<広島小1殺害>ヤギ被告に死刑求刑 弁護側は無罪主張
(毎日新聞 - 07月31日 22:31)
広島市で05年11月、小学1年だった木下あいりちゃん(当時7歳)が殺された事件で殺人罪などに問われたペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(36)の控訴審が31日、広島高裁(楢崎康英裁判長)で結審した。最終弁論で検察側は「犯行は悪質で残虐極まりない。遺族の処罰感情も峻烈(しゅんれつ)」などとして改めて死刑を求めた。弁護側は「犯行当時、責任能力が無かった」として殺人と強制わいせつ致死罪について無罪を主張した。判決は12月9日の予定。
検察側は、前回公判で証拠採用された被告のペルーでの刑事記録について「8、9歳の女児に対する性犯罪で起訴され、女児への異常な関心と性癖を裏付ける」と主張。一方、弁護側は「(有罪判決が確定していないため)ペルーでの犯罪事実を認定したものではない」と反論した。
更生の可能性について検察側は「反省も認められず矯正改善は不可能」と指摘。山口県光市・母子殺害事件の最高裁判決(06年)を引用し「死刑適用を避ける特に酌量すべき事情はない」とした。 これに対し弁護側は「1審で認定された法医鑑定に事実誤認がある」「(『悪魔が入った』とする)被告の精神鑑定もしていない」などとして、殺人罪などについて被告の責任能力を否定した。【矢追健介】