「裕福な人しか法律家になれない」司法修習生の給与廃止に異議

2010-05-19 | 社会

「法律家、裕福な人しか…」司法修習生の給与廃止に異議
 asahi.com2010年5月19日13時55分
修習生の借金状況
 司法試験に合格した司法修習生に対し、1年間の研修中の給与を国が支払う「給費制」から、必要な人に貸す「貸与制」に11月から移行するが、日本弁護士連合会が「裕福な人しか法律家になれない」と異議を唱え始めた。4月に就任した宇都宮健児会長は「運動を盛り上げ、世論を動かしたい」と意気込むが、ハードルは高い。
「新たな制度では私は弁護士になれなかった。どんな法律家が必要かは、市民の権利を守る上で大きな問題だ」
 日弁連が18日に東京・霞が関で開いた集会で、宇都宮会長が呼びかけた。司法試験を2日前に受けたばかりの女性(33)や修習生らが、数百万円の借金を抱えている現状を訴えた。
 だが、給費制の維持には裁判所法の改正が必要。弁護士以外で問題への関心は高くなく、集会でも「法律で決まったことをひっくり返すのは不可能に近い」との声も出た。
 会長選で主流派候補を破って就任した宇都宮会長にとっては目玉政策で、得意の消費者運動の手法を活用する作戦のようだ。今後、各地の集会で世論に訴え、署名や陳情で国会議員にも働きかけ、法改正につなげたい考えだ。
 2004年に開校した法科大学院制度は、社会人など多様な人材を受け入れることを目指したが、司法試験合格率の低迷もあり、社会人の受験者数は減っている。2~3年間で数百万円となる学費負担に加え、給費制が廃止されると、修習中の生活費約300万円が新たな負担となる。
 法務省や最高裁では「給費制を維持する法改正は厳しい」との見方が根強い。ある法務省幹部は「実際に現場で働く研修医と同じように国費で養成すべきだ、と国民が理解してくれるだろうか」と指摘する。(河原田慎一、延与光貞)
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若手の弁護士の多くが借金をしている 
中日新聞を読んで「修習生の借金」後藤昌弘(弁護士) 2010/05/09 Sun.
 4月23日の夕刊に、宇都宮健児新日弁連会長のインタビュー記事が掲載されていた。その中に、「全国を回って一番驚いたのは若手の弁護士の多くが借金をしていること」との一文があった。
 ロースクールの学費が高くて奨学金を借りる人が多く、1千万円を超える借金のある人もいたという。
 実は、この話は特殊な話ではない。
 先日修習生の激励会でも、同じ話を聞いた。苦学して合格した修習生が、奨学金で、今600万円の借金があるというのである。
 新司法試験を受験するには、大学を卒業した後に法科大学院、いわゆるロースクールを卒業しなければならない。法学部卒業生でも大学4年間に加えて2年間、他学部生の場合は3年間ロースクールに通うことになる。
 しかも、ロースクールは多忙で、アルバイトをする暇はない。必然的に貧しい家庭の学生は奨学金に頼るしかないが、その奨学金が累計で600万円だとか1千万円だというのである。
 とはいえ、今の修習生はまだましである。現在の修習生には給与が支給されるからである。
 しかし、今年11月からは、修習生の給与が貸与制となり、修習生の借金は更に増えることになる。
 このままでは、貧しい家庭の子弟は法曹の道を断念せざるを得なくなるだろう(少なくとも当時の私の家庭状況では無理だったと思う)。
 修習生は法曹の卵であり、いずれ人を裁いたり人の財産や生命までも左右する職に就くことになる。
 そうした立場の者が、恵まれた家庭の子弟ばかりで構成されて良いのか、疑問無しとしない。
 貧しさ故に犯罪に手を染めた被告人に対して「パンがなければ菓子を食べたらよいのに」--
 そんな台詞を口にするような裁判官には、私は裁かれたいとは思わない。

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