今週のことば
尾畑 文正
中日新聞 2023.01.17 Tue.
「戦争は残酷なものだ」 映画『ひまわり』最後のせりふ
昨年五十年ぶりに映画『ひまわり』が再上映された。戦争に翻弄された男女の悲哀を描く。映画はウクライナ(当時ソビエト連邦)のひまわり畑を映し出す。そこは無数の戦死者を埋めた、戦争の不条理と虚しさを告発する場所である。最後の場面でジョバンナと別れたアントニオは「戦争は残酷」だと吐露する。この言葉は私が住む村の元軍人が「戦争は殺さなければ殺される。これほど悲惨なことはない。やってはいけない」と私に語った戦争体験に通じる。
昨年、日本は専守防衛を形骸化する敵基地攻撃能力を掲げ、大軍拡を宣言した。戦争は国民を守らない。国民を矛(武器)に国を守る。殺し殺されるのは国民。そんな残酷で悲惨な戦争をしてはならない。阿弥陀仏の願いは地獄(恐怖)・餓鬼(欠乏)・畜生(隷従)からの人間解放である。この本願に共鳴するのが日本国憲法である。今、戦争する政治を問い、戦争放棄の憲法に帰る時ではないか。(同朋大 名誉教授)
◎上記事は[中日新聞]からの書き写し
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〈来栖の独白 2023.01.17〉
そういえば、半世紀も前、映画「ひまわり」を観た。ソフィア・ローレン主演だった。彼女の演技・美しさに圧倒された。あの頃は人間に興味はあったものの、社会(戦争)への関心は薄かったから、映画の主題について、半分ほども考えていなかったろう。そんな私に、ひまわり畑の風景は圧倒的だった。