憲法に根拠もないのに突如裁判への参加は公共の福祉だとして、国民にその意思に反して以上のような被害(雇用主の財産的被害を含む)を及ぼす法律を作ることは、国民の自由権、幸福追求権は立法その他の国政の上で最大の尊重が必要だとする前記憲法13条に違反し、また前記憲法18条の苦役強制の禁止、同29条の財産権の不可侵に違反することが明らかである。
このような状況では、国民が裁判所から裁判員法に基づくもろもろの強制に服しなくても制裁を受ける理由はないといわなければならない(実際上も裁判所は「違反者」に過料を課すことはできないだろう)。
⇒http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/kiyotaka/ 「裁判員制度のウソ、ムリ、拙速」
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<裁判員裁判>候補者が理由なく出頭せず…制裁は?
(毎日新聞 - 08月11日 12:34
裁判員候補者が正当な理由なく出頭しない時は10万円以下の過料--。東京、さいたまと2件の裁判員裁判が行われ、裁判員法の規定に注目が集まっている。10日に裁判員選任手続きがあったさいたま地裁では、出席義務がある候補者44人のうち3人が姿を見せなかった。3日の東京地裁の選任手続きでは、49人中2人が呼び出しに応じなかった。いずれも、この制裁について裁判所の判断は出ていない。
過料は行政罰の一種で、審理する事件を担当した裁判官3人が、決定で支払いを命じる。不服があれば3日以内に即時抗告できる。
最高裁は欠席者への過料について「担当裁判官の裁量」と説明する。「正当な理由」の基準や手続きのルールはなく、欠席の理由を候補者に尋ねるかどうかも担当裁判官の判断に任されている。最高裁のある幹部は「事案によって担当裁判官が、いろいろな事情を考慮するだろう」と話す。
一橋大法科大学院の村岡啓一教授(刑事法)は「裁判員制度を国民の権利とみるか義務とみるかで違いがある。法律の仕組みからは出頭は義務と言わざるを得ないが、権利ととらえた方が良い」と指摘。「制裁はよほど悪質な場合に限り、しゃくし定規に違反と判断すべきでない。制度定着に水を差す」と柔軟な対応を求める。
民事訴訟で証人が出廷しなかったケースなども過料の定めがあるが、村岡教授は「一般に過料の適用には裁判所は慎重であると思う」と推測する。
東京の「出席率」は96%、さいたまも93%で、最高裁関係者は胸をなで下ろした。こうした状況も過料を科すかどうかの判断材料になる可能性がある。
裁判員が正当な理由なく公判や判決を欠席した場合も、同様の制裁規定がある。【北村和巳、武本光政】