコから脱退するという脅迫をしてきた」「登録申請された資料に対話を促せということは、すでに歴史解釈に介入した結果だと見なされるべきだ。 ユネスコは自身が作った定款に自らが違反する結果を招いた」などとして「国際連帯委員会はユネスコ世界の記憶遺産事務局の勧告に従い、忠実に対話に臨むだろう。ただし、ユネスコはすべての政治的要因を排除して、ユネスコ世界の記憶遺産の登録基準に合わせて、客観的に対話を導いていくことができるプロセスを明確にさせなければならない」「国際連帯委員会は世界他の国々とも連帯して、今回日本政府が行ったユネスコに対する不当な圧力行為を調査して、その事実を世界に広く知らしめるのと同時に、ユネスコ世界の記憶遺産がどちらか一つの国家や政治勢力によって動揺せず客観的な立場を堅持することができるように監視し牽制する」と明らかにしています。
 向こうは対話に応じると言っていますが、われわれは今後、ここで言う関係者は誰か、歴史認識問題研究会や100人の大学教授の会は対話に加われるのか。日本政府は対話当事者なのか。ユネスコ事務局に対して対話の適当な場所と時間の設定をどう考えているのか、何回も対話を続けまとまらない場合、お互い2つの団体とも申請を取り下げる制度改革後の姿をモデルにした対話でなければ乗れないとしておかなければいけないと私たちは考えるが、その通りに対話を導くと約束するのか。これらをしっかり確かめなければならないと思います。
*関係を断つという考え方もあるのではないか
杉田氏 先ほど拉致事件について言及がありましたが、拉致問題では外務省から切り分けて特命大臣を置きました。慰安婦や南京といった歴史戦も外務省に任せるのではなく、ちゃんと民間と連携できる新しい組織をつくって、特命担当大臣を立てた方がいいんじゃないか、と思うことがあります。そのうえで不必要な国連との条約を破棄するとか、そうしたことも考えてみるべきではないでしょうか。
 例えば日本は拷問禁止委員会に入っています。拷問禁止条約を国連と結んでいる。だからその委員会に出ていかないといけない。ですが現代の日本に公権力による拷問なんてないでしょう。公務員が民間人を引っ張ってきて拷問して殺したりしないですよ。日本には必要のない条約です。慰安婦問題で攻撃されています。先ほども申し上げたように出て行くからやられている側面があるのですから、「この問題は日本では解決している、だからこの条約は破棄します」と言えば、その委員会に日本は出る必要はなくなるし、左翼の画策も防ぐことができます。女子差別撤廃条約も同じじゃないでしょうか。関係を断つという考え方はあると思うのです。
西岡氏 私は必ずしもそうは思わないですね。拷問禁止委員会に所属しているなら、まずいろいろな使い方を考えなくてはいけないのではないですか。例えば、中国共産党による少数民族に対する人権侵害などの問題について日本が発信する場合、拷問委員会に参加していた方がいいわけです。簡単に決めないほうがいいと思います。先ほども申し上げたように使いようを考えることが大事だというのはそういう意味です。
 まず、大切なのはどういうことがやられてきたのか。しっかり調査が必要です。国連では慰安婦については日本の性奴隷犯罪に対する日本の責任を追及する報告書が10回以上出ています。対策を立てるためには全容調査、全体像をつかむことが必要なんです。外務省がこの20年間、行ってきた歴史認識に関する外交も調べ、やはり外務省では駄目なら担当大臣をつくればいい。
 外務省は、自分たちは一生懸命やった、自分たちが失敗した理由は予算と人がなかったからだといいますが、今まで歴史問題の外交で成果を上げたのはこういうこと、失敗したのはこういうことだとちゃんと検討して、ならばどういう対策が必要か調べておく。
 その調査の1つの柱にジュネーブで何が起きているのか、は大事な要素となります。日本外交だけでなく中国や韓国のNGOが何をしてきたのか、も大切です。どんな制度が利用され、そのとき外務省はどう対応したのか、調査しなくてはいけない。慰安婦像もそういう全体調査のうえでどうするか決めるべきです。それをせずにまず500億円の予算を付けるから、ジャパン・ハウスのような折り紙教室が世界中に出来るような話になってしまうのです。

 高橋史朗(たかはし・しろう)氏 昭和25年、兵庫県出身。早稲田大大学院修了後、米スタンフォード大フーバー研究所などを経て臨教審専門委員などを歴任。著書に『「日本を解体する」戦争プロパガンダの現在』など。   
 西岡力(にしおか・つとむ)氏 昭和31年、東京都生まれ。国際基督教大学、筑波大学大学院卒。「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)会長。朝鮮半島のエキスパート。麗澤大学客員教授。   
 杉田水脈(すぎた・みお)氏 昭和42年、神戸市出身。平成2年、鳥取大卒業後、民間企業勤務などを経て、平成24年、衆議院議員に初当選(日本維新の会)。今年10月の衆院選で自民党より出馬し議席奪還を果たす。 

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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[ 慰安婦問題] 一方的な国連拷問禁止委員会勧告 ~ クマラスワミ報告「性奴隷」も、虚偽の多い内容だった
「慰安婦=性奴隷(sex slave)」という国際謀略の発案者 戸塚悦朗弁護士の国連ロビー活動
【歴史戦 第4部 利用される国連】慰安婦問題世界拡散は、左派系市民団体による国連働きかけが原因
慰安婦説を最初に言い出した反日日本人吉田清治 / 捏造された慰安婦問題拡散~朝日新聞大誤報
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